写真入り・山日記

        

     仙台神室(笹谷峠から)(標高1340メートル)


     2012年05月17日 (木) 曇り/雨/雷 


 本日はバイクで行く登山の致命的欠点をさらけ出した感じの一日でありました・・・寒かったの一言であります。
いや、それなりに着るものは持っていたんでありますが、しかし、下着が汗で濡れている上からは何を着ても寒い訳です。
どんなに濡れても車に戻れば屋根があるしヒーターもあるし、疲れ果てていれば一寸寝る事も出来る訳ですが、本日、駐車場でおっさんを待っているのは「カブ」であります・・・死ぬ程寒かったのは山を歩いているときの事ではありません。
帰り道のバイクでの事なのであります。


いや、天気予報は悪くも無かったんで行くとはまだ余裕でした。
 その昔し、山仲間でバイク山行の先輩の三浦氏に、おっさんもバイク山行をやってみたくてカブを買い求めようと思っているんですよ、と相談した事が有った訳です。
氏は余計な事は何も言わずに一言「帰り道、結構辛い時があるんだよね」と一言宣ったのでありますが、その意味がとても良く理解できた訳です・・・言葉じゃ言えなかったんですね、やってみない分からないんだよねぇ、と、言う事であったのでしょう・・・いや、身にしみて了解しました。


9時13分・・・登山開始であります。
   曇りではありましたが降って来そうと言う感じては無く、駐車場にも車は8台程停まっていまして、平日なのに雁戸は人気だなぁ、と感心した次第であります・・・北雁戸に向かっては一気に登って大変そうなんですけれども登り返しが無いし、距離も割と短いんで意外と楽なんでありますよね。
それで居て尾根歩きの雰囲気が高山的なもんですから人気なのでありましょう。
おっさんが仙台神室への登山道を歩き出した後、付いて来た人が看板を見て慌てて引き返して行きました・・・神室も良いのに。

 

一気につづら折りを登って出る開けた稜線上です。明るくて良い感じです。

 
   本日は新しく買い求めたスカルパを履いている訳です・・・はっきり言いますが、コレはとても良いです。
何が良いって、おっさんの足は右がやや小さいんですけれども、そのチンバ的感覚を紐の絞め具合でかなり改善してくれる訳です。
いや、結構な堅さと言いますかしっかり感があるのに紐をこんだけ締められる靴は意外と無いモノであります。
革の重登山靴などの本格的登山靴で足首以外の紐が絞まる靴って履いた事がありますか・・・おっさんは皆無でありましたので驚きです・・・まっ、アッパーの素材が革とファブリックのコンビなんでしっかり感とは言ってもオールレザー程に堅くは無いからなのでありますが。
いや、履き心地の良い靴と言うのは何にも増して強い味方でありまして、本日はいつに無く足が進む訳です・・・まっ、最初だけでしたけど。


ハマグリ山までは軽トラが走れる程にキレイに刈り込んであります。

 歩き始めてすぐ、花の季節には早すぎたなぁ、と少し後悔気味だったんでありますが、やっぱしここの稜線は明るくて気分が良いのであります。
面白山から続く陽性の山であるな、と、おっさんは思っている訳です・・・大東岳は脊梁山脈から外れているんで山の素性が違うと思うんであります・・・なんか、陰気と言うか暗い感じがしませんか? 偏見ですか?
おっさんはこの陽性の山の原因は季節風だと思うのでありますが・・・。
ハマグリ山の手前(本日の写真No.3)の開けた所など標高では1100程度しか無い訳ですが、恐らく風衝地的な所で灌木も育たなくて開けているのだろうと思う訳です。


ハマグリ山 山頂のプレートにこの山を愛する人の心意気を感じます。

 で、ここからの稜線歩きはホントーに楽しいと言いますか、山歩きの醍醐味を味わえると言いますか、コレから行こうとする山や、次のピークが常に見えている訳です。
ナンだかアレです・・・正統派の山歩きとでも申しましょうか、日帰りの行って来い山行なのに縦走している気分にさえなれるのであります。


いや、花が咲いてました・・・名前は知りませんけど、可愛いもんです。

 トンガリ山から山形神室に向かう尾根は雪で削られて狭いのであります・・・新庄神室と似てる感じもします。
で、一寸した岩場なども有って、おっさんはそこでスカルパの靴底の実力を試してみたのでありました・・・合格です。
靴底の先端部に「クライミングゾーン」とかナントカ書かれているのでありますが、実際に履いて床などを歩いてみると、クライミングシューズのように吸い付く感じがした訳です・・・ややっ、これは岩に吸い付くのか? と。
で、結果は・・・いや、本格的なクライミングは別問題として、岩場の多い高山歩きでは絶大な威力かも知れない、と、思った次第であります・・・流石にスカルパだわ。

 

トンガリ山までほぼ一時間・・・良いペースであります。

 さて、トンガリ山辺りもアレです・・・小さなピークの上り下りが有って、なんだか登ってるんだか下ってるんだか、と思っちまう訳です・・・まっ、それが尾根縦走の楽しみと言いますか、味わいと言う事なのですけれども、しかし、登山者的気持ちとしては、稼いだ標高は維持したい・・・下って登ってが見えると、もったいねぇなぁ、と言う気持ちがするのは否めない訳であります・・・だからでありますか? 雁戸に行く人に比べるとこちらはいつも空いているのは。


脊梁山脈縦走は清水峠(二口林道)へ、仙台神室は今は行き止まりです

 なんか風が冷たくなって、遠くで大砲か発破のような音が聞こえるのでありますが・・・まさか、雷じゃないよな、と。
しかし、仙台神室の姿は遠くから見ても近くから見ても異様と言いますか威容と言いますか、近くの山と比べてもひと味違います。
で、山形神室の登りに掛かると樹木の背が高くなって景色が見えなくなります。
まっ、秋には紅葉がキレイで良い感じの所になる訳ですが、しかし、コレからは薮っぽくて唯一煩い所箇所でもある訳です。
で、それはやっぱし風の影響だろうと思う訳ですが、ここは雪が飛ばされずに着くのでこの登山コースで唯一の泥濘地も有ったりする訳です。


本日唯一の雪・・・雪田がありました。やっぱしここは積もるのでしょう。

 本日は新しい靴を履いている事がまるで子供のように嬉しい訳であります・・・なので前半はしゃいで飛ばしすぎてバテて参りました。
うーん・・・仙台神室の最後の登りはアレなんでよなぁ、などと思って歩いていると、第一村人が下山して来まして「あと1時間半です、頑張って下さい」と励ましてくれた訳です。
ああ、そうですかぁ、どーもぉ・・・などと曖昧に返事はしたものの、そんなに遠かったっけカァ?40分〜50分で行くんじゃなかったっけ?などと思いつつも、しかし、目の前に見える稜線はまだ結構遠いのでありました。


やぁーやぁー最後の登りは流石にキツかったと、11時28分到着です。

 いや、宮城の山なんて言う本を読むと南蔵王のコガ沢の徒渉点なんかを宮城県で一番、星三つを付けているんだけれども、仙台神室の最後の詰めも中々アレだよな・・・年寄りと女子供には下りでお助けロープが欲しい所じゃないかい? 少なくても星二つだろう・・・ナァーンて思いつつ登って来た訳です。 いや、おっさんはロープなんて要りませんけど、しかし、雨などで少しでも濡れたときの事を考えるとお助けロープは必要だよな、なんて思ってみた訳であります・・・いや、ですから、乾いていればドーでも良いんですけれどもね。


いつもの豪華な、カップ焼きそばと缶ビール、魚肉ソーセージにコーヒーの昼飯です。

 で、山頂でのんびりと焼きそばとビールを楽しもうと準備をし始めたら、いやはや、何千匹居るんですかぃ?と言う程のハエだかアブだか、そんなモノが群がって来た訳です・・・運の悪い事に飯を食っている間だけ無風でした。 で、ガスコンロを炊いているとその上だけは虫が来ないんで無駄にお湯を沸かし続けた訳ですが、飛んで湯に入る山の虫、でありまして、ドー言う訳か虫はお湯に飛び込むんであります・・・まっ、嫌なら、死にたく無かったら近寄るな、であります。
しかし、この山の標高はホントはナンボなんでありますか?国土地理院の地図では1340位になっているんですけれども、看板では1355となっている訳です・・・看板を掲げる人とかは愛着があるからか、一ミリでも高く書こうとする傾向が見られると思うのはおっさんの偏見でありましょうか?


登りでは見えなかったんで、今咲いたばかりじゃないんですか?

 さて、12時25分下山開始でありました・・・いや、虫に苛まれたとか宣いつつ、しっかりと一時間近くものんびりしていた訳であります。
カップ焼きそば食って小さな缶ビール一本飲むだけなんですけど、良く間が持つなと自分でも感心します・・・いや、もう既に不穏な空気が漂って黒い雲に覆われて景色もろくに見えていないんですよ・・・しかも、鼻から虫を吸い込んで死ぬ程むせたりして、何も面白い事も無いんですけどね・・・まっ、もたもたしてれば一時間なんてすぐですね。
で、下山する前に反対側の尾根筋に微かに残る踏み跡を少し辿ってみたんですが、20メートルも行くと完全に消えてなくなりました・・・雉子場への道でしたか?


今歩いて来た尾根筋と仙台神室を振り返る。

 いや、仙台神室の急斜面を降り切ったらすぐに雨が来まして、ゴロゴロとか雷が喉を鳴らす音も聞こえて来た訳です。
で、天気が良かったら仙人沢を下るもおかし、なんて事を思っていたんですけれども、沢筋にはまだ雪が詰まっているのに雨まで降り込められたら危なくて行けません・・・元来た道を戻るしかないな、と。
いやぁ・・・見晴らしの良い稜線と言うのは風雨の時にはモロである、と言う事な訳で、辛いもんであります。


2時41分・・・駐車場に車は一台も居ませんでした。

 おっさん、下山の足が遅いのは自覚している訳です・・・しかし、それにしても本日は遅かった・・・まっ、言い訳すれば、濡れた岩場など慎重に慎重を期したとも言えますが、それでもガイドブックが2時間15分ですよ、と宣っている所を1分余計の2時間16分掛かっている訳です。
下りが遅いと言うのは・・・身のこなしが鈍いんだな、と、先日言われて反論できなかったのが悔しいんでありますが。

  いやぁ・・・雨でも、寒くても登っちまえば、楽しかった、と。


     この話 完


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