よたよたと、山登り


    No.69

       

    横川林道〜後白髪山

       敗因は?・・・べつに敗れてもいないか?

     9月2日 晴れ〜晴れ・・・ひたすら晴れ

     ヘルメット冠って登山靴履いてぇ

     昨年の雪解け頃、定義林道から後白髪山を目指したのでありますが、諸々の事情により敗退しているのであります。
    事情の一つに、定義林道のコンディションが良く無く随分下の方で車を停めて歩き始めた為に時間切れになっちまったというのがあって、今回はバイクでずーーーっと上の横川林道の登山口・・・標高で980メートル辺りまで登っちまおうと言う、とても軟弱な作戦を立ててみた訳であります。
    なんと申しましても、1420メートルの山に登ろうというのに1000メートルまで動力付き乗り物で行っちまえと言うのでありますから、根性が負けている訳であります。

     8時15分頃に家を出て、途中のコンビニでお茶やおにぎりなど買いまして、わざわざ国道48号線を回って定義まで行った訳であります。
    いや、我が家から大倉ダムへは裏道を通ってバイクなら15分で行くんでありますが、何やら途中に崖崩れ通行止めが有るらしく、殊勝にも遠回りして行った訳であります・・・結果的には余計な事でありまして、おっさんの家から定義まで行く裏道は通れたんでありますが。

     順調に大倉ダムの脇を過ぎ、定義如来を横目で睨み、定義林道に入って行った訳であります。
    借り物のイタリア製スクーターは快調でありまして、ライダーの腕の良さも手伝って、青い煙をまき散らしながらヨロヨロと林道を登って行った訳であります。
     
    林道にはとても似合わないスタイルであります

     借り物のバイクで山道を行くというのも不届きなんでありますが、まあ、貸した相手がおっさんであるという事は、まともな場所には行かない事は相手も承知であろうと勝手な解釈で、ブイブイと登って行った訳です。
    が、しかし、定木林道に入って間もなく、まだ横川林道との分かれ道までも相当有るぞと言う辺りでバイクが愚図り出した訳です。
    古い言葉で言うと、熱ダレと言うやつで、放って置くとオーバーヒートまで言っちまう訳ですが、騙しだましなんとか走らせて行こうと努力した訳であります。
    で、このままでヤバイと思い、15分間の休憩を与えて水温計の指針は下がったんでありますが、走り出すと100メートルも行けばまた吹けなくなる訳です。
    うーむ・・・こりゃぁ困ったぞ、ここまで弱いとは思わなかった、と言う事で、おっさんはバイクに股がって両足ぺたぺたで押して行った訳です・・・標高650メートル地点でありました。
    外車であるからか、無駄にシートが高いのでぺたぺた歩きも大変なのですが、それでも吹けなくなっちまいました。
    しょうがネェなぁ、と言う事で、少し休ませて、こんどは乗らずにバイクは空身で登ってもらう事にして、おっさんはアクセルだけ持ってバイクを押して行った訳です。
    これがまた結構な労力を使う訳でして、何の為にバイクを押し上げているんだろう?と言う疑問も湧くのであります。
    まあ、帰りはスイスイと下れるから、その為だけに押し上げていると言う事なんでありますが、それでも吹けなくなって来まして、ほとんど駆動していない感じで重さが増して来る訳であります。
    しかし非力なおっさんでありますからエンジンが止まっちまったらバイクを押すのは無理なんで、騙しだまし押し上げていたら、シートの下から水蒸気がもうもうと立ち上がった訳であります・・・あっちゃぁ、オーバーヒートでやんすかぁ?と。
    で、いよいよバイクを諦めて道ばたに置き去りにしたのが標高850メートル地点でありました。
    この時既に10時18分・・・1時間以上もバイクを押して歩いた訳で、無駄な事をしたのではないか?との疑念が頭を過りましたが、いやいや、下りは快調だから、と慰めて、10時20分、横川の登山口目指して歩けあるけ開始であります。

     
    林道からは泉ヶ岳や北泉が見えていました

     炎天下の林道歩きは何も楽しい事が有りません。
    山の中なんだから、もうチョットくらいは涼しくてもバチは当たらないだろうと思うんでありますが、容赦ない炎天下でありまして、止めようかな、帰ろうかな、なんて思う始末であります。
    それでも、谷間に上昇気流が湧くのか、オオタカがつがいで輪を描き、少しずつ高く上がって行く姿など眺めつつ、ドタドタと登って行くのでありました。
    途中でからさわ橋を渡って少し行くと、恐らく上空沢と下空沢を集めて流れる沢であろうと言う流れを林道が横切るのであります。
    炎天下でうんざりしていたおっさんは一も二もなく沢に駆け寄り水浴びであります・・・着の身着のままびしょ濡れになった所で、どうせ既に汗でびしょ濡れでありますから。
    ここの水が手を切るような冷たさでありまして、生き返った心地で有りました。
    後で測った所では、バイクを置いた所から登山口までは2.6キロでありました・・・山頂まで2.1キロですから、登山というよりは林道歩きに来たようなもんです。

     
    しっかりとした道標のある登山口でした

     さて、登山口に辿り着いて、既に11時10分であります・・・こんなはずじゃなかった。
    本日は、ビューっとバイクで林道を登って、さっさと登山道を登って、トットと家に帰る算段だった訳であります。
    まっ、ここは標高950メートル近くもある訳で、山頂までの標高差は500メートルも無い訳です・・・距離は2キロしか無いし・・・えっ?2キロで500メートル登るの?・・・それって、結構きつく無いかい?
    で、棒切れを一本杖代わりに拾いまして、いざ登山道へと侵入した訳です。
    登山道に足を踏み入れてから直ぐ、森林限界を超すピークに出るまで、視界も遠望も無く、ひたすら登り続ける訳であります。
    いや、生じっか地図なんか読めるもんですから余計な事を知ってしまう訳でありまして、1340メートルのピークまでの標高400メートルを1.2キロで登る訳でありまして、そりゃぁ十分にキツイのが伺い知れる訳で、体力が参る前に気持ちの方が先に萎えちまうんであります。
    まあそうは言っても距離が短いのが救いでありまして、ピークまでは1時間は掛からない訳であります。
    この登山道ではお日様がブナに遮られるのは良いのですが、展望が無いという事は、風も通らない訳でありまして、けっこう汗を絞られる訳であります。
    で、暑い熱いと文句を垂れながら登ると、ひょっこりと、見事に森林限界を超して前が開けるのであります。
    ここまでくれば展望もほしいまま・・・の、はずなんでありますが、どう言う訳か低いガスが出てまして、辺りの山がスッキリ見えないんであります。

     
    ピークから後白髪の山頂方向を望む

     ここまで出ちまえば登り切ったようなもんでありまして、後は気持ちの良い稜線上のお散歩であります。
    で、おっさんの古い地図ではピークに併せるように定義からのコースが来ている事になっているんでありますが、出逢わない訳であります。
    ふうーん・・・まっ、下の方も草ぼうぼうで廃道なのかもな、なんて思って先へ行きますと、なんとぉー、しっかりと「後白髪コース」の案内標識が立ち、至定義と記されているのであります。
    しかしその場所は、上空沢を渡って尾根筋に回り込む古い地図の示す道ではなく、沢を真っ直ぐに直登して来るんじゃないのか?と思う辺りな訳であります。
    本来ならば確認に少し降りてみれば良かったんでありますが、バイクで体力と時間を浪費したもんですから今回は勘弁しておきました。
    で、昨年の積雪期におっさんは、上空沢を渡った所で地図上の道を見失い、なんぼ探しても見つからずに進むのを断念した訳であります。
    で、おっさんは、積雪期ならこの沢を詰めるか、沢の西側にのびる尾根を登っちまうのが良いかな?なんて思って、次回はそうしようと思って帰って来た訳ですが、たぶん、地形図に載っている登山道は既に無くて、なんぼ探しても踏み跡なんぞは無いのでありましょう。
    いや、おっさんの勝手な推測で確認もしていなくて書いている訳なので間違っているかもしれませぬが、まっ、そう思ったんであります。

     
    遠くから見る通りに、のんびりとした高原状の山頂で有りました

     後白髪コースとの出会いの辺りから本来なら泥濘地なのか?と思わせるような感じでありまして、今年だから干涸びているけれども、通常はぬかるみらしい地形が続き、のんびりと緩く山頂へ向って行くのであります。
    この感じがとても伸び伸びして気持ちよく、おっさんはこのコースがとても気に入っちまいました。
    で、後白髪コースを登って来ても良いけれども、安全策をとって延々と林道を歩いて来て登山口にキャンプを張り、直登でアタックして登る、なんてのが冬に出来るな、なんて見積もってみたりして・・・。
    しかし、森林限界から上と下の植生の違いは、恐らく、冬の稜線上がとても厳しい事を物語るのか?なんちゃって、ビビってみたりもする訳ですが。

     ところで、定義林道なんですけれども、驚いた事に随分状態が良くて、普通車でも走れると思う程であります。
    昨年雪解け後に崩れていておっさんが通過出来なかった箇所も狭いですが補修されておりまして、泉ヶ岳や桑沼回りの林道よりも遥かに良い状態だなと思いました。
    まあ林道入り口に入るな、警告を無視して入って事故があっても知らないからな、と注意書きが有るので、そこはそれ、ナニなんでありますが・・・。

     横川登山口と呼ばれる地点まで車なりバイクなりで登ってしまえば、実質は1時間と一寸で山頂が踏めるお手軽コースになっちまうんでありますが、山の雰囲気はとても良いモノなので、おっさん的には好きなコースであるな、と、また一つ好きなコースを手に入れましたという事で、大満足でありました。

    本日の悪戦苦闘の足跡です




     この話 完


    山の状況、情報は適当ですので、ご注意下さい・・・


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