写真入り・山日記

        

  石転び雪渓~北俣岳~梶川尾根 


     2012年06月27日 (日)  天下無敵の 晴れ 


 また山に行って来ました・・・山が俺を読んでいるぜぇ!!!なのであります。
思い起こせば三年前の11月、伊豆の城山でクライミングで落ちて大捻挫をし、それからの二年間はとても不本意であった訳です。
が、やっと、連続で歩いても故障の影響が出なくなって、思ったような山行が出来る様に戻った訳であります。
まっ、そんな訳で、今は安定して登れるのが嬉しいと言いますか、ナンでアレ、今はとても登りたいと言いますか、やっと本気出して登れるのであります。
で、この度は、天気予報を見ていたらこの日は間違い無いと言う事で、ンじゃぁ、前に行った時には足下と雲しか見ていない、あそこに行くしか無いな、と言う事で、石転びな訳であります。
いや、三年前の石転びでは雨と風に悩まされ、殆ど景色を見ていない訳で、この度は、石転びの再確認と言う意味合いな訳であります。

 前説おしまい。


温身平あたりから雪山が見えます・・・石転び方面では有りませんが。
 4時に起きまして5時出発・・・コンビニでコーヒーとサンドイッチを買い朝飯とし、山形県の赤湯を目指しました。
勝って知ったる13号線と113号線・・・これを結んで何度新潟へ抜けた事か・・・と、思う訳ですが、山形も近代的バイパスなどあちこちに出来て道が今イチ良く分かりません。
赤湯辺りで昔ながらに市内を通過して来たら、バイパスでだいぶ前に抜いたはずのとても遅いコンビニの配送トラックがまた前に居たりして・・・がビョーン、と。

 小国のファミマでパンとチキンとポカリスエットを買って、飯豊山荘到着は7時20分・・・7時30分出発。


今年は雪が多く、1時間半歩いたら早速雪渓に出ちまいました。

 石転びの出会いよりもズーッと下・・・ナンと言う場所か判りませんがインチキ高度計でまだ650mから雪渓に乗る事が出来たのであります。
下つぶて石・上つぶて石の少し下かなと思うんですが・・・良く分かりません。
しかし、かんかん照りの晴天で汗をたらして来た訳ですが、雪渓に乗ったら冷たい風が吹いてまして半袖では居られませんでした。
まだアイゼンを履く傾斜では有りません、が、三年前の雨の日よりも雪が柔らかく滑りやすいなと感じました・・・スプーンカットも出来ていないし。

 

この石が上つぶて・下つぶて、ですか? 

 昨晩梅花皮小屋に泊まって降りて来たと言う人に会いまして一言二言交わしたんでありますが、天気が良くて温かくてとても塩梅良かったと語っていました。
で、早く行かないとハクサンイチゲが終わっちまうから、とか冗談を言われまして、三年前、雨の石転び雪渓を詰めたときの暗い雰囲気とは打って変わったルンルン気分で上を目指したのであります。
この辺りから山小屋が見えたんでありますが、それは門内小屋でありました。

  

ここが石転びの出会いですか?左が石転び、右が門内沢、ですか?
   石転びの出会いまでに2人ほどが下山して来るのに出会った訳ですが、荷物の大きさと時間的な事から、石転びの出会いまでのようであります。
で、石転びの出会いの草の出ている所に上がりましてアイゼンの装着と本日1回目の休憩であります・・・コロッケパンを食いました。
そして半袖シャッの上に長袖の厚手のTシャツを重ねていたのですがそれでも寒くなり、ウィンドブレーカーを着用した訳であります。


石転びの出会いからは石転び雪渓が梅花皮小屋まで見通せます。

 ずーっと遠くの稜線上に梅花皮小屋が豆粒の様に見える訳です。
その下には中之島・・・いわゆる草付きと、絶壁かと見まごう急傾斜の雪渓が見えるのであります・・・遠いなぁ、と、心が折れそうになります。
強い雨の日に歩いた三年前よりも雪は黒くて残雪っぽいのでありますが、落石などはとても少なくなんか大人しげな石転びでありました。


中の島・・・草付きまで行けば・・・しかし中々近づかない。

     草付きが大きく見える様になると登って行く人が点の様に見え出したのであります・・・数えてみたら8名。
もはや梅花皮小屋の真下まで登っている人も二人程見えて、やっぱしこの天気を見越して人は出ているなぁ・・・今が旬の石転びだものな、と。
しかし、それにしても草付きは中々近づいて来ないのであります・・・見えているだけに辛いです。


梅花皮小屋の前から梅花皮岳方向を望む。

 草付きまででもかなりな傾斜なんでありますが、本番はここからで有ります・・・一歩一歩踏みしめる様に登るのであります。
いや、シャカシャカと登れればそれでも良いのですけれども、危険だとかそんな事を抜きにしても急でして、身体が言う事を利かないのであります。
それにしても、見えると言うのは凄い事であります・・・三年前には濃いガスの中で小屋など見えずに真っ直ぐ登って行った訳です。
成る程、ドーリで急だった訳だ・・・あの斜面だものなぁ、と、今更ながらに納得したのでありました。
そんな訳で、本日は草付きから左方向に向けて行くと、割と傾斜も急でなく・・・いや、十分急ですけど、直進よりは・・・。
おっさんが最後の踏ん張りをしている時、もう下山に向かう人が降りて来まして「あとひと頑張り」などと声を掛けてくれるのでありました。
で、また二人程降りて来たのでありますが、妙にへっぴり腰なのであります・・・見れば、アイゼン無しでの下降であります。
行き会う時に「アイゼン無しで登ったの?」と問うと「ソーなんです」と。
いや、まかり間違えば事故にもなりかねない訳で・・・凄いと言うよりも無謀でありましょう。

 喘ぎながらも、しかし好天に恵まれ目標が見えていると言うのは楽でありまして、12時頃、梅花皮小屋到着でありました。


<梅花皮岳方向から北脵岳を見る。

 梅花皮小屋の前では休息している二人が・・・小屋の中には誰もいませんで、下って行ったのが4人・・・登って来たのが8人居た訳で、あと二人はまだ先へ行ったのか?
まっ、ナンでアレ、おっさんは荷物を小屋に入れ、小休止などして烏帽子岳へと向かったのであります。
いや、とある筋から梅花皮岳方向へ行くと花が凄いぞ、と言われた訳であります。
で、ホントはさっさと一杯やってくつろぎたい気持ちも有ったんですけれども、まだ時間も早いしな、と言う事で、ソイジョイを一本齧って行く事に。


大日だけが夕日に染まる・・・いや、現物はもっと紅いんですが。

 そんな訳で烏帽子岳を目指して登っては見たのでありますが、梅花皮岳まで行って烏帽子方向を見たら地図で読むよりとても遠くに見える訳です・・・毎度の事なんですけれども気持ちが負けているんでありますね・・・要するに行きたく無いと。
そんな訳でナンだカンだ言って梅花皮岳のてっぺんで戻った来ちまったので有りました。
いや、しかしそれでも尾根筋の花畑は素晴らしい物でありまして一見の価値有りです・・・もう少し早ければ大好きな峰桜が見事だろうなぁ。


朝日と梅花皮岳であります・・・朝日とか夕日って、そのままだと絵にならないと思いませんか?

 で、夕方近く、四時過ぎでありましょうか、若者と言うには少し年を食ってそうな、さりとて中年と言うのもナニか?と言う若年寄が一名、北脵岳方向から小屋に下って来たのでありました。
で、二人しか居ないんで、ンじゃぁ一緒にメシでも喰いますか?となって呑んだんですけれども、なんかとてもお酒が好きな感じで、また沢山背負って来たようでガバガバ呑むんですけれども、会話が少し噛み合ないタイプと言いますか、なんか絡み癖が有りそうなんで早々に退散して8時頃には寝ちまいました。

 で、早立ちしますんで、と宣っていたのですけれども、出て行ったのは5時頃で特別早くも無いんですが・・・。
で、おっさんは4時過ぎに起きまして、いい塩梅の朝日や朝焼けなどを撮りまして5時半の出発で有りました。
いや、誰を疑うと言う事も無いんでありますが、出発しようとしたらスパッツのゴムが無いんであります。
アレは片方の金具はゴムひもが抜け落ちない様に堅く絞めてある訳で脱いだ時にはちゃんとしていたのであります・・・不思議な事でありましたが、その金具がガバッと開いてゴムひもは消えていた訳です・・・ああ、朝から気分が悪いったらアリャしない。


北俣岳の登りは微妙な雪渓の登りでして、アイゼンなぁ・・・どーすっかなぁ?と。

 いやぁ〜朝日に照らされる花達の美しさは筆舌に尽くし難く、また写真機ごときで撮りきれる物ではなく・・・ああ、惚れてまうやろ〜、であります。
いや、既に幾多の高山に咲く小さな花に惚れちまっている訳ですが、本日もまた新たに惚れ込んじまった訳でして、北脵岳の稜線を歩きながら、次はどこへ行くかなぁ?なぁーんて事を考えている訳であります・・・恋は盲目と申しますからね。
で、北俣岳の雪渓なんでありますが、距離も短いし万が一滑り落ちても振り出しに戻るだけで大した危険も感じないのでズボで登っちまいました。
そんな訳で北俣岳のてっぺんの先の風の当らない所でアイゼンをザックに入れ、ピッケルをくくり着けて・・・最近、ストックやステッキを持つのを止めました。
足首の故障がほぼ全快したのでもうあんな物に頼らなくても・・・いや、散々ビッコ引いて世話になったんですけれどもね。

 

北俣岳の頂上の鳥居です。

 北俣岳への登りも梅花皮岳に負けず劣らずの花畑でありまして、とくにミヤマウスユキソウ(ヒナウスユキソウとも言う)・・・日本のエーデルワイスであります・・・これがどっさりと咲いているのであります。
で、少し有ると感激するんですけれども、まるでぺんぺん草の様に群生していると有り難味が薄れちまうのは否めないと思うのでありますが・・・贅沢ですか?

   

門内岳と門内小屋。

 途中通過して来たギルダの池は未だ雪の中に埋まっていまして見られませんでした・・・三年前は見えてたのですが。
ああ、そう言えば北俣岳の登りにも雪など無かったし・・・今年はホントに多いんでありますね。

 で、北俣岳から少し下って、ズーッと先に見えている門内岳に行く訳ですが、この乾いた稜線歩きが格別なんであります。
いや何が見えるとか、どんな花が咲いているとか、そう言う問題ではなくて、道の筋がずーっと門内岳に続いているのを見ながら歩いているだけでこのおっさんのねじ曲がった心が洗われるのであります・・・ああ、生まれて来て良かった、と。

 

門内岳付近のお花畑であります・・・5分程ぼーっと見とれていました。

 三年前のリベンジ・・・いや、再確認とでも申しましょうか、まっ、詳しく知りたい人は三年前の石転びの所を読んで頂くとして・・・あっ、そう、面倒臭いね・・・要約しますと、雨と霧で何も見えなかった、と言う事でして、北俣岳がどんな形をしているのかさえ判らなかったと言う状況で登っちまった訳です。
そーだ・・・門内岳も霧の中をさまよう感じで稜線の続きが見えていなくて、小屋の前から下に降りて行こうとして変だな、と気付いたと言う間抜けをしていたのでありました・・・本日の天気からは想像もつかない・・・アレがホントの五里霧中でありました。

   

扇の地神もたっぷりの雪に覆われていました。

 昨晩呑んでいる時に彼が、扇の地神が雪で判り難いんで、左へ行くと落ちて行くから右右と行けと宣った訳ですが、右でも左でもダメでありまして、稜線の真ん中であるな、と言う感じで真っ直ぐ行かないとどっちでも落ちて行く訳です。
まっ、おっさんは雪に隠れた登山道は匂いで判るタイプなのであんまし困らないんであります・・・これ、マジな話しなんですけれども、雪で隠れた登山道を見つけるコツは・・・もしもこの地形で登山道を着けるとしたら何処へどー付けるか?と考えれば概ね当ると思っていますが。

 で、結論から申しますれば・・・一番高い所を真っ直ぐ降りて行き当たったら登山道でありました。

    

飯豊本山・大日へ続く稜線・烏帽子岳・梅花皮岳・北俣岳と見えました。

 雲上の稜線歩きは扇の地神で終了であります。
ここからは梶川尾根のこの世の物とは思えない、大変なだけが取り柄の尾根下りであります。
しかし、伊達や酔狂でこんな尾根に回って来た訳では有りません・・・狙いはちゃんと有ります・・・ヒメサユリであります。
いや、キャバレーの女の子の名前では有りませぬ・・・誰も勘違いなどしないってか? 昔し居たんだよ、まっ、止めとくわ。

 で、扇の地神から距離にして1キロも有るかどーか、標高を殆ど下げずに気持ちよい草原的地形を行く訳ですが、そこにヒメサユリは咲いている訳であります・・・その予定なんでありましたが・・・。

   

三年前はここで群生を見たんだけれどもなぁ・・・今日は気配も見えない。

 さて、そろそろだな、と思っていた場所には確実に差し掛かっているはずなのですが一向にヒメサユリの気配は見えない訳であります。
確かに、ネットの情報では今年は遅れている、と言う事でありましたが、しかし、もうすぐ七月だし・・・気の早いのは咲いていても可笑しく無いはず、と思ってやって来た訳であります。
いや、来週ならもっと確かなんでありましょうけれども、なにぶん梅雨時でありますから天気と相談しないとまた五里霧中になっちまう訳です。

   

ああ、ヒメサユリはまだ堅い莟のままであったか?

 いや、ヒメサユリの株はナンボでもある訳です・・・ホント、咲いたら間違いなく群生だな、と言うだけの株が有って莟がついている訳です。
しかし、それらは堅く身を閉じていると申しましょうか、まだ花開くのを拒んでいると申しましょうか・・・ああ、君はまだ大人になる日は遠いのか・・・まっ、ホントの事を言いますと、標高が下がれば気温も上がるんでもっと下に行けば何とかなるんだろう、と多価を括っても居たのでありますが。

   

ヒメサユリであります・・・ホントは高嶺桜の方が大好きなんですが。

 いや、行けども行けども莟ばかりでありまして、花は咲く気配はないのであります。
三年前はニッコウキスゲと一緒に咲いていて、薄いピンクと黄色の競演が見事であったのだがなぁ・・・あのときは天気がアレで泣いて、本日は絶好天気だと言うのに花が咲いていないとは・・・泣けるなぁ。と。

 しかし、天は我に味方した訳であります・・・やっぱしなぁ、おっさんの品行方正は天もお見通しだものなぁ・・・ちゃんと咲いているんだもんなぁ、と。
正直に申しますれば、登山道はそろそろ薮に掛かって来ていまして、もうダメだなぁ、と思った矢先に道の脇の一角に6〜7輪咲いていたのであります。 いやぁ・・・めんこいなぁ、おっさんが来るのを待っていたのか? うん、そーかそーか、まっ、待っててもらっても土産も無いんだけどなっ・・・と、言う事でここで座り込んで写真を撮ったんでありますが、せっかく咲いていたのに言っちゃぁナニなんですけれども、場所的には薮に掛かって最悪な訳です・・・やっぱし草原でとか、青い空に抜くとか、残雪の山を遠景に置くなどして見たかった訳です・・・いや、こんなおっさんの写真でも目指す物と言うのは少しは有る訳です。

 まっ、しかし、会えただけでも良かった・・・うん、良い写真を撮るのはまたの機会にと言う事で、咲いてくれてありがとう、と、別れを惜しんで先を急いだのでありました。

   

滝見場から、左が梅花皮岳、右が北俣岳・・・梅花皮小屋も見えます。

 ヒメサユリと別れてからはひたすらの激斜面の下りであります・・・いや、大げさでないです。
で、登山道がえぐれていると申しましょうか、崩れていると申しましょうか、段差も凄いのが有る訳です。
そんな訳で一歩一歩がスクワット状態で踏ん張らないと降りられない訳で、心肺的に呼吸は楽なんですけれども、筋力的、大腿四頭筋の頑張りは半端じゃないのであります。

 

滝見場から、石転び雪渓最後の眺めです・・・感慨深い物が有ります。

 さて、薮に入りまして、木の枝など引っ掴んで必死で降りる訳でありますが、まず、天気が良いのもアレでして、水が欲しくてたまらない訳です。
なんたって、下りで楽なはずなんですが、汗が滴り落ちて来る訳でして、シャツは潮を噴いておりました。
ホント、唯でさえ急な下りなんですが登山道のえぐれがそれに拍車をかけていまして・・・腕力を使う下山路でありました。

 一カ所登り返しの湯沢峰でナンボか登るんでありますが、この登りが嫌だと思わずに何故かホッとすると言いますか、登っている方が足が楽だと思う訳でして、それほど凄い下りであると・・・まっ、一寸大げさですか?
 

最後の一踏ん張り・・・飯豊山荘が見えてからが結構長いんです。

 さて、水も呑み飽きたと言う程に呑んで、パンなど齧りながら下って来ましたが、流石に捻挫の後遺症を抱える右足首が参って来まして、だんだん踏ん張りが厳しくなって来た訳であります。
ヒメサユリに会うのも大変だよなぁ・・・国分町のサユリなら痛むのは財布だけなんだがなぁ、とか、有りもしない妄想を考えつつ、気を紛らわしながら下るのであります。
しかし、最初に飯豊山荘が見えてからだと小一時間はくだらないとダメな訳で、見えたから近いんじゃ無くて、アレが見えたらもう一踏ん張りと思わないとダメだと思う訳であります。

 降りたら天ざる食うんだ・・・風呂は、露天のある梅花皮荘まで行った方が良いよな・・・なぁーんて事を考えてたら、ひょっこりと道路が見えまして、11時50分・・・無事下山でありました。



 飯豊はしんどい・・・でも、味は濃いです。

   いやぁ・・・やっぱし山は、それぞれに良いもんです。



     この話 完




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