写真入り・山日記

        

  Longs Peak(標高14259ft 4346m)


     2012年06月12日 (火)  比類無き 晴れ 


 一昨日とてもお手軽なMt bierstadt(標高14060ft 4285m)に登り、ロッキーの山も4座〜5座とこなした訳です。
まっ、登山案内書ではすべて「モデラート」易しいにランクされる山で、唯一、Mt Idaが雪の関係でナンボか手強かったか? うーん、地図には載っていなかったMt Evansがテクニカルと言う意味ではアレだったか?などと振り返ってみる訳です。
しかし、「モア ディフィカルト」や「ベリー ディフィカルト」には手も付けていない、足も突っ込んでいないと言うのがどーしても引っかかる訳です。
途中敗退でも良いではないか・・・行かずに尻尾を巻くのは如何なモノか?大和魂と歌麿の名折れではないか?・・・うーん、でも進退窮まったら嫌だしなぁ・・・携帯通じないしなぁ・・・と、考え倦ねていた訳です。
残る日にちは、二泊三日・・・移動日を考えると一日しかない訳で、どーすっかなぁ、行くとしたら何処に登っかなぁ? と。

 で、まだ使っていない地図が二枚有ったのであります・・・一つは、「Aspen」と言う街を起点に展開される山群の地図で、モデラートからベリー ディフィカルトまで様々有るのであります・・・もちろんロケーションの下見は既に住んで居るし、登るとすると、アルパインツアーで良く登るMt Erbertか・・・しかし、此れもナンだカンだ言ってもモデラートであるし・・・今までの経験から考えれば、モデラートはやっぱし日本語にすると平易と訳して良いような感じな訳で、たぶん、ベリー ディフィカルトも息切れが激しいだけで登れるんじゃないのか? などと思い始めても居た訳です。

 と、言う事になれば・・・もう一枚残っている地図の「Longs Peak」か?・・・これは、ベリー ディフィカルトであり、ロッキー国立公園の看板の山でもある訳です。
正面の垂壁は著名なクライマーが練習したり遊んだりと、日本人にも有名だそうであります・・・おっさんもここに挑んでみようか、と思ってみたりして・・・いや、正面突破はもとより無理なんですが、裏から登れるルートが有るらしくて。
しかし、地図を買い求めに立ち寄ったエステスパークの山道具屋さんの若いスタッフが、アイゼンとピッケルの世界だし、ザイル結ぶ相手が居なかったら厳しいかもね、と、まだ残雪期の山である事を示唆するのでありました・・・ウーム、雪と凍りに対しては岩よりも遥かに自信は有るけれども・・・しかしなぁ、クライマーの世界でも有名なこの界隈の山道具屋がそこまで言うんだからなぁ、と、ビビっておりました。

 結局、残りの2泊をこのまWest Chicago Creekのキャンプ場でくすぶっていても仕方が無いんで、キャンプだけでも移動しちまおうと言う事でLongs Peak のキャンプ場に来た訳です。
で、空いてるスペースを見つけデポ金を入れてテントを張っていたらレンジャーが来てアレコレ話しをして行ったので、Longs Peakの条件は今ドーなのよ?と尋ねてみた訳です。
そしたら、たった今降りて来た奴らが居るから紹介するよ、と、連れて行ってくれた訳です。
で、屈強そうなアメリカの若者の二人に様子を聴くと、雪は無い、岩場も安定しているのでクライミングシューズもロープも要らない・・・居るのは大量の水と忍耐だけだ、と。 序でに本日持って行った装備を並べてみせてくれたけれども、一応簡単な岩の備えはして行った物の、どれも使わなかったとの事で、テクニカルじゃない、体力と根性だ、と宣って、行くなら夜明け前出発な、と、念を押してくれたのでありました。

 これで行く事に決定でありました。

 前説おしまい。


懸念されたのは、行動食が残り少ない事でありました・・・これ、朝昼兼用です。
 三時起床。
起きてすぐにテントの中に準備してあったコンロでお湯を沸かしマルコメの味噌汁を作りビスケットを2欠片食べて朝飯はお終い。
いや、喰いたく無いと言うのも有りますが時間も勿体ないし・・・今日まで喰わずに来たんだから大丈夫と言う確信が不思議と湧くのでありました。


まだ開けやらぬロッキー山脈の朝・・・なんとなく神妙でありました。

 四時出発。
ヘッドライトをして、幸いにも月明かりが・・・まっ、三日月でしたけど。
この時考えたのは、熊は夜明け頃が一番遭遇率が高いと言う事で、万が一の時にはどうやって戦うか? それでありました。
キャンプ場を静かに抜け出しレンジャーステーションの脇からトレールロードへ。
登山届けの箱には明かりが点いていていつでも書ける様になっている・・・本日は俺が一番乗りか・・・へっ、昨日は2時出発がいる。
と、後から4名のグループがもの凄い勢いで迫って来て追い越して行く・・・先頭は女性だった。
最後尾のリーダーらしい男性が早過ぎる、と声を掛けていた。
 

いや、若い女性の声だと思っていたんですがね・・・夜が明けたら魂消ました。

 さて、本日の歩行距離は16マイル=25.6キロで、累積標高差は・・・1600メールであります。
歩行距離だけが長い訳で、標高差は丁度南アルプスの北岳を広河原から登ったときと同程度でありましょうか・・・まっ、騒ぐ程ではないと。
しかし、この距離ははっきり言って誤算でありました・・・ボルダーフィールドまで、殆ど標高を稼ぐ事も無くダラダラと登り、岩場に入ってからガツンと登って行く訳です。
ロッキーのトレールロードって、歩くのが目的ですから、急な傾斜も緩くジグを切って行く訳で、必然的に距離はダラダラと伸びる訳です。

  

ロッキーの夜明けであります・・・夜明け前にと思って一発キジを撃ったら直ぐ後に後続が居て驚きました。
   いや、先行していた四人組とは抜いたり抜かれたりと・・・おっさんは休まずズーッと同じペースで歩いているんですが、アメリカ人の歩行は、ガァーっと行ってはドッかと腰を下ろして休んで、またガァーっと行くのがパターンのようであります。
最終的には常に前後する感じで・・・で、夜が明けて素顔が見えたら、皆様、遥かに年上であるなとお見受けできるご尊顔な訳で、顔には人生の歴史が刻まれているのでありました・・・いや、声がさぁ。


すっかり夜が明けまして、正面真ん中に目指すLongs Peakが見えて参りました。

 夜が明けた頃、正面遠くにLongs が見えて来まして、アレに登るのかぁ、と、心が逸ると言うよりは、あんな所まで行かなくちゃならないのか、難儀だなぁ、の思いの方が強かったのが正直な気持ちで有りました。
いや、写真で見るよりもホント、遠くと言いますか、歩いても中々近寄って来ないと言いますか、心が負けそうになります。


陽が高くなるに連れLongs Peakの頂が高く迫って来る様になりました・・・が、まだ遠いんです。

 何も無い訳であります・・・ホント、岩だらけの殺風景な山を見据えて、今から行くからなぁ、待ってろよ、とか色々と自分を鼓舞するんでありますが、現実的には、なんて言う事の成すトレールロードを黙々と歩くのみなのであります。
時折クリークを渡るときなど、日本ならここで水をすくって一口吹くんで一服なんだがなぁ・・・この水が生では飲めないと言うのは不幸だなぁ、と、思ったりして。
実際この先にあるボルダーエリアは正面の壁や近くにある無数のクライミングの壁を攻める人達がテントを張れる平場(岩が敷き詰められているだけで決してキャンプ場と言う事ではない)が有ってキャンプの人が居るのですが、水は、簡易浄水器で濾過し、殺菌用のドロップも入れて使っているようでした・・・煮沸じゃダメなのかな? ああ、ガスが勿体ないのか?


Longs Peakが間近に。しかし、これは正規の道では見ない風景です。クリークと滝で水が豊富で緑豊かな谷です。

 いや、アメリカババアが話しかけて来るもんでついつい着いて来ちまったと言いますか、その前に抜かしたんで、勝手に間違ったとも言えますが、しかし、ホントはボルダーエリアに向かうはずの所でPRIVYとか書かれている方に行っちまった訳です・・・しかし、地図にはそんな地名は無いし。 で、PRIVYと書かれた文字の後に小屋の絵が描かれているんですけれども・・・アレですか?この先の方には簡易トイレが有るんですけれども、それを意味しているんですかねぇ?
いや、勿論おっさんの手持ちの辞書には載っていない単語で有りました。


往復3キロ・・・100メートルの登り損・・・ロスタイム50分・・・ふうっ、ガックリ。

 で、きれいな滝と湖が見えた所で頭に地図がポポポポーンと浮かんできまして・・・俺の行く方向に滝なんて無いべや・・・滝は、CHASM LAKEとか言う、別道じゃないのか?と閃いた訳です。
そんな訳で一息を入れるのと序でに地図など取り出して見ていると4人組がやって来て「あなた何処へ行くの?」と聴くので、元気よく「Longs Peak」と答えると「それは残念ねぇ、あの壁を登るか、戻ってあのピークを巻いて行く道へ行かなくちゃ」と、宣うのでありました。
ナニオーっ・・・と、一瞬憤ったんでありますけれども、冷静になって「ンじゃぁアンタらはピッケルまで背負って何処を登るのよ?」と尋ねると、目の前の頂を指差してMt Lady Washington・・・と宣うのでありました。
雪渓登りを楽しみに来たのだと言う事で、アイゼンが無いと、とか宣う訳ですが、俺の行く道はLongs Peakだぁ、と、踵を返したのでありました。


いや、ロッキー山脈にも「大きなウズラ」がいたんでありますね・・・ライチョウです。

 いやぁ、しくじったなぁ・・・一時間のロスは大きいよなぁ、と、精神的にも少しショックでありました。
ナンと言っても、こんな見通しの良い、すこしきをつければまちがいようのないところで間違えたのが心に深い傷をもたらしたのであります・・・俺の自尊心が、あのアメリカオババの薄ら笑いに痛く傷つけられたのでありました。
まっ、戻ってみれば大した距離でもないし・・・ホント、急登とか難所を超えたんじゃ無くて良かったわぁ。

突破口は見えますか?正面でも良いんですが、順当に右端ギリギリの穴を潜って裏に回ります。

 道間違いなどして無駄に時間と体力を使っちまったのが悔やまれますが、いよいよ、ボルダーフィールドから、まずはモレーン地帯の岩場超えであります。
上の写真でガレ場に見えるのはモレーンの崩れた岩場でして、一つの岩の大きさが軽自動車とか、2トンダンプとか、場合に寄っては犬小屋程度とか・・・ツブが揃っていれば何処でも行けるんですけれども、良さげだな、と思って登って行くと先は落ちて続かないとか、割と厄介でありました。
で、標識は無いんですけれども、ケルンが積んである訳です。
概ねそれを目指して行くんですけれども、それでもやっぱし時々続かない岩に乗っちまって戻ったりズリ降りたりする訳です。
いや、傾斜が急だともっと岩が詰まって続くと思うんですけど、下の方程難しいと言いますか、判り難かったです。
しかし、この山は気の合う二人でやって来てザイルを結んで正面から登るとか、残雪を詰めて壁際の稜線沿いに登るとか、色んなバリエーションが取れそうで、成る程人気の出る山だよなぁ、と、岩登りヘボが思ったりするのでありました。


キーホールと言う穴を潜って裏に回って、いよいよ本格的な岩場であります。

 地図にはキーホールまでがトレールロードでありまして、無料でもらえる地図に記されている道はここまでで有りました。
で、自前で買ったナショジオの地図はここから色が変わって細い破線になります・・・昭文社と一緒ですね。
ここからは目印が有って、鳥の目マークのペンキを追って行けば良い事になっている訳です・・・が、これがまたアメリカチックでして、毎度の事ながら、概ねこっち・・・しかし、そのペンキの岩に乗っちまったら間違い、とか。

 

登りよりも下りには神経を使って目印が打ってる・・・ような気がしましたが。

 キーホールを過ぎた所でへたり込んでいた若者が、この先は怖くて行く気がしない、と宣っていました。
彼は3人で来て、おとっつあんと妹だか彼女は下のボルダーフィールドでのんびりしていたのですが、登って来ちまった訳です。
しかし落ちたら拙いな、と感じる斜面で腰が引けて動けなくなっちまっていたのでありました・・・しかし、良い選択だと思います。
ここで腰が引けているのであればこの先はまず無理でありますから。


いや、煽って撮っているのも確かなんですが・・・まっ、大したモンじゃないんですけど。

 昨夜、Longs Peakに行くのに装備を見せてくれた二人が持っていておっさんが持っていない物は・・・ヘルメットでありました。
この少し前、アメリカ人の若者がおっさんの後に追いついて来たんですけれども、彼は真っ当なクライマーなのでありましょう、落石を考えて真下のラインに入らず、そして適度な距離を保って着いて来る訳です。
で、相当崩れやすくて、おっさんが先で何度か石を崩した場所で若い二人の男女が難儀しているのに出会した訳です。
二人は彼に何やら話しかけていたんですけれども、たぶん、ここで戻った方が良いかも、とか言っていたと想像するんでありますが、二人はそこから降りて行ったのでありました。


ホントに厳しくなるとマークの位置も確かになるような気がしましたが・・・。

 厳しい所で落石を落としフト下を見ると、なんと若い男が一人、おっさんのラインとは少しずらし、しかも、絶妙な距離を保って着いているでは有りませんか。
あいやぁ・・・これはしまったと思ってソーリー、と言うと、彼は、下は気にするな、自分の足場にだけ注意を払え、と言うようなことを言ったと・・・まっ、良く分からないんですけど。
その後、着かず離れずで彼は下を来るんですけれども、一カ所、おっさんは雪面を行くべきかスラブの岩を行くべきかで迷って岩を行った訳です。
出来ればロープが有ったらなぁ、でも、この程度で落ちる事はあり得ないし、と、度胸を決めてジリジリとフリクションだけで登ったのでありました。
一息ついて下を見ると彼もスラブを登って来る訳で、この時、ナンだか相棒が出来たようで、最悪まかり間違っても落ちた事だけは知らせてもらえるなと、嬉しくなったのでありました。
その後、おっさんが乗り越そうとして2歩程進んだ岩で・・・そこは溝をホールドにややレイバック気味に行く所でして・・・いや、そんなはっきりしたモンじゃ無いんですけれども、しかし、まかり間違ったら下まで行く訳で、そりゃぁやっぱしヘボクライマーは緊張します。
で、手前の雪で靴を濡らしちまったのか、2歩目の足がズルっと来た訳です。
そうしたらもう身体が固まっちまって前に出ない訳です。
おっさん、恥も外聞も無く、一寸ビビったからアフター ユー、と言って下がりました・・・したら、彼は正真正銘のクライマーの様で、とても的確になんなく登って行く訳であります・・・しかも速い速い・・・おっさんを待っていたんですね。
で、その後も、彼は夏道が雪で消えている所を迂回しつつも的確に良い所を選んで抜けて結果的に山頂までリードしてくれた訳です。
ナァーンて書くと凄い所を登っていそうですが、まっ、スラブと一部の岩場で3級チョロッと4級混ぜ込み、そんな感じで普通のクライマーなら落ちません。


ホントに嬉しくて大声を上げたら、岩陰に壁を登って来たクライマーが居て、おめでとーと言ってくれました(皮肉か?)

 山頂で彼と少し話しをしたら、昨日は壁を登ってここの来たんだ・・・下りはノーマルルートだけどね、と軽く宣う訳です。
ええっ?相棒は?と言うと、ソロで、と宣うでは有りませんか・・・いや、はっきり言って参りました、本日は足腰のトレーニングに軽く登って北のだと。
で、ボルダーフィールドにテントを張ってあるのでサッサと降りて撤収して帰るのだと。

 遠くから見たらもの凄い鋭峰のLongs Peakなんですけれども、これも今までのロッキーの山のご多分に漏れず、片側が絶壁であっち側は比較的広々、なのであります。
で、山頂はまさかと思う程広くて平なのであります・・・ここはアレかもしれません・・・UFOの着陸場かも知れませぬ。

 おっさんは取って置きの昼飯用のクラッカーとチーズとハムのセットを取り出し・・・あいやぁ、朝に少し喰ったんで開けちまったからなぁ、ハムが熱い程に茹だってるんだけど・・・高所だから菌が増える事も無いだろう、ナァーンて根拠の無い理屈でやや糸を引き加減のハムをクラッカーに挿み、そして、こちらも溶け加減のデレーッとなったチーズを挿んで食ったのでありました。
いや、ンだって他に食うモノは無い訳で、多少痛んでたっていカロリーは出るだろう・・・パッキングの時に重量から日本に置いて来た魚肉ソーセージが瞼に浮かぶのでありました、が、他に喰う物も無いので貪り喰ったのでありました。
で、ここでおっさんの馬力の源・・・BCAA2500の粉末を一袋やりまして、下山開始でありました・・・この時既に12時半。
 

いや、下りは鳥の目のマークが的確で、しかも下りでは雪渓も使えたので意外と早く難所は抜けられました。

 相棒であった彼は一足先に降りて行って難所は既にクリアーしていました・・・やっぱし速いなぁ、と。
で、おっさんは只でさえ下りは苦手・・・足がもつれてゴロンなんてのは嫌ですから急な所を抜けるまでは、と慎重に下ったのでありました。
しかし、登りよりも下りの方が難儀するって言いますけれども、しかし、おっさんの独断と偏見では、やっぱし、登れた所ならば、下る方が楽だと思うのは間違いでありましょうか?


本当の要所にはプレートで方向を示していたりもする訳です。


 おっさんは岩登りははっきり言ってヘボですけれども、技術的な事よりも高度とフリクションの効きに馴れているのか?どんな感じで滑るのか、これで持つのか?なんて事に馴れていないと厳しいかも知れません。
まっ、それほどの事も無いんですけれども、雪が有ってそれが凍っても居る訳で、夏道を辿れなかったのでナンボか余計に難しくなっていたのかも知れません。
しかし、山頂を極めたと言う事は、取り敢えずでもナンでも、ベリー ディフィカルトのLongs Peakを登った訳で・・・後は無事に下山だよな、ナンでアレ、キーホールさえ抜けちまえば、と、気を引き締めるのでありました。


個の雪渓をドドドドぉーっと下って一気に稼げました・・・やっぱし雪には強いかも。

 さて、キーホールまでもそこそこ長いんでありますが、下山のホントーの勝負はここからで有りました。
ボルダーフィールドからナショジオの地図が一般のトレールロードを示すオレンヂの点線に変わると道は広くなり傾斜も緩くなる訳です。
傾斜が緩くなった分、歩いても歩いても標高は下がらない訳で、1時間下って稼いだ標高は200メートルとか・・・嫌んなります。


真ん中のズーット奥の穴の様になっている所があっち側へ抜けるキーホールです。

 いや、ホントに、下りの道はひたすら忍の一字でありまして、気持ちを支えているのは、Longs Peakを登ったと言う嬉しさだけであります。
で、このルートは日帰りでもやりますが、ボルターフィールドにキャンプを張って二日でアタックと言うのも普通にやるのだそうであります。
しかし、好天時ならば楽しそうなキャンプでありますが標高4000mで遮る物が無い場所でありますから、まかり間違ったら地獄のキャンプ場であります。

 まっ、それは日帰りでも同じ事でありまして、ボルダーフィールドで雲が出始めたら引き返せ、キーホールの向こう側のリッジは強風時には越せないと、言われているのであります。
ホント、絶好の天気に恵まれたから登れた訳で、ラッキーでありました。


キーホールを抜け、モレーンの岩場も抜けてトレールロードに出て最後の記念写真を。

 で、ひたすら只長いだけのトレールロードを黙々と歩くんですけれども、身体的には左程参っている感じは無く、明日、もう一山やれるな、ナァーンて思いつつ・・・しかし、だんだんと歩みは鈍くなるのでありました。
残り距離は・・・推定で3.3マイル・・・5キロと少し・・・1時間半と読んだんですけれども、これが距離がいい加減なのか、おっさんがバテタのか?2時間強も掛かっちまった訳です。
おっさんの勘ではマイル表示は1単位で1.6キロ有る訳で、少しづつ曖昧にしても1キロ単位の表示よりもその度合いは大きいんじゃないか、ナァーンて事を思いながら、心肺は楽なのに気持ちが参るよな・・・だからマイル表示なのか? なんて事を思いつつ涼しくなって行く静かなトレールロードを黙々と、ダラダラと行くので有りました。


午後5時19分・・・トレールヘッドのレンジャーステーション到着

 本日の総歩行距離は・・・道間違いをした罰で29キロでありました・・・出発してから13時間19分。
予定コースタイムが12〜15時間と言うので、まっ、善戦したと思う訳であります。
しかし、この度ロッキーの山巡りを振り返りますと、全ては絶好の天気に恵まれた幸運がもたらした物であるな、と痛切に感じる訳であります。
いや、おっさん程度の技量と体力でこんだけ登れたのは・・・そうとしか思えないのであります。



   いやぁ・・・アメリカでも、やっぱし山は良いもんです。



     この話 完




山の状況、情報は適当ですので、ご注意下さい・・・


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