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山登り
よたよたと、山登り
No.103
船形連峰 後白髪山
11月27日 日曜日 天下無敵の快晴
前の晩に天気図を見て「明日は行かぬばならぬ、ナニがナンでも行かねばならぬ」と直感した・・・移動性高気圧のど真ん中だ。
で、朝起きてみれば、これ以上ナニを求めますか?と言う好天な訳で・・・ほーら、やっぱりだもの、大当たりだもの、と言う事で朝飯もそこそこに出発準備。
しかし、山に行くにあたって今時分は大きな問題がある・・・登山口までの林道がドーなっているのか?であります。
なんたっておっさんは愛車スーパーカブで行く訳ですからそりゃぁ神経を使います・・・1輪駆動のノーマルタイヤですからね。
で、雪道は何とかなるとしても凍った道にはすこぶる弱いのがバイクでありますから、あんまし早朝の冷えた時間に行くと痛い目に合う訳です。
と、言う事で頃合いを見計らって8時30分に家を出まして近くのコンビニで昼飯用のカップ焼きそばなど買い求めまして、奥武士〜夜盗沢線を通って大倉ダム、定義経由で横川林道へ。
で、暖かい朝であるなと思って油断して走って来たら、定義を過ぎてすぐの大倉川の橋の辺りはテカテカに凍ってまして下り坂で危なく転ぶ所でありました。
いや、山道の日陰を舐めてはいけない・・・谷底団地の住人であるおっさんは身にしみて解っているはずなんですが気が急いていたのでありましょう。
横川林道に入ってからすぐにそこそこの雪道でありましたが、それでもパヤパヤの雪でタイヤは地面を捉えていて滑る気配はありませんでした。
しかし、先般調子こいて飛ばしてこの林道で転けて肋骨を痛めているのでスピードは控えめに、ブレーキも使わずにを心がけて登って行ったのでありました。
林道の雪は日当りの具合に大きく左右されていて東に開けていると殆ど路面が出ている箇所があるかと思えば、北側のカーブでは吹きだまり的に雪が多くタイヤが取られるのでありました。
で、後輪がスリップし始めたので両足ペタペタのスタイルでバイクを押し上げるのですがケツが滑って真っすぐ走らず難儀しました。
だいぶ雪が深くなり登ったは良いけれども帰り道に凍ったりしたら降りられないよな・・・まっ、この好天では融けちまう方に1000点掛けても良い、と思いつつも最悪を想定してしまうのがおっさんの良い所でもある訳です。
迷いつつヨタヨタとバイクを進めていると下って来る軽トラに出くわしました。
軽トラの人曰く、この先で雪が深くなって後白髭に登るのも大変そうなので引き返して来たと・・・なるほどなぁ、この辺が限界かぁ?と思いつつも、トレールバイクの踏み跡が有るのでそれを辿ればもう少しいけるな・・・たぶん上涸沢までは行けるな、と読んでペタペタと前進したのでありました。
それにしてもカブは驚異的に何処でも走っちまいます
予定通りに上涸沢でバイクを降り歩く事に・・・この先はバイクのタイヤの跡だけで先ほどの軽トラ氏もここで戻ったのが伺える訳です。
ホントーに絵に描いたような景色でして、白い雪と対照的な紺色の空・・・ああ、ここに居るというだけで幸せだわ、としみじみ浸りながら登山口を目指しました。
横川コース登山道入り口
やっぱり予想通り登山道に踏み跡は無くこの冬初の新雪におっさんの足跡が刻める訳であります・・・まっ、この跡暫く降らなそうなんでほとんど融けちまうんでしょうけれどもね。
で、登山道に足を踏み入れると、積雪は10センチ程度の湿り雪でありました・・・ああ、この陽気が午後まで続けばここは融けてなくなっちまうな、と言う感じでありました。
おっさんこのコースが好きでして、今年はこれで5回目であります・・・最大の理由は標高の高い登山口までバイクで来られて登りが楽な事でありますが、おっさんの家からは裏庭的存在でありますが仙台市民には遠くの山なのか登山者が少なく静かなのが良い訳です。
横川コースの登山口まで車でも来られるんですけれども夏場は林道は薮っぽく車は傷だらけ覚悟でないと来られませんし、また落石が多く、下山して帰ろうと思ったら大きな落石で林道が通せんぼう、なんて事もあり得る訳です。
おっさんがバイクを買った大きな理由の一つに「後白髭に登りたい」があったのであります。
おっさんが唯一知っている木の芽 オオカメノキ
標高1000メートルを越すと雪もそこそこ多くなりワカンを履くかなぁ、と思いつつも湿り雪でさほど沈まないのでズボ足で行きました。
また余談でありますがおっさんが子供の頃、山渓でも岳人でも「壷足」と言う言葉は載っていなかったと記憶しています。
ンじゃぁなんと言ったかと申しますと「ズボ足」です・・・ズボズボ埋まりながら歩くのでズボ足・・・だと思うんでありますが、30年の時を超えて山登りに戻ってみたら、跡が壷のようだから「壷足」だなんて事になっていた訳です・・・しかし、おっさんは認めませんからね・・・断じてズボ足です。
登山道を行くウサギの足跡
濡れた落ち葉と雪だったら断然雪の方が滑らなくて歩きやすいんでありますが、所々雪が薄くて足を取られたと思うと何でそこだけ、と言う程に深い雪にズッポリとはまったりして歩き難くなってきました・・・しかし、ここまで来たらワカンなんて履かないもんね、と半ば意地であります。
それにしても静かな山で風の音さえ聞こえなくて・・・ああ、そう言えば鳥の声もしなかったかも。
で、おっさんは踏み跡一つない真更な雪に足跡を残すはずなんでありますが、豈図らんや登山道には熊・カモシカ・ウサギ・テン・・・その他諸々の小動物等の足跡がドガチャカドガチャカと着いていて賑やかなんであります。
やっぱしアレですか?熊だってウサギだってカモシカだって薮漕ぎして行くよりは登山道の方が歩きやすいんでしょう。
で、熊の足跡なんですが都合3カ所で見たんですけれども、どの足跡も下へ下っている訳です・・・冬眠するにもナンボかでも下の方の暖かい所を目指すのでありましょうか?
おっさんが勝手に見晴らしピークと呼ぶ所から見た泉ヶ岳
途中で赤布など下げながら登ったので時間が掛かっちまいました。
へへへっ、今年の冬の一番の狙いは「定義から歩いて後白髭経由で船形山へ登るぞ二泊三日の大計画」でありましてその為の赤布です。
まっ、林道を登らずに定義コースを登ると横川の赤布は無駄なんですけど・・・。
実はこの計画にはとても大きな欠点があるのです・・・入山はバスでも良いんですが、下山する予定が升沢なんで誰かに拾ってもらわないと延々と下のバス停まで歩く嵌めになっちまうのであります・・・誰に頼もうかなぁ?
流石に月山です。もう真っ白です。
手元のインチキ高度計では1300メートルのピークに出ると突然展望が開ける訳です・・・後ろを振り返ると泉ヶ岳で、山頂の人が何となく見えるような気がします。
で、この天気なので罰当たり組の誰かが近くの山に居るであろうと思い渾身の力でヤッホーを送ったのでありますが何処からも帰ってきませんでした。
しかし、ナンボ陽気が良いとは言え流石に雪の山でありまして稜線に出ると北西の風が結構拭いていまして風は冷たいです。
思わず見とれて溜息をつく朝日連峰の美しさ
稜線上は森林限界を超えて灌木帯になる訳です。
で、吹きさらしは雪が飛んで地面が見えているかと思えば吹きだまりでは膝上以上の積雪があってズッポリとはまる訳です。
いや、ワカンを背負っているんですからサッサと履けば良かったんでありますが面倒臭いとの思いでここまで来ちまった訳で、今更履くのは余計に面倒だとズボスボとはまりながら行くのでありました。
平均してこんな程度のはまり具合でした
稜線上の定義コースとの出会いの辺り、夏場は歩き難い湿地帯な訳ですが雪の季節は楽チンでありまして泥濘地を気にする事無くズンズンと行けるんであります。
しかし、調子に乗ってズンズン行くとズボッとはまって雪ノ下は泥でグッチョリ・・・なんて事もあったりして中途半端な雪にいじめられました。
流石に遠くて霞んでますが飯豊連峰です
さて、やっとこさっとこ山頂到着でありました・・・予定よりも7分遅れて12時丁度でありました。
いや参りました・・・365度の大展望を独り占めであります。
近くは船形山、ちょっと向こうに面白山から大東。雁戸から続く蔵王連峰。蔵王の向こうに飯豊連峰や東連峰。ありゃぁ、船形の隣に見えるのは栗駒ですかぁ?・・・なんとぉ、その奥には焼石岳まで。
で、なんと言っても大迫力は月山と朝日連峰でありまして、朝日の山並みは北アルプスにだって負けない美しさでありました。
船形山は後白髪山から見るのが一番美しいと思うんですが
そんな訳で、すばらしい景色なんでありますがやっぱし雪山なんでありまして北西からの風は強く冷たい訳です。
ホントーはここで昼飯の予定だったんでありますがとても腰を下ろしてベントーを広げられる雰囲気ではない訳です。
ンじゃぁ取り敢えず見晴らしピークの前の風の弱いあそこへ、と言う事で山頂滞在は2分13秒で下山に向かったのでありました。
帰り道、来る時には見つけなかった熊の足跡がありまして、おっさんの持論「熊は山頂付近には居ない」は覆されちまいました。
で、この熊はおっさんが通った時に薮に隠れていて居なくなってから出て来たのでありましょう・・・いや、会いたかったのに。
本日の昼飯風景です
いや、日当りが良いから雪が溶けていたんだと思って腰を下ろして間もなく、ここは結構な吹きさらしである事が判明したのであります。
雪が無いのは風が通るんで飛ばされて着かないようでありました・・・まっ、日当りは抜群なんで動くのも面倒だと言う事でここで昼飯にしたんでありますが、カッパを着込んでもやっぱし寒くて長居は出来ませんでした。
焼きそばを食って缶ビールで一杯やって、薮の向こうに見える朝日連峰を堪能して下山開始が1時10分でありました。
で、登山口到着が丁度2時・・・帰り道の林道は雪解けが進んで殆ど普通に下れたのでありました。
いやぁ・・・晴れた日の雪山程楽しい山はありませんね・・・儲けものでありました。
この話 完
山の状況、情報は適当ですので、ご注意下さい・・・
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