写真入り・山日記

              

      禿で沢登り 



      7月29日 日曜日 晴れ


                                   本日の写真は 三浦S氏提供です



 罰当たり組の千葉隊長から、沢に行くかんね・・・八月のササキ沢のトレーニングに、禿の水上沢に行くかんね、と言う事で、二台の車で鬼首まで行き、一台を花立て峠に置いて、入渓地点の牧場の作業道へ。
メンバーは・・・隊長の千葉B氏・三浦S氏・新人S氏・紅一点Y嬢・おっさんの五名でありました。
で、集合場所に着くと、本日は水上沢は止めて、小倉の沢を攻める事にした、との千葉隊長の説明とともに遡行図が配られた訳です、が・・・一目見ての感想は「滝が多いぞ」でありました。
で、古川のズンベが登った時の簡単な記録が書かれているのを読むと、最後に80メートルの滝とある訳です・・・80メートルなんてロープも足りないじゃないか?フリーで簡単に登れるのかな?と、少し疑問でありましたが、まっ、行けば何とかなる程度なのだろうと・・・。
おっさんは全く初めての沢なので、千葉隊長の記憶と勘を頼りに、小倉の沢の橋のたもとから入渓・・・この時はまだ余裕でありました・・・が。     前説おしまい。




準備を整え、8時頃沢に沿って薮漕ぎ開始。

 入渓点からは薮でありまして、二つ目の堰堤を超えるまでは今イチの渓相でして、昨年登った火の沢よりも楽そうであるな、と、舐めておりました。
しかし、終了点と目される尾根の標高が1140メートルとなっている訳でありますが、入渓点は400メートルでありました・・・ざっと地図を読んだ感じでは行程は2キロしか無い訳であります・・・740メートルを2キロで登る?そりゃぁ半端じゃないぞ・・・いやぁ、クライミングになりそうであるなぁ、と、漠然と考えるおっさんでありました。

 

まだまだ序の口・・・水量が細くて楽であります。

 禿岳そのものが水を集める山ではないからか沢は水量は細く、そして岩のフリクションも良く、傾斜や高さの割には登りやすい沢であるなと、おっさんは思うんでありますが、しかし、そこはそれ、やっぱし沢でありますから、滑る訳です。
で、水量が少ない沢では水の勢いが無いので、おっさんは「ヌロ」と呼んでいる黒いヌルヌルの苔が付く訳であります。
フェルと底の靴でもこのヌロだけは滑って歩けませぬ。


いや、諸般の事情からA-1にして見ました。

 本日は沢歩きが初めて・・・と、言うか、山登りも始めたばかりと言うSさんが参加しているので、ロープの結び方やらを少しづつ伝授しながらの遡行であります。
まっ、出さなくても良いか?と言う箇所も丁寧にロープを出し、それぞれの道具の使い方なども確認しつつ登った訳です・・・なので時間は喰いました。


前半は千葉隊長がトップで、後半はおっさんがトップに代わりました。

 まっ、しょうが無い事なんですけれども、基本は自力で登る訳ですが、時間節約の観点から、足が止まったりするとゴボウの引き抜きを掛け引っ張り上げちまう事が続く訳です。
すると、トップで登った人は、フリーで登るプレッシャーに加え、上ではロープのセットや引き上げと、休む間もなく頑張る事になる訳です。
前半トップを引いた千葉隊長が、腕が持たなくなったと言う事でおっさんと交代した訳であります。

  

写真で見ると緩いんですけど、長くて、そして滑るのであります。

   もう既にそこそこの滝を10個程もやっつけている訳ですが、一つ登り切った直ぐ上には必ず前のよりも一段高く見える滝が控えている訳です。
まっ、被った岩とか立っている滝が無いのが救いなんですけれども、一つの滝の高さが増して来ましてフェルと靴で登るのにはチョットなぁ、と言うのばかりが続く様になるのであります・・・おっさん、常に「落ちたらヤァーョ」と念仏を唱えつつ足場を決めるのでありました。


ヌメって嫌だったんですけれども、気合で登り切りました。

 そんな訳で、思ったよりも手強い沢である事がだんだんと解って来た訳であります。
しかし、新人を含むパーティーですので今イチスピード感に欠けていると言いますか、まっ、遅い訳です。
で、地図を見てもまだ先が長い訳で、これで日没に間に合うのか?と言う不安が過るんでありますけれども、まっそんなに深い山じゃないしな、と言う事で楽観しておりました。

 で、結構なボリュームの滝が出まして・・・これはぁ・・・80メートルの滝にしては短いし、しかし、30メートルの滝にしては長く無いかぃ?と、アレコレ言いながらも草付きを利用して登り切り、内心、これより手強いのが出たら嫌だなぁ、と、思いつつロープを片付けていると、上の方から「ドヒャぁー出たぁ〜」と言う声が響いた訳であります。

 そうか、やっぱし出たかぁ・・・出るんだろうなぁ、とは思っていた訳ですが、そうですかぁ、80メートルが出ましたかぁ、と。
で、おっさんが辿り着いた時には千葉隊長が沢の左側にある、沢とも溝とも言えない草付きの急斜面に取り付いていた訳です。
で、暫くして隊長から「行き詰まったぁ」との声が聞こえた訳です。
うーむ・・・登るとすれば、被り気味の滝の下からA-1やっちゃうかぁ? しかし、右岸の草付きから少し登って横にトラバースして沢に出れば何とかなるな、と、おっさんが草付きから攻めてみた訳です。
しかし、登ってみると高度感がハンパ無い訳で、これは後続はトラバースは無理だろう・・・もっと上に登ったらドーだろう?棚になっていたらラッキーなんだが、と草付きを利用して高度を上げてみた訳であります。
その結果は・・・ありゃぁ、滝から離れちまったどころか登り過ぎちまったぃ・・・ここから滝に戻るのは命がけだぞぃ、と。
で、ここの滝は確保したいと思ってハーケンを打ちたくても花崗岩の一枚岩と言いますか、一個の大きな石と言いますか、まっ、リスが無い訳であります・・・ノープロテクションでアッチ側に渡っても後続は無理だよな・・・もう一息登ってみるか?

 で、結局は滝から離れ、前代未聞の凄い薮漕ぎを強いられ、やっとの思いで稜線に抜けた訳であります。
敗因は・・・あそこでトラバースすれば後は階段状の滝が見えて楽そうなのにビビってトラバースしなかった事でありましょう。
しかし、仮にトラバースを敢行しても後続の事を考えるとドーやって確保したら良いモノか、おっさんの経験と技量では術が思い浮かばなかったのであります。

 まっ、死ぬ程無駄な時間と労力を要求された訳ですが、薮漕ぎは痛いけれども落ちて怪我する事も無いんで、それで正解であったのか?・・・全員無事で怪我も無かったので、今回の罰当たり組の山行も取り敢えずは成功と言う事で・・・。



         いやぁ・・・山は やっぱし良いもんです。



     この話 完




山の状況、情報は適当ですので、ご注意下さい・・・


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