写真入り・山日記

        

  保野川 遡行 


     2012年07月11日 (水)  曇り/晴れ 


 梅雨時の晴れ間は・・・女房を質に入れてでも手に入れろ!!!と昔の人は言ったとか言わないとか・・・多分言わないと思うけど。
まっ、そんな訳で、水曜日ですけれども、その後の天気の事を鑑みると本日行っておかないと暫く空くな、と言う予感がするもんで出かけてみました。
天気予報ではまずまずの天気と高い気温を宣っていましたんで、これは一発水浴びを兼ねて沢だろう、と言う事で、体力的に楽なんだけれども、一カ所、何となく岩登り的要素も吹くんで楽しめる「保野川」に狙いを定めた訳であります。
しかし、バイクで小荒沢林道に入りましても霧が濃く・・・ホントに晴れんのすかゃ?と言う雰囲気で、今ひとつ盛り上がらないのでありました。

    前説おしまい。




霧に煙る小荒沢林道・・・朝9時少し前。

 いや参ったなぁ・・・こういう天気だったら沢は止めたんだけどなぁ・・・下山用の登山靴は持っている訳だからそれを履いて船形山でも登っちまうかぁ?と、ぶつぶつと林道を走って行きますと、あの、長い間工事をしていた橋の辺りから急激に晴れて来たのであります・・・ウッシッシィであります・・・こりゃぁ沢に突入だな、と。


保野川 入渓地点です。

 なんか、大滝キャンプ場の周りには結構な人が居て草刈りなどしていまして賑やかでありました。
ちょうど夏草が伸びた所で良いタイミングであるな・・・登山道も刈ってあったら良いけどな、などと進んで行くと、保野川へ降りる道で草刈り機のブーンブーンと言う音が。
二人の作業員の人が居まして・・・こんちわぁー・・・きおつけてぇ・・・と。


歩き始めて10分も行きますかねぇ? これが「なぐさめの滝」じゃないかと思うんですが?

 なぐさめの滝と言う殆ど読めない旧い看板が大滝キャンプ場に有る訳です・・・しかし、その実態は誰も知らない!!!
で、恐らく保野川沿いの事であろうと思うんですが、それがどれかは特定できない訳であります。
で、おっさんこの度、コレがなぐさめの滝であろうと、罰当たり組の千葉隊長も認める上記写真の前でジックリと考えてみた訳です。
なぐさめに故事や謂れが有るのならばその手の話しは何処かに痕跡が残ると思う訳です・・・が、それらしい物は無さそうだ、と。
で、ンじゃぁ、ナニが慰めなのか?滝を見てなぐさめられると言うのは無くも無いとも思うが、しかし、なぐさめとは、どちらかと言えば後ろ向きの事である・・・うーむ・・・ナンだろう?と滝を見て考え込んじまったのであります。
滝を見て・・・こんな静かなナメ滝はなぐさめと言うよりも和みとか癒しだよなぁ・・・ンっ?ナメ滝? ああっ、元はナメ滝なんじゃねぇのぉ?看板書く人が滑っちまったと言うか、筆が走っちまったと言うか・・・まっ、しかし、只のナメ滝を敢えて看板は描かないわな・・・解んねぇなぁ・・・謎であります。

 

写真では縮尺が解らないので高さも掴めませんよね?

 保野川を舐めて登れるのも何度か遡行しているからでありまして、一昨年はこの沢で岩登り基礎訓練をした訳であります。
そのとき、フリーで登る筋も見極めているし、その他の滝に危ないのは無いと言うのも知っているんで気楽な訳であります、が、あれはもう二年も前の事なのかぁ・・・そうかぁ、去年はこの沢は登っていないのかぁ、と。

  

上記の滝を上から俯瞰した図であります・・・高く見えませんか?

   うん・・・この滝は右岸から登っちまうと登山になっちまうんだよな・・・左岸から行かないと登攀にならないんだよな、とか、けっこう忠実に思い出すもんだな、などと順調に登っているんでありますが、雨が続いた後なので水量が多く飛沫を浴びる事も多く、いつになく沢らしい沢になっている保野川であります・・・この辺まで来ると登山地図では瓶石沢ですか?


コレが本日の山場であります。

 この滝は、少し岩登りの心得があればフリーで登れます・・・階段状に良い足場と手掛かりがありまして見た目よりも滑らないし簡単であります。
しかし、おっさんはここでロープを出す訳であります・・・ハーケンも無駄に打ってみたりする訳です。
まず、面倒なのでロープを引っ張って空身でフリーで登っちまいます。
で、上でロープを固定して懸垂で降りて来て確保されている状態で荷物を背負って登り返す訳であります。
いや、最初にフリーで登った時に、ホントはハーケンを一本入れて確保してから登ろうと思って打った訳です。
ナンだか音が良く無いし、ズッポシと簡単に入り込んで行くなぁ、と思って右手で思い切り引っ張ったら抜けちまった訳です。
で、抜けた反動で身体が反って危なく落ちる所でありました・・・いやいや、余計な事して遊んでるより登っちまった方が安全だな、と言う事でそのまま上に行ったと言うのが真相であります。
そう言えば・・・この前打ったハーケンも手で抜けたっけな・・・ああ、あの時と同じ割れ目にまた打ってるんだ・・・この岩はハーケンは打てないな・・・今度から軽量化でロープも省略だな、と。
しかし、久しぶりに懸垂で滝の中を降りる爽快感は捨てがいたわけで、やっぱし滝にロープは必需品だな・・・気持ちはコロコロと変わるのでありました。


これから登り返すおっさん。荷物を背負うと難しくなります。

   夏だけのお楽しみ・・・シャワークライミングであります。
荷物を背負って濡れない位置から登ってまた降りて、今度はわざとずぶ濡れの位置から登る訳です・・・頭の芯が冷たさで痺れます。
で、何本かコレをやって遊ぶつもりだったんでありますがあまりの冷え具合に1回で止めて昼飯タイムに突入であります。
いや寒くて震えちまって・・・陽射しが無かったら凍死してましたよ、たぶん。


下から見ると大した事無いんですが、上から覗くと高度感があります。


 まず冷えた身体を温める為には・・・取り敢えずビールだな、と言う事で、保冷剤を入れて冷やして持って来たビールをグビッと・・・しかし、日溜まりに居ますんで程なくして身体は温まり衣服はあっという間に乾いちまう訳です。
いや、もう一回やっかなぁ・・・さすがに酒飲んでこう言うのはダメダべ、と言う事で、ここは一つノンビリ休憩と言う事で。


貴方はこの枝のスリングで確保されたロープに命預けられますか?


 飯を食いながらふとさっきまでぶら下がっていたスリングを見ると、もっと根っこの方に巻いたんだけれどもなぁ・・・ずれて来たんだなぁ、と言うのが伺える訳です。
うーん・・・もっとちゃんと支点を取った方が良いかもなぁ・・・抜けなくて良かったなぁ、などと自分のいい加減さを振り返りつつも、沢の音に聞き入り幸せ至極の時を過ごすのでありました。


本日の昼飯はコンビニで買い求めたパンとコーヒーでありました。


   最近、あれ程好きだったカップ焼きそばが喰いたく無い心境で、コロッケパンとかソーセージパン、または揚げパンなどが好ましく思えるのであります・・・まっ、単に食い過ぎて飽きたのだと思いますが・・・基本的にはビールと魚肉ソーセージが有れば他はナンでも良い訳です。
それにしても、沢の音を聞きながら食べる、と言いますか、呑むと言いますか・・・ホント、おっさんはどんな音楽よりも和んじまうのであります。


升沢小屋から直ぐの登山道・・・とても広く刈り込まれていました。


 保野川にはNo.を付けられるような滝は F1とF2で終わりじゃないかと思うんであります・・・F2が登りの対象で、それが終わったら後は静かな渓相言いますか・・・まっ、気合の入る所は皆無な訳です。
で、倒木や流木を乗り越すのに苦労する事も無く、早い人なら入渓点から2時間も掛からないで升沢小屋に出ちまうと思うんであります。
勝負の滝を超えたら、そこから升沢小屋まで、のんびり歩いて1時間20分・・・早足の人なら1時間を切るでしょう。
ああ、最後に小さな山場が有りました・・・沢が明確に二本に別れるんであります。
まっ、地図を読めばすぐに解りますが、あの滝以外での山場は、分岐点でありましょう・・・答えは書きませんので、これから行く人は楽しんで下さい。


久しぶりに三光の宮に参りました・・・清々しい場所です。


 おっさん、船形山を夏道の登山道で歩く事は意外と少ない訳です・・・雪が無くなると来なくなっちまうんですね。
で、久しぶりに静かに夏道を下って思ったのは・・・升沢コースはメジャーなんだなぁ、でありました。
ナンと言っても良く踏まれている訳で、おっさんは人を避けて藪山にばかり行く為か、登山道の広さや歩きやすさに感心した次第であります。
で、三光の宮から千本松山を回り込むまでの道がコレまた大好きでして・・・いや、急な下りに入る前ののんびりしたブナの林の所です。
後白髭の尾根筋の様に暗くも無いのに銀嶺草が腐る程咲いていましたし・・・ホント、無数でした。
で、雨の後なのに道は良く乾いて歩きやすく、やっぱし踏まれているなぁ、歩かれているなぁ、と感じるのであります。


温泉の様に硫黄分を含みガスが出ていますが・・・。


 まだ早い時間に下って来たんでのんびりとブナの林を愛で、そして緑の空気をいっぱいに吸い込んで降りて来ました・・・まっ、全体に距離も短く楽なコースなんで余裕です。
で、暇だったもんですから保野川に降りる所の硫黄の出ている所で暫く観察してみました・・・随分深く掘ってお湯なんかでないもんか?とやってみたんですけれども、あそこから出ているのは硫化水素のガスだけ・・・熱の有る物も鉱泉水も出ていません、と言うのがおっさんの結論で有りました。
上にある湯谷地を掘ったら出ますかねぇ?・・・御上の土地なんで迂闊に掘っちゃアレでしょうけど・・・やってみたいもんであります。


あの小屋はコレからも大丈夫なようであります。


 さて、と、長命水で顔など洗って帰ろうとすると、あの、キャンプ場の小屋の倒木の撤去作業が行われているでは有りませんか。
ほほぉー・・・色麻町はあの小屋をまだまだ見捨てないつもりですね・・・この倒木を撤去すると言う事は、小屋の痛んだ所も言えば補修する事も吝かでは無いと言う事なのかな?などと勝手な推測をして見ていた訳ですが・・・いや、しかし、色麻町の迅速な対応は有り難い事であります。


     




     いやぁ・・・山は やっぱし良いもんです。



     この話 完




山の状況、情報は適当ですので、ご注意下さい・・・


ご意見ご感想は こちらで、承っております・・・


INDEXに戻る 次のページへ