写真入り・山日記

        

  白髪山・前白髪山(柳沢小屋から)(標高1284.2メートル)


     2012年05月27日 (日) きっぱりと 晴れ 


 日曜日なんで迂闊な山に行くと混んでいる訳です・・・時にはあまり多くの人が山頂に立つ為に標高が少し低くなるとさえ言われている訳です・・・まっ、嘘ですが。
しかし、下手な所へ行くと混むのは間違いない訳で、混んでいる山はおっさんは苦手な訳です。
ほう・・・理由を訊きますか?・・・もよおしてもキジが撃ち難いじゃないですか・・・理由はそれだけです。
そんな訳で、日曜日でも空いている山となるとぉ・・・この天気だしなぁ、無いよなぁ、と。
おおっ・・・山形まで行けば空いてるんじゃないかい? んっ・・・観音寺コースを横にそれて白鬚山・・・マニアックだなぁ。


黒伏山の岸壁・・・いや、マルチピッチは一人じゃ難しいんで登りませんけど、やりたいなぁ。
 で、おっさんの家は元々、仙台市青葉区とは言え、大字山奥字谷底地区なものですから山形の県境には近い訳です。
そんな訳で作並まで20分と掛かりませんで、関山のトンネルを抜けて東根の分岐点まで40分もあれば行っちまう訳です。
そこから黒伏高原スキー場を目指し軽快に登って行くと、あの岸壁が見える訳であります。

 

スキー場が終わると砂利道です。
 さて、どんな林道なんだろうかと少しドキドキしながら向かうと、拍子抜けする程に良い感じでありました。
いや、昨年「沢渡黒伏」に登るべく向かった林道はトンでも無く酷かったので覚悟していたのでありますが・・・。
そんな訳で軽快に登って行きますと、結構な雪の溜まりに出会した訳です・・・あいゃぁ、越えられっかなぁ?と。
車の人達はここでお終いのようで7〜8台が停まっていました。
で、歩いて偵察に行きますと、雪の距離は50メートル前後・・・押せば何とかなるな、で押して登り切った訳です。
乗り切ったら目の前に柳沢小屋がありました・・・思ったより快適そうです・・・トイレ小屋あり。


柳沢小屋から5分も登ったらまた雪で、押すのに疲れて歩く事に。
   いや、走らないバイクは小さなカブと言えども押したら重い訳です・・・ナンたって登りですからね。
そんな訳で地図を読むと残りは2キロと少し・・・歩いても30分・・・歩こう、と。


30分程で観音寺コース登山口へ・・・ここまで普通車で楽勝の感じです。

 いやぁ、新緑の林道をテクテク歩くのは気持ちが良いです・・・風薫る・・・ホントに若葉の匂いがするようでした。
で、程なくして登山口に着くと・・・「観音寺コース入り口・御所山まで5.5キロ」と書かれ、登山届けの提出箱もありました。
よし、色々あったから登山届けでも書こうかと思って箱を開けたら紙も鉛筆も無いので諦めました。


10時32分・・・登山道に入る。

   うーん・・・予想通り静かだわぁ・・・下に止まっていた車は山菜採りで登山者は居ない感じでありました。
いや、明るい登山道はとても良く踏まれていまして思っていたよりも利用者は多いようであります・・・刈り払いも完璧です。


沢筋に雪が詰まっていて、その先は尾根・・・コレを詰めたら速く無いか?と。

 間違いようも無いキチンと整備された道でして、本日は訳あって白鬚山でけれども、いずれこのコースで船形山頂も極めなければならないな、と思わせる良い登山道でありました。
しかし、ナンだカンだ言いましてもやっぱし山形側でありまして残雪は多い訳です。
日陰と沢筋には漏れなく残雪がたっぷりとついて回るのであります。


またもや美味しそうな雪渓であります・・・これは稜線まで詰められんじゃないかぁ、と。

 沢筋や日陰の雪渓は稜線まで続いている感じで行けそうですし、方向的にも良い感じな訳です。
しかし、この度は始めてと言う事で上の方がどうなっているのか判りませんので慎重を期して登山道を選んだ次第であります。

 

粟畑の三叉路手前はブナの二次林のようで気持ちの良い道でありました。

 粟畑までの道はきつい登りも無く、足場の悪い所も無く、殆ど気楽なハイキングコースでありました。
で、粟畑で稜線が交わって、真っ直ぐが観音寺コースで御所山へ、で、左に行けば柴倉山を経て黒伏山へ、で、右に行くと白鬚山を経て寒風山から笹谷峠になるのであります。
いや、粟畑は雪の溜まりでありましてどのコースも夏道は判然としません・・・まっ、概ねあっち、で行けば良い感じでありますか?。


粟畑の三叉路付近は雪の吹き溜まりでした。

 ここまで先行者の足跡は皆無でありましたが、しかし雪の上には最近歩いたと思われる足跡が残っていました。
で、それが向かった方向は、柴倉山経由で黒伏高原スキー場方向でありました。


船形山方向は詰めて行きたくなる雪渓でありました。

 さて、自分の行く方はどっちだ?で右方向を見ますと・・・赤布がありました。
が、しかし、布の赤布ではなくおっさんの大嫌いなビニールテープであります・・・ああ、これは、寒風山の山頂で見たものと同じだ。
と、言う事で、残雪期に尾根通しに縦走などした人が居るようであります・・・おっさんもやってみたいなぁ・・・来年だなっ、と。


少し上がると稜線に出て突然視界が開け、仙台カゴが突っ立っていました。

 稜線に出たらぶっ魂消でありました・・・全方向丸見えであります。
いやぁ、柴倉山の岩峰も見事ですし、目の前の仙台カゴも、その向こうの船形山は山頂小屋も見えるのであります。

 

尖った沢渡黒伏の先には葉山が見えていました。

 稜線に出るととても気持ちの良い尾根ある気になりまして、天気の良さと相まって殆ど天国であります。
標高にすれば僅かに1200メートル程度なのですが積雪の多さと風の強さから森林限界を超えていて灌木と笹しかない訳です。
で、此所でも道はしっかり踏まれていまして、白鬚山は仙台の人が思っているよりも登られているのだなと思いました。


11時22分・・・登山道入り口から50分程で山頂でした。

山頂から面白山方面の山や蔵王まで見えました・・・灌木帯なので眺望はバッチグーです。
昭文社の登山地図ではこのルートは破線になっていますが、刈り払いもされており、踏み跡もしっかりしています。
まず、白鬚山までなら軽いハイキング気分で来られるし、そして、まさかと思う程の展望も得られるのでお勧めです。
いや、あんまし良いぞと宣伝して、行ってみたら屁でもなかったと言われるとアレなんですが、まっ、花も凄いです。


黒伏の南壁、黒伏山、沢渡黒伏が見えました。

 さて、山頂まで一時間も掛からずに来ちまいまして、まだ昼飯には少し早い訳です・・・いや、下りは30分で行っちまうでしょうし。
ンじゃぁ、昨年途中で終わっている寒風山までの稜線をこっちから行ってつなぎますかぁ?と、言う事で戸立山を目指して前進。


山頂に雪は無かったんですが少し進むと大きな雪渓が・・・。

 やっぱしこの道の良さは白鬚山までのようであります・・・いや、思ったよりは良いんですが、歩く人は多くは無さそうでありました。
で、山頂から少し薮っぽい道を下りますと、見事な雪渓になるのであります・・・いやぁ、降りるのは良いけど登るのがなぁ、と。
今時の残雪は締まっていますのでキックステップでと言いましてもそんなに簡単には行かないんであります・・・アイゼン無いし。
いや、この時期にこんな低山でアイゼンを所望するとは夢にも思わなかった訳で、持っていません・・・まっ、何とかなるだろうけど。
と、言う事でズンズンと気持ちよく雪渓を下ったのでありました。


少し薮になって夏道を歩くとまた雪渓であります・・・冬の豪雪が伺えます。

 いや、雪渓だけなら良いんですけれども・・・いや、良く無いか。
このルートは登山地図では破線が書かれていますが地形図では廃道で載っていないのであります・・・なのでGPSの地図は役に立ちません。
そんな訳で夏道が隠れている所を気持ち良く雪の上を歩いて行くと、少し外れていたりする訳です。
基本的に細い稜線なんで方向的に間違う事はあり得ないんですけれども、僅かに数メートル道から外れると、そこは薮であります。
灌木帯の薮は沢筋の薮とは違って細い枝が密集した強靭な薮であります。
時に超密集した灌木に捕まると押しても引いても抜けられないのであります・・・とても痛いし。


雪渓の終点は夏道ではなく薮でありました・・・まだ時間はある・・・前進、と。

 やっぱしなぁ・・・夏道はどこだろう、と探すんですけれども、元々そんなに踏まれていない訳で、細い訳です。
まっ、降りる事は無いから馬ノ背の高い所を狙えば、と薮を漕ぐと、僅かに4空メートルで夏道に復帰でありました。
で、今は良いけどこれから草や笹が伸びたらこの道も薮になっちまうよなぁ、と言う感じの道を行く訳であります。

貴方は前白鬚山と言う名前の山の存在を知っていましたか?

 いや、思ったよりも手強い道でありまして、ガンガンと下っちまう訳です。
一番低かった按部は1100メートルを切っていたと思う訳で、景気良く下がった分はまた登らなくちゃならない訳です・・・気が重い。
で、薮に絡めとられて中々思うように進まないなぁ、と思ってたどり着いた小さなピークに「前白鬚山」の看板が下がっていた訳です。
へえーっ・・・前白鬚山は知らなかったぞ、と言う事で地図を出してみると、これはどーも奥戸立山と白鬚山の間の1142メートルのピークのようでありました。
で、時計を見ると11時55分・・・戻って12時半・・・飯時だな・・・よしっ、撤退、と。


結構な急傾斜でお助けのトラロープが無ければ難儀するでしょう。

 このルートが歩かれているのは白鬚山までのようでありまして寒風山方向へは薮で歩き難い訳です・・・まず、止めた方が良いです。
そして、寒風山方向へ下山なら良いのですがこっちへ戻って来るとなると登り返しがきついんで精神的に参っちまいます。
しかも、行っても薮ばかりなので「藪山マニア」以外は楽しく無いと思います。


最後の詰めがこの雪面の登攀でありました・・・アイゼン欲しかった。

 さて、奥戸立山まで行ければ昨年あっち側から攻めたのと繋がってこの稜線貫通なんでありますが、残念でした。
いや、後30分で往復できる所なんですけれども精神的に嫌になっちまいました・・・薮が。
で、戻るとなると下った分を登り返す訳で・・・やめりゃぁ良かった、ナンだって急なんだこの道は、と、愚痴る訳です。
トラロープのお助けを借りた急登は精神的に応えました・・・ビール呑みてぇ、と。


三等三角点の前に座り込んで豪華な昼飯・・・カップ焼きそば、デコポン添えであります

 そんな訳で今イチであった体調の事もあって、短距離・短時間にも関わらず思いの外絞られた突撃でありました。
やっぱし山は高きが故に尊からず、で間違いないよなぁ・・・薮とエベレストはどっちが辛いんだろうか、などと下らない事を考えつつビールを飲み、一平ちゃんのマヨビームに感動などしてのんびりと過ごしました・・・なんたって天気が最高なんですから。
で、ビールが効いてポヤーンとして来たので笹薮にひっくり返って昼寝などしまして、気が付いたら小一時間も経っておりました。


少しホンワカ気分で気持ちの良い稜線を下ります。

 白鬚山は登るのに雑作も無い山の割には得るものは多い、とてもお買い得な山であるなとおっさんは思います。
いや、南面白山の稜線やらも良い感じですけれども、あっちは行くのに多少なりとも気合が必要です。
しかし、柳沢小屋からの白鬚山は完全にハイキングであります・・・それでいてこの高度感と絶景が楽しめる訳です。


林道歩きも入れて50分弱で下れました。

 白鬚山からの下りは登り返しが全くないので楽チンです。
しかも、大きな段差の乗り越えなども無く、ホントーに気楽にお散歩気分であります・・・それで居て景色や花は充分に楽しめる。
で、本日は林道のしたの方にバイクを置いて来たので歩く距離がナンボか伸びていますが、雪が無くなったらもっとお手軽になる訳です。
おっさんの見立てでは・・・登り55分・下り35分・・・全行程で1時間半みれば何とかなるはずであります。

 しかし、仙台カゴなんか、ロープ出しててっぺんに登った人は居ないんですかね? ねっ、千葉隊長?  ねっ・・・。

    やっぱし山は良いもんです。


     この話 完


山の状況、情報は適当ですので、ご注意下さい・・・


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