写真入り・山日記

    

      復帰第一戦 権現森・・・までの道のり



      08月28日  火曜日 天気晴朗厳しい暑さ



                                   
 まず、薄々怪しいと感づいている向きもあろうかと思いますが、取り敢えずご紹介させて頂きますれば、おっさんは、今をさる事3月と少し前、秋田の湯沢でバイク事故に遭遇し、帰らぬ人となっちまった訳であります・・・しかし、ズーッと帰らぬ人と言う事では無く、75日の入院を経て、11月12日に仙台に帰って来た訳であります。
で、その後鋭意リハビリに励みまして、とうとう12月20日・・・事故から100日目にして、やっと山登りに復帰した次第であります。
これもひとえに、入院中から退院後まで、常に温かいご声援と罵声などを浴びせてくれた、山仲間の御陰であると感謝するとともに、この場を持ちまして、おっさんの「不完全復活」を宣言さて戴く訳であります。


    前説おしまい。




8月28日・岩木山登山の前日

 家を出たのは8月28日でありました・・・愛車のカブッチを駆って一路弘前から岩木山神社キャンプ場を目指してひた走り、夕刻キャンプ場に入り、無料でいいんだべか?などと気を使いつつも、一等地と思しき場所にテントを張って落ち着いた所でありました。


落ち着いて一杯始めた所

 いや、一旦落ち着いたんでありますが、おっさんがテントを張った塩梅の良い場所は岩木山神社の参道であり登山道であるぞ、と言われまして・・・道理で草など少なくて塩梅の良い場所であるな、と思っていたんでありますが引っ越しであります。
柔らかな草の上に移動したんですけれども・・・テントの移動など雑作も無いんでありますが、草地は湿気が多くて不快な上に、なんでこんなに居るの?と言う程にシデムシがウヨウヨと出で来るのでありました。
まっ、呑んじまえばそんな事も気にしなくなり寝ちまったんでありますけれども、テントにも湿気が籠って寝難い夜でありました。


岩木山 山頂でカッコウつけてるおっさん

 いや、早朝から岩木山を攻める予定であった訳ですけれども、予定外のアレコレに阻まれ・・・いや、ズルして岩城スカイラインをバイクで上って楽をしようとした訳ですが、スカイラインが朝8時にならないと開かないと言う事で白神山地の奥深くを廻ったりして来た訳であります。
で、これが結構その後に色々とナニした訳でありまして・・・ホントは八甲田に行く予定であったものが、岩木山で時間を食っちまいまして、八幡平に変更になった訳であります。


そんな訳で、八幡平の山頂で格好をつけるおっさん

 八幡平と言うのは夏に登っても仕様が無い山かもしれないな、などと思いつつも、しかし、凌雲荘と言う立派な山小屋に無料で泊まれると言う恩恵は捨て難く、革靴やサンダル履きの一般人が闊歩する遊歩道をお泊まり装備を満載した大型ザック背負ったおっさんが、ホントは俺が正統派なのにナンだか肩身が狭いな、などと思いながら完全舗装の遊歩道を行った次第であります。
凌雲荘は噂に違わず素晴らしい山小屋・・・と、言うよりも立派な山荘でありまして快適でありました。
場所と便利さの割に以外と利用者が少ないのは、やっぱし水場が無いのが理由でありましょうか・・・と言っても駐車場から緩い傾斜を20〜30分ですからね、一斗缶背負っても雑作も無い事なんですけれども。

   

一夜の宿 凌雲荘

   歩いていても少し湿っぽくなる霧雨の中、バイクで走るとびしょ濡れになります。
本日は家に帰るだけ・・・取り敢えずナンの予定もないので田沢湖まで行って温泉にでも入ろうか?と漠然と走り出す・・・シールドが濡れて見え難い。
それでも、少し下ったら雲が切れ晴れ間も見え気温も上がり良い感じになりました・・・目指すは水沢温泉だな、と。


だだっ広い駐車場に小さなバイクが一台

 しかし、ナンと言う事でありましょう・・・目指した水沢温泉の一般客が入れるのは9時からとなっているではありませんか。
やっぱしなぁ・・・ふけの湯にでも入ってくれば良かったなぁ・・・でも、霧でそんな気分じゃなかったしなぁ、と、ブヅブツ言いながら何となく田沢湖一周に・・・。
その後、国道に出た所で給油し缶コーヒーなど飲んでいると、なんとなく家に帰って水風呂に入りビールなど呑みたいと思った訳であります・・・良し、帰ろう、と。


田沢湖一周と言うとアレですが・・・ナンと言う事も無い訳です

 そんな訳で・・・あっ、角館で比内地鶏の親子丼でも食って行くか?・・・でも、山に登って三日も風呂に入っていないからなぁ・・・一般観光客とテーブルを並べたら迷惑だろうなぁ・・・何処で飯食うかなぁ・・・それにしても暑いなぁ・・・皆して飛ばすなぁ・・・と、グダグダ走っているうちに横手に差し掛かった訳です。
ウーン、湯田の峠で温泉と言う手もあるけど遠回り過ぎるか?・・・いや、小安峡でも良い訳だが・・・それなら新庄に抜けて、などと考えているうちに湯沢の街に入った訳です。
で、フゥーン・・・久しぶりに通ったら寂れたなぁ・・・腹減ったなぁ、と。

  

気が付いたら この有様

   と、言う事で、湯沢の交差点で事故にあっちまったおっさんは、目出度く救急車で病院に運ばれ、骨折と打撲と貧困の痛手により、3ヶ月の入院を言い渡されてベットの上の人となったのでありました。



   権現森

   12月20日  木曜日 天気晴朗なれど風強し



 復帰第一戦は権現森でありました・・・思い起こせば3年前、岩登り入門者として伊豆の城山の岩場で叩き落ち右足首を捻挫し三月程山から遠ざかった事があった訳ですけれども、あの時の復帰第一戦も権現森でありました。
成る程なぁ・・・故郷の山は有り難きかな、であるなぁ・・・ナニは無くても権現森であるなぁ、と、意味不明な事を思いつつ落合の登山口へ。


登山口であります・・・熊に注意とあります

 それにしても、見晴らしの森とはナンでですか?ここは由緒正しい権現森ですぞ・・・見晴らしは年々悪くなって、雑木の葉っぱがすっかり落ちたいまでも太平洋は見え難くなっちまっていると言うのに・・・ナニを今更見晴らしの森なんぞと宣いだすのか・・・権現森で良いではないか、などと多少の憤りなどを感じつつ、ホントに歩けるんだべか?と、いつに無く弱気なおっさんでありました。


里山らしい優しさに溢れる山道

 まず、75日間歩いていなかった訳で、退院してから一ヶ月、急ピッチで筋トレなどに励んだとは言えまだまだ筋力は戻っていないし、ナニよりも柔軟性が著しく劣っている訳であります。 ホントに、角度に寄ってはまだ痛みが走る脚で何処まで歩けるものやら心配な訳であります。
とは申しましても物事をあまり深く考えないのがおっさんの良さでありますから、間っ、大丈夫だろうと多価を括り、背中にはしっかり鍋焼きうどんと缶ビールが納まっている訳でして・・・これを食わずに帰れるものかと、固い決意の元に望んだのでありました。

  

権現森の山頂には三等三角点があります

 ありゃぁ、思ったより脚が曲がんねぇなぁ・・・踏ん張ったら痛いし・・・そもそも踏ん張れねぇし・・・亀の歩だなやぁ・・・爺様とか婆様に抜かれんのヤンだなぁ・・・などと思いつつ、しかし、轟々と風の鳴る権現森に人影は無く、再起第一戦を厳かに執り行うには誠に持って良い日でありました。
途中で樅の木広場で急な斜面の登りなど試したり、松尾神社にお参りなどもし・・・いや、賽銭の持ち合わせが無かったものですから、取り敢えずつけ、と言う事で・・・山頂の東屋まで普通に歩いて1時間程度の行程を本日は、やっぱし1時間でありました。
まず、登るのは何とかなる訳であります・・・時々小石を踏んで足首に力が掛かるとグキっと痛みが来たりもしますが、それで歩けなくなるような雰囲気も無く、登るだけは何とかなるなと安心した次第であります。


もの思いに耽るおっさん・・・いいえ、鍋焼きうどんを見ているんです

 歩きながら色んな事を思いました・・・もうこう言う山歩きで良い事にするかなぁ、なんて言う殊勝な事から、今でもこんだけ歩けるんだから来年は全開じゃねぇ、とか。
しかし、たぶん顔は常ににやけていたと思うのであります・・・ナンと言っても山道を歩いている事が嬉しかった訳です。
しかも、昼飯には鍋焼きうどんとビールであります・・・いや、食うのも楽しみなんですけれども、ガスストーブのシューっと言う音が嬉しいのであります。


398円の高級鍋焼きうどんに生卵を入れてみました

   ザックの中にはいつもの山道具が一式・・・前夜、権現森登山を決意したあと、夏の終わりに片付けもせずに放り出されたこれらを一つずつ点検しザックに詰めた訳であります。
分かるかなぁ?・・・この日をドンだけ待ちわびた事か。
おっさん、これほどまでに山に惚れているとは気付いていなかった訳であります・・・山で飲むビールにか?
そして、鍋焼きうどんが煮えるまで、蕃山から遠くに青麻山と南蔵王の連峰など眺めつつビールを飲んだ訳であります・・・ふひゃぁ〜うめぇ〜でありました。


手前が蕃山・次が青麻山で、不忘山 街は栗生

この展望広場はアレです、南に開けているんで北風が全く当らないのであります。
僅かに100メートルと離れていない尾根の松の木が轟々と風に鳴っている時でも鍋焼きうどんの火が脅かされる事も無く、陽溜まりと言うのはこんな場所の事だろうなぁ、と、蔵王を眺めながらビールを飲む訳であります・・・快感でありました。


〆にはコーヒーであります・・・カプチーノ(コンビニのインスタント)

 鍋焼きうどんをふーふーと食い、残り少ないビールをちびちびと飲み、目の前に広がる景色を眺めつつ・・・やっぱし丈夫が一番でやんすなぁ、と、しみじみ思ったのであります。
そして、微かに見える南蔵王の白石スキー場の雪の筋など眺めつつ・・・身体を大事にして行こうな、なんておっさんらしくも無い事を考えつつ、この左手はもうロープは握れないのかなぁ?なんて事も思ったりして。
しかし、ロープを使うような登りはもうお終いで良いんじゃないか?と言う自分も居たりして・・・色んな事を考えたり思ったりしているうちにナンダカンダで1時間以上もノンビリしちまった訳です。


日溜まり広場・・・ホントに温かい場所です

 そんな訳で、ヨタヨタと登ってのんびりと昼飯など食い、さて、ンじゃぁ帰りますかと下山に向かった訳でありますが、少し動かずに居ると脚が固まっちまう訳であります。
まっ、大した距離じゃないし、日没までの時間もまだたっぷりあるし、と言う事で、登りに1時間かかった道を下りもキッチリと1時間・・・それも寄り道なしでひたすら歩いてでありました。
いやぁ、こりゃぁ当分まともな山は無理だなぁ・・・ンじゃぁ次は向かいに見える蕃山かぁ?と言う事でおっさんは当分は静かにリハビリ登山であるな、と肝に銘じた次第であります。


   いやぁ・・・山は やっぱし良いもんです。



     この話 完




山の状況、情報は適当ですので、ご注意下さい・・・


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