気ままに ぶらり行く 温泉



    バイクで立ち寄った温泉


     北海道の無料露天風呂を中心に攻めて見ました

       山に行かない日は温泉・・・そんな書き出しで前回の蔵王温泉を始めたんだけれども、なんて事は無い、山に行く日こそ温泉であるな、とも言える訳で、まあ、おっさんの言う事は支離滅裂でいい加減です。

     と、言う事で、この旅は北海道をバイクで旅しつつ、山に登ったり温泉に入ったりと遊んで来た訳です。 で、仙台は北海道に行くにはとても良い位置にある訳で、仙台新港からフェリーに乗っちまえば翌朝は苫小牧と言う好条件なのであります。
    おっさんは愛車のスーパーカブC110にこれでもか、と言う荷物をくくりつけて北海道へと旅立ったのであります。

    これが愛車のC110の出発前の姿です。

     荷物を積むにあたっては日常の着替えと山とキャンプ道具を分ける事に苦心しまして、本来は荷物置きの場所ではないレッグシールドの前に「ベトナムキャリア」を新装し、積載能力を上げたのであります。
    で、カブの特徴としてほとんどのバイクではコントロールの常識と成るニーグリップが出来ないんでありますが、ここに荷物を積んで膝で押さえる事によって不整地での走行や強風での煽りから格段に強くなると言う利点もある訳です。

     さて、19時40分発の仙台発苫小牧行き「いしかり」に乗り込みまして、おっさんに割り当てられた「二等和室・への8番」へ行ってみました。
    おっさんは20数年前までは全うなバイク乗りでありまして、フェリーを利用しての北海道ツーリングも経験済みなので、昔の雑魚寝部屋のイメージで乗船した次第であります。

    一人分の割当スペースは横幅70センチでしょうか?

     いや、昔は場所が決まっていても基本的に雑魚寝なんで込んでいる時なんかは場所取り合戦は熾烈であった訳です。
    便所に行って戻ってきたら寝る場所が無くなっていたなんて事もあった訳です。
    で、船は最新の「いしかり」であった事も幸いして、まるで動くホテルでして、一番最下層の二等和室の乗船客でもピアノ演奏を聴きながらラウンジで酒を呑むなどは出来る訳で、とても良いです・・・ああ、帰りの古い船の「きたかみ」でもそれ程違いは無く・・・でも選んで乗るなら断然「いしかり」を御勧めします。
    スタビライザーの効きが格段に良いと思う「いしかり」はホントーに揺れが少ないです。

    16000トン、長さ200メートル、エレベーターが5機もある豪華なフェリーです

     風呂つながりと言う事で温泉ではないのでありますが、フェリーの風呂の事を少し書きますと・・・まず、下手なビジネスホテルの大浴場よりは清潔でお湯の出も良く、サウナも完備で快適です。
    で、風呂に入るなら乗船して直ぐ、出航前から入れますんで、その時が狙い目です。
    沖に出て船がピッチングで揺れていたりすると湯船のお湯がダップンダップンと揺れて入っていられないほどに成る事もあるのでそれも楽しいですけど。

    知床の岩尾別の無料の露天風呂・・・名前は無かった

     さて、苫小牧でフェリーを降りてからは、日高の楽古岳、阿寒の西別岳、そして岩尾別から登った羅臼岳と3日連続で山を登っていた訳です。
    その間に沢山の露天風呂をやり過ごしてきたのは、単に時間がなかった、と言う事で、山から山への移動が遠かったんで風呂にも入らず歩いていた訳です。
    そんな訳で、岩尾別で風呂に入れたのは3日振りと言う事なので相当に臭かったろうと思います。。。いや、思い当たる伏しが沢山ありすぎて・・・。

     さて、上記の写真の風呂は、ホテル池の涯の駐車場の直ぐ陰と言うか下と言うか、まっ、ほとんど丸見えの位置にある三段式の露天風呂であります。
    手を入れてみるととても快適な湯温なんですが、おっさんの野生の勘が人の入った気配を嗅ぎ取れないのであります・・・これに入ったら見せ物か笑い者か?
    しかし、おっさんの下調べではここには快適な露天風呂があるはずなんですが・・・と、言う事で、もっと下に向って明確な踏み跡があるのを辿ってみると・・・ありました。

    滝見の湯・・・無料露天風呂です

     なぁーる程ねっ、こう言う事なのねっ、と言う事で、脱衣の為の工夫とか、水を入れて温度調節をするパイプと水栓とか、まずまず入って宜しい雰囲気が整っているのであります。
    さて、着替えは持ってこられなかったんで取り敢えず湯浴みして汗を流す程度に成る訳ですが、3日振りとも成ればそれでも嬉しい訳です。
    で、上半身を脱いで登山靴を脱いで・・・いや、山から降りて来たばかりで身体的にも一寸よれていて脱衣にも時間が掛かる訳です。
    さて、片足の靴下を脱いだあたりで異変に気が付いたんでありますが、おびただしい数のハエのような、ナンだかおっさんの足にまとわりつく虫が居る訳です。
    いや、それがブヨだと気が付くのが少し遅すぎて既に数カ所喰われちまっておりました。
    これはヤバイ、と言う事で大至急裸になって湯船に飛び込むんでありますが・・・少し熱めのお湯は絶品でありました。

    滝見の湯・・・虫やミミズが野趣に彩りを添えています

     まずまず、野趣に富んだ露天風呂でありますから湯船のそこに茹だったミミズが何匹も沈んでいるなどと言うのは、これも露天の妙味でありまして気にもなりません・・・誰もいないのを良い事に頭から沈み込んでザブザブやっちまいました・・・本来は御法度ですがね。
    さて、湯上がりをどう決めるか?うかうかしていたらブヨの総攻撃にやられちまうのは明白・・・作戦としては・・・うーむ、取り敢えずタオルでペシペシと撃退しつつ行くしか無いなと言う正攻法しか無いのでありました。
    東北のブヨはもっと小振りで素走しっこく、全身を狙って来るんでありますが北海道のブヨは系統が違うのか、飛び方がのんびりしていて足首しか狙ってこないのでタオルでペシペシもやり易いんであります・・・が、それでも10カ所は優に食われた訳で、それはそれは酷い痒みに悩まされるのでありますが。

     ちなみに泉質などの表示は一切無く、おっさんの勘では単純泉で、効能は「リュウマチ・神経痛・疲労回復・疣痔」であろうと思われます。


     
    北方領土を間近にみる、日本最北東端の露天風呂の駐車場です

     さて、ブヨの猛攻撃に一寸辟易しつつも、北海道での第一湯を決め、取り敢えず昼飯を食いにテントに戻り、んじゃぁ体制を整えて知床半島の端っこの道の果てる所まで行って見る事にした訳です。
    いや、天気に恵まれてホントーに目と鼻の先に国後島が見えるのには参りました・・・やっぱしあれは日本国の領土なんじゃ無いのか?と強く思った次第です・・・いやホント、大原から田代島を見た感じくらいに近いんですから・・・分からないですよね。

     で、最初に行ったのが「相泊温泉」でありました。
    ここは温泉マニアなら知らない人はいないくらいに有名なところでして、場所柄にもよらず、そこそこ訪問者も多いです・・・しかし、見物はしても入浴はしない人が多いのはドー言う訳なんでありましょうか? まっ、女性は入りにくいかな? いや、脱衣場も湯船も完全に仕切ってあるんで良いと思うんですけどねぇ。

    ブルーシートの湯小屋・・・管理者の心遣いに痛み入ります

     そんな訳でゴロタ石の浜に降りて湯小屋に入りますと、なんとぉー、説明書きに石けん・シャンプーの使用可とあるじゃないですか。
    おっさんは着替えも持っていたしシャンプーも持っていたので石の上にどっかと座り込んでお湯をじゃぶじゃぶと使って気持ち良く身体を洗わせて頂きました・・・いや、かなりの塩味の湯ですが洗い上がりにべとつき感はなく極上の湯であります。

    夏場の人の多いとき以外は湯小屋の屋根は無いそうです

     さて、この風呂には他には無い幾つかの注意点があるように思います。
    まず、湯船の底に木の簀の子を沈める為に重しの石が沈んでいるんですが、風呂の中に石があると言う経験が無かったんで、思い切り足をぶつけて痛い思いをした訳です・・・いや、外が明るいんで湯船の底はほとんど見えません・・・これも自然の温泉の野趣でありますが、痛かったです。
    で、次なる注意点は湯温でありまして・・・水は出るようなんで加減は可能だと思うんですが、おっさんは風呂に対して基本的には「なにも足さない・なにも引かない」を旨としておりますので、ナンボ熱くても握り褌をギッチリと締めて入っちまう訳です・・・が、しかし、長湯はできない中々に厳しい湯温ではありました。


     
    4キロほど羅臼の町方向に戻ったセセキ温泉

     日本国の道路の果てる所を見て羅臼に戻る途中に、セセキ温泉と言う、これも超有名な無料の露天風呂があるのです。
    こちらは「北の国から」の最終回で純が入った露天風呂として有名なものであります・・・が、画面では乳白色の湯だったのは作り物でして、本物はそう言う色ではありませぬ。

    おっさんは大概のものは平気ですが、流石にこれは・・・

     さて、この温泉は潮が満ちると海水が入り込んでぬるくて入れないと解説が為されていたんでありますが、眺めてみるとドーもそれ以前の問題があるようにおっさんには見受けられたのであります・・・湯船が苔むしている、と。

    二つある湯船のもう一方は製塩の塩竈のように泡を吹いてました

     さて、もしも入るのであれば、昆布小屋の管理人に一声掛けてからと言う仁義があるらしいのですが、昆布小屋に人影はなく、湯船に引かれていたらしい水のホースも朽ちて放り出されている訳です・・・ああ、管理されなくなってから結構な時間が経っているのかもしれないな、なんて勝手に推測しつつ、これは無理に入って酷い目に遭うよりも勘弁しておいた方が良さそうだと判断し、勇気ある撤退を決めたのでありました・・・いや、苔とゴミとで汚くて、金貰っても入れないです・・・何か退っ引きならない事情があるのでしょう、たぶん。


     
    羅臼国設キャンプ場の前にある間欠泉の湯煙です

     そんな訳で羅臼の街に戻り、ちょうど本日が羅臼の夏祭りであったので山車や神輿や踊りの行列など眺め。コンビニで弁当とビールを買ってテントに戻った次第であります。
    で、キャンプ場の前には間欠泉がドドーンと迫力のある音と蒸気を伴って吹き上げている訳で、もちろん温泉もわいているのであります。

    羅臼国設キャンプ場の前の「熊の湯」の外観です

     さて、熊の湯もこの界隈では超有名でありまして、旅行者よりも羅臼の街の人達の利用が多いんじゃないかと言うほどに賑わっているのであります・・・いや、早朝から夜遅くまでホントーに人が絶える事無く居るのであります。
    で、男女別に脱衣所と湯船があるので女性客でも安心と言う事で、意外と家族連れなんかが目立ち、秘境とか秘湯と言う雰囲気はそれなりに薄くなっている・・・しかし、やっぱしここでもヒグマに注意とか書かれているんだが、北海道のヒグマと言うのはそれ程人間と交わりたいのか?本州のツキノワグマはもっと臆病と言うかナイーブで、基本的には人の声のする所は避けるけれどもねぇ・・・こうなると臍曲りのおっさんは、知床のヒグマ騒ぎも一種の宣伝効果だろうな、なんて穿って見ちまうのでありますが・・・。

    素朴ですが開放感のある大きな湯船です

     いや、この風呂も結構熱めですが、今までの単純泉と違って白濁した湯に微かな硫黄臭を感じ、静かに座っているとじわーっと滲みて来る温泉の効能と言いますか、成分と言いますか・・・メモしなかったんで忘れましたが、重曹硫黄食塩泉・・・とか言っていたような。
    しかし、アレです・・・山形県の山小屋と北海道の無料の露天風呂は約束事の注意書きが多くて、なんだかとっても気を使い、恐縮させられます・・・まっ、管理される方々が真面目なんだべね・・・でも煩い・・・子供じみた注意書きは止めて「馬鹿は入るな」と書けば良いんじゃないかな。


    男の方の脱衣場と湯船から後に屈斜路湖を見通しました

     さて、明け方熊の湯に行ったら・・・午前3時半頃なんですがもう人が居てそこそこ賑わっていまして、話しの内容からして地元の人だな、と推測致しましたが・・・。
    で、テントを撤収してまた知床峠を越えウトロに出て、知床半島を斜里・網走まで走り、お約束の網走刑務所を見学し、本日のお宿である阿寒湖方面を目指したのであります。

     で、摩周湖とかを見て阿寒湖へ向う途中の屈斜路湖でクッシーでも見ようかと思って走っていたら、露天風呂の看板を発見して立ち寄ったのでありました。
    で、看板を見たら、これが自分も入りたいと目星を付けていた「コタンの湯」だったのであります・・・いや、その手前にも砂湯とか池の湯とかあったんですが、日曜日で人が多く、握り褌で度胸を決めるのにも一寸アレでナニだったもんで通過して来たのでありました。

    おっさんと、もう一人バイクで来たおっさんの二人で入りました。

     そんな訳で、屈斜路湖は地元近辺の人達の湖水浴やレジャーの場となっているようでして遠方からの観光客よりも北海道内の人達の遊び場で、結構賑わう場所のようであります。
    しかもおっさんが訪れたのが日曜日の晴天の日だったもんで、湖水遊びは宴もたけなわと言う事で賑わっていたのであります。

     ああ、コタン温泉はアレです・・・脱衣場は男女別ですが、湯船は大胆に大きな岩出仕切ってあるばかりで、ほぼ混浴状態であります。
    しかも、脱衣場から湯船までも駐車場からよく見えるんで、もしも女性が入ろうと思ったら度胸を決めるか深夜にするか・・・まっ、減るもんじゃねぇ、とやったとしても男の方が遠慮してそんなに見ないですけれどもね・・・おっさんは別ですが。
    とてもキレイに管理が行き届き、屈斜路湖の湖面が間近と言う最高のロケーションなんですが、これが無料と言うのが北海道のおおらかさと言いますか、良い所でありますね。


    金を払って入る温泉、虫も居ないしミミズも居ない

     そんな訳で明日は苫小牧から仙台へフェリーに乗って帰る、と言う事で、最後くらいは文明の恩恵にあずかって旅を締めくくろうと、阿寒湖か岩出も一番安い「阿寒ロイヤルホテル」に投宿した訳であります・・・二食付き6900円でした・・・ビール飲み放題が1050円で、7950円。

    夜は男性用の露天風呂・・・北海道は夜は男の露天風呂が狭いのが通例ですか?

    ここで久しぶりに文化的生活に戻った訳ですが、やっぱし電気がある暮らしや、虫やミミズのでない温泉は清潔で安心出来ます。
    で、ここは昔は「マリモ観光ホテル」と言って、そこそこ高級なホテルだったんでありますが、時代の波と老朽化で低価格路線で売って行く事になったようでありますが、風呂はそれなりに良い物でありました。

    こちらは朝から男性用になる大きな露天風呂

     で、金を払って入る風呂と言うのはアレだな、とか、風呂は無料とか公衆浴場で安いのに限る、と言うのも程度の問題で、ずーっとそればかりだと精神的に荒みます・・・いや正直、心身ともに緊張を解きたくなっていたんでありましょう。
    普通の風呂に入って、畳の上に座り、据え膳の食事を頂いた時には、人のぬくもりって有り難いと、しみじみ思って、飲み放題のビールをしこたまカッくらって酔っ払って眠りについたのでありました。

     いや、バイクの旅、山登りも温泉巡りも単なる思い付きでして、大した思いも無く出掛けたんでありますが、こう言うのが「旅」って言うんだよな、と、おっさんの中に長らく眠っていたものが目覚めた思いでありました。

     ジェット機に乗って椅子に縛り付けられるようにして行く遠くの知らない国も、それはそれでナニですし、アレなんですが・・・この歳になったら日本の良い所を探して歩く方が何倍も楽しいかな、なんて思ったのでありました・・・だからこの旅は

     つづく



    まあ、ネタは新鮮ですが信憑性は・・・?


    行った温泉について 質問を承っております


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