写真入り・山日記

        

  Mt bierstadt(標高14060ft 4285m)


     2012年06月10日 (日)  天下無敵の 晴れ 


 いや、知らないと言うのは色々とナニな物でありまして、本日登ったMt bierstadtは、言わばデンバー市民の泉ヶ岳、茨城県民の筑波山みたいな存在で有りましょうか?・・・そんな山にノコノコと日曜日に出向いちまった訳ですから、まっ、人の多さは格別でありました。
で、半分推測なんですけれども、冬の間閉ざされていたトレールロードが6月に入って歩ける様になり、しかも、この後の本格的な夏には暑さやら雷が厳しくなると言う事で、今が一番混む時期なのかも知れない・・・なんて事を思いつつ登ってみた訳です。

 で、本日のMt bierstadtなんですが、ホントーにハイキング感覚の道でありまして・・・と、登山者のおっさんは軽く見ますが、スニーカーで来ていたアメリカ人は途中で戻る人も相当数居た訳ですが。
で、只今の季節を・・・ミッドサマーとか申すようでありますが、こんな簡単な山の注釈に「トレール インポッシブル スプリング」と書かれている訳で、残雪期は止めとけよ、となっている訳です。
まっ、おっさんの勘では、3月の不忘山程度のナニじゃ無かろうかと思うのでありますが。


 前説おしまい。


早めに着いて良かった・・・この30分後からは路駐です。
 先日、西部開拓時代の留置所・・・西部劇で言う所のブタ箱が残っていると言うんで、ジョージタウンにドライブして来た訳です。
そこで久しぶりに野菜たっぷりのサブウェーのサンドイッチを食ったり、街の観光案内所で、後でどうせ捨てちまうくせに大量のパンフレットをもらったりして遊んでいた訳です。
で、その時に、Guanella Passへの道ってどーなの?山道で危険なの?なんて事をガソリンスタンドで尋ねた訳です。
いや、その峠にはMt Bierstdtに登るトレールヘッドが有る訳で、行けたら良いけどなぁ、と言う期待で尋ねてみた訳であります。
そしたら、日本人よ、お前は運が良いぞ・・・つい先日全面舗装が終わって峠まで快適に登れる様になって開通したばかりだ・・・たぶんそんな事を言ったのだと思う訳ですが、兎に角、舗装路で登って行けるのだと教えられた訳です。
で、ついでに、日用は混むからな、早く行かないと車が置けなくなるぞ、とも教えてくれた訳です。
そんな訳で、テント場を5時に出て6時少し過ぎに峠に着いたんでありますが・・・既にほぼ満車、と。

   

ドーですか? のどかな入り口はまさに泉ヶ岳・・・感じませんか?
  余談なんですけど・・・日本でも「トレラン」と称して登山道を走るのが流行っている訳ですが、本場のトレールロードは決して登山道では有りません。
そして、山頂まで登るトレールロードはとても少なく、山頂へ向かうとそれは登山と言われて区別されている訳で、道もトレールロードとは質が違ってる訳です。
なので、日本のようなデリケートな登山道を何百人もが駆け抜けるような、自然に対してインパクトの強い「トレラン」は本場ではやっていない訳です。
トレランって山道を走るのでは有るけれども、登山道を走るのではない事を、地方自治体の体育関係者は調べた方が良いと思うんですけどねぇ。
いや、泉ヶ岳から始まって長倉尾根を抜けて三峰、後白髭から定義に至る、登山道を走るトレランを仙台市が主催しているもんですからね・・・アレ、嫌なんだよね。
まっ、日本にはホントの意味でのトレールロードが無いのにトレール ランニングをやっていると言う所に大きな無理が有る訳ですけどね。


尾瀬・・・? しかし、ホントに環境に配慮してます・・・金掛かってますし。
   そんな訳で、完全にハイキング的コースを歩き始めた訳ですが、皆してもの凄く早い訳です。
いや、ホントに老若男女、漏れなくおっさんを追い越して行くのであります・・・まっ、元々そう足の速い方でもないんですが、ここまで置いて行かれると本日は相当不調なのか?などと思ってみたくもなったりする訳です。
しかし、おっさんも4000mオーバーにはだいぶ馴れた訳で、まっ、今急いでいる奴らの63パーセントは後におっさんに抜き返されるんだけれどもね・・・たぶん、とか思って行くのでありますが。


箱庭みたいなんです・・・ロッキーのなんとかの家?ってテレビ見てませんでしたか? まんまあんな感じです。

 本日の山も登山ガイドのレベルでは「モデラート」で有ります・・・ トレールロードガイドでは星三つであります。
で、このトレールロードは犬を連れた人がやたらと目立ちました。
犬もリュック背負って水などは自分で運んでいるのが笑えます・・・あいゃっ・・・小川が沢山有るのに犬も飲めない水なのか?
それにしても人が多いと言いますか、次から次と抜かれる訳で、どう言う訳かもう下って来る人まで居る始末であります。


昔は砂金取りで賑わったクリークなんでありましょうが・・・今も砂はキラキラしていますが、黄鉄鉱か?

 写真の通りでありまして、ずーっと超緩やかな登りな訳です。
しかし、本日の標高差は650mと、ホントに泉ヶ岳な訳でして、それを片道6キロで行く訳ですから、その傾斜は推して知るべしな訳です。
しかし、雲一つない快晴の空なんですけれども風が強くて気温は下がり気味と申しましょうか、半袖一枚と言うわけにはいかないのであります。
そんな事から推測しますと、おっさんが登っている条件は恐らく、近来まれに見る好条件ではないのかと思う訳であります。
いや、なんぼモデラートとは言え、ホントに泉ヶ岳感覚なんでありますから拍子抜けします。
しかし、稜線で吹く一瞬飛ばされそうな強風とか、残雪の残る斜面など登ってみると・・・一旦荒れたら怖いんだろうなと言うのは容易に想像がつくのでありますが・・・。


雄大ですけど、穏やかな風景です・・・この山は好きです。

 いや、それにしても標高が上がらないな・・・だからアメリカ人どもは調子こいてズンズン行くんだけれども、4000m越して泣き見んなよぉ・・・と、悔し紛れに思うんですけれども、コロラド州民はそもそもが高地民族な訳で耐性が出来ているんで何とも無いのでありましょう。
本日・・・登って下るまで6時間も有ればと見ていますんで、おっさんはいつに無くのんびりであると言うのも抜かれる理由でありますか?。
それにしても、日本人の匂いが珍しいのか?犬がやたらと寄って来たりまとわりついたり・・・んっ?臭いのか?


やっと山らしくなって山頂が視野に入って来ました。

 4000mを超えると途端に呼吸が苦しくなると言いますか、息が切れ出す訳です。
しかし、最初の時よりはだいぶ良くなりまして・・・まず、アレです、雪道の運転と一緒で急のつく動作は厳禁であります。
で、疲れている訳ではないと申しますか、筋肉や燃料系統に異常がある訳ではないので立ち止まっても標高は変わらないのであんまし楽にならないと思う訳です。
まっ、何日もそこに居れば慣れるとか有るのかもしれませんが、この程度の短期では何度か4000m越えをしていても然程の効果はないと・・・あっ、いや、4000超える時に起きていた吐き気とか無くなったし、鼻血もなくなったんでやっぱし順化してるんでありましょうか?・・・顔の下膨れも起きなくなりましたし。


いよいよ山頂への最後の登りです・・・雪から行くか?岩を行くか?

 さて、犬にも年寄りにも抜かれて山頂下へやって来た訳ですが、この少し下で本来のトレールロードは終わっている訳です。
いや、その先も完全に明確な道は有りますし特別道具や技術を要する道でもないんですが、管理されているトレールロードは終わり、と言う事なのでありましょうか?
で、意外にもここで腰を下ろしちまう人が多く見受けられる訳であります・・・確かに、この辺りから上は強風でまともなウィンドブレーカーなど持たない人は行けば地獄では有ります。
いや、短パンに半袖、帽子を斜めに被って彼と彼女でルンルンハイキング、みたいなのがそこいら中に居る訳で・・・目障りだからあっち行け、と言う感じであります。


雪を避けて岩を登る人が多いんですが、この程度だと雪が登りやすいと思うんですけど・・・。

 ドーなんですかね・・・ロッキー山脈なんて言っても夏に登る分には大した事は無い訳で、日本の山に普通に登れる人には何処でも登れるんじゃないか?なんて思い始めたのがここの岩場と雪でした。
まっ、登っているのがハイカーと言う事で、登山者ではないと言われればそうなんですけれども、岩にしても雪にしても・・・こんなの泉ヶ岳じゃ80の婆さんでも平気で登るけどなぁ・・・なんて事を、へっぴり腰で登る現地人を見て思ったりした訳です・・・生意気に。


いや、迂闊に立っていると吹き飛ばされそうな強風なんで座ってます。

 意外に呆気なく山頂に立ったとも言えますが、しかし、最後のひと登りは登山であるな、と申しましょうか。
まっ、やっぱし登山でありますね・・・スニーカーで来た人は殆ど戻って行きましたから。
岩が浮いていると言いますか、迂闊に足を下ろすと動くのが多くて、特に下りでは吟味して踏まないと冷やっとするのであります。
で、山頂からの眺めは毎度の事で雄大なんですけれども、山座同定が出来る訳でもなく・・・唯一、最後まで登るかどうか迷ってたロングスピークだけは何処から見ても特異な山容で歴然と判るんでありますが。
で、本日は時間的にもとても余裕なんで山頂で昼飯でも・・・と、言ってもビスケットと水だけなんですけれどもね・・・それをゆっくり食うかな、と思っていた訳です。
で、風下側の岩陰を覗くと・・・まぁーたコレだもの、と言う感じで、若い男女が仲睦まじくそこかしこに散らばっている訳です。
ふうーっ・・・おっさんの居場所は無いね、と言う事で、本日も昼飯は歩きながらでありました・・・ソイジョイが無くなっちまったのでガソリンスタンドで買ったビスケットなんですが、カントリーマームとそっくりで喰えました。


下山の姿・・・随分下では有りますが、牧歌的でのんびりです。

 山頂が尖り気味なので下り出せば一気に標高が下がると言うので呼吸は急速に楽になる訳であります・・・劇的です・・・たぶん。
で、雪の後が少しの岩場で、後にガレ場で、その下がザレ場・・・と、申しましても1時間後にはしっかりした土のトレールロードに出ると言うお手軽なんで疲労感もほとんど無く、ホントに雄大な景色を堪能し、今まで撮りたくても苦しくて屈むのが億劫で取り損ねていたアメリカの高山植物達を撮ったりして・・・だから下山路でもまた抜かれっぱなしでありました。

いつまで眺めていても飽きなくて、岩に腰掛け山を眺め、しばらくボーッとしてました。

 そうだ・・・水もあんまし飲んでないなぁ・・・息も上がらなかったもんなぁ・・・泉ヶ岳と言うよりも権現森かぁ?なんてね・・・しかし、ピッケルを背負って来た人が少なからず居たと言う事は、雪が有ればそう言う装備が必要な山である事はおっさんも認めます・・・天気に恵まれるとどんな山でも簡単に登れちまいますからね。
いや、デンバーに着いた当初は雷だの強風だの、どうなる事かと心配したんでありますが、ホント、ついてますね。


下山して来たら、駐車場に入れない車が道路の両脇に並んでいました。

 で、駐車場の反対側には別なトレールロードが伸びている訳です・・・いや、ここをヘッドに行く筋ものトレールロードが伸びているんであります。
その一筋から泊まりの道具を背負った男女4人のグループが降りて来ました。
偶々車が隣だったので「何処を歩いて来たの?」と尋ねると「サウスフォークトレールを行って名も無いピークの山頂で星を見て来た」と・・・やっぱし、噂に聞いた「オーバーナイトサミット」ははやっているのであるな、と。

 いやぁ、楽だったから楽しいのか? 楽しいから楽だったのか・・・おっさん、岩とか雪も嫌いじゃないんですけど、基本的には土の道の山が好きなんですね、たぶん。
で、緑がいっぱいで花が咲いているのが好きなんですね、たぶん。
だから本日は体力的に楽だったばかりではなく、精神的に満足したから楽で楽しいんでありましょうね。
コロラドの14000ftオーバーの山の登山ガイドでもこの山は楽に登れて楽しい、とお勧めでありましたが、やっぱし、アメリカ人にもハードに攻める山だけが好かれている訳ではないのであるな、と、確信したのでありました。



 いや、ホント・・・この山は気に入りました・・・また行きたいです。



   いやぁ・・・アメリカでも、やっぱし山は良いもんです。



     この話 完




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