よたよたと、山登り


    No.74

       

     船形連峰 桑沼〜北泉ヶ岳〜大倉山

         11月21日 晴れ

     ダーメなんだ、ダメなんだ?

       9時に起きて山に行く?・・・舐めてんのか?・・・いや、体調が今一で・・・ナニ?不調なのに山へ?・・・舐めてんのか?
    いや、山を舐めている訳ではないんだが、大倉尾根から北泉くらいならと言う、甘い気持ちは確かにあります・・・それを舐めてるって言うんじゃろー・・・ソノ通りかも?
    まっ、朝は頭痛がして起きられなかったんだけれども、起きて飯を食っていたら余りにも天気が良すぎて、コレを見逃しては末代までの失態と言う事で、取る物も取り敢えず出掛けた訳です。
    で、家を出たのが10時半ですから、行ける所はアソコとアソコしかない訳で、なのでアソコに言ってみた次第であります。

     11時10分に駐車場に到着しまして、11時15分出発でありました。
    桑沼の周りを遊歩道に沿って歩き、さあ、これから真っ当な登山道へ、と思ったら、物々しい通行止めの策と、御上が掲げた高札が・・・。
    やややっ、コレはなんとした事か?と驚く事も無く、へぇー噂には聞いていたんだが、こんな立派な関所を設けたとなると、未来永劫ここは通さないつもりなのか?と勘ぐるおっさんでありました。

     
    桑沼遊歩道の先の通せんぼの関所です

     で、崩落の箇所の予想はついている、と言うよりも、昨年の八月と九月にこのコースを歩きながら、何時落ちるんだろうなぁ、と思っていた箇所が在り、落ちたのはそこだろうなと見当を着けていたのであります。
    さて、お役人様が行くなよと言うお達しを出している所を無視して通る訳にも行かない小心者なので、一度桑沼の湖岸に下りて、関所が見えない所から登山道へ出ると言う、素晴らしい手を編み出し、無事に登山道を登って行った訳であります。

     で、少し歩きますと、以前下げてあった太いお助けロープが撤去されていたりして、この登山道は崩落を待っていたのかもしれないな、再整備が追いつかないので、アソコが崩壊するのは承知で、そうなったらこの道を閉鎖にするつもりだったのだな、なんて勝手な邪推をして登って行きました。

    ここが噂の崩落地。山形県なら直ぐに補修してお終いかな?

     さて、ほとんど歩く人も無いのかと思いきや、なんだかそこそこに踏み跡が見られる訳でして・・・やっぱし恐いもの見たさに登っちまう人は居るんでしょうなぁ・・・と。
    で、落ちていた場所はやっぱしアソコでありました。
    昨年の八月の日記にこの場所の崩落を予想する事が書かれている訳ですが、それは誰が見てもいずれは落ちるな、時間の問題だな、まっ、雪解けとともに落ちるんだろうな、と思ったらその通りだった訳です。
    あの時点で手を入れていれば簡単に補修は出来たと思うし、今でも、お助けロープを一本通すだけで簡単に通過出来るんですが、宮城県と言うのはとても慎重なようで、立派な関所を作る予算と人員はあっても、たったアレっぽっちの箇所を補修するのは難しいようであります。
    場所は・・・右手に谷でトラバース気味に登っている所で、アレです、大きな岩の割れ目の5分くらい下の所です。

     
    どちら様かが着けた赤布が巻き道へと誘導してくれます

     そんな訳で、予定していた箇所で想像通りに道は落ちて居たんでありますが、現状でも渡れなくは無いし、お助けロープがあれば巻き道よりもこちらが楽だとおっさんは思いますが、基本的には通っちゃダメなんですからね、と。
    で、直前に巻き道を示す赤布があったのでそれを目印に急斜面を登ったんでありますが、これはナンとも評価の難しい道でありまして、少なくとも下りには使わない方が良いとおっさんは思います。
    元の道がトラバース気味に切ってあると言う事は、急傾斜の直登を避けてジグザグに道を切った訳ですから、そう言う状態の所を直登する訳です。
    今は枯れ葉も落ちて枝だけなんで楽に行けますが、葉の茂っている時には薮漕ぎですし、塩梅良く登山道へ戻る箇所が見つかるとは思えないので難儀するかも知れませぬ・・・なので、ロープ張って渡っちまうのが一番だとおっさんは思う次第です・・・そもそも、この道に入っちゃダメですからね。

    大倉尾根にも立派な関所が設けられております

     さて、恐いもの見たさの気分も満足して大倉尾根に上がり、一路北泉ヶ岳へと登って行きまして、12時30分頂上に到着でした。
    さすがに日曜日だけありまして、狭いてっぺんは満員でした。
    4人のグループは真新しいガスとコッヘルを取り出して楽しそうにお湯を沸かしていました・・・会話の中から、この後焼き肉に挑む事が判明・・・暖かな晩秋の空の元、しっかり楽しんで下さい、と言う事で、頂上滞在は1分未満で退散でありました。

    本日のおっさんの昼飯です・・・酒飲みに来た訳じゃないです

     山頂付近は人が多く、三叉路まで来てもまだ人が居るのでおっさんは静かな飯の場所を求めて大倉尾根をひたすら歩く訳です。
    で、塩梅の良い切り株を見つけケツを降ろし、北泉ヶ岳の登頂を祝して、缶ビールなどをプシュっ・・・と。
    まあ、喰う物と言っても魚肉ソーセージとビスケットしか無いのでガツガツ喰う訳にも行かず、何時に無く静かに、晩秋野山の気配など味わいながら、ビールも味わった訳であります。

    写真じゃアレなんですが、薬莱山と栗駒山がきれいでした

     まあ、アレです・・・ナンボゆっくり味わうと言っても350の缶が一本にビスケットですから直ぐに試合は終わっちまいます。
    近くは薬莱山が、遠くには栗駒山の姿が美しく、それらはいつまで眺めていても飽きないんでありますが、しかし、時は既に1時30分・・・日没は早いぞ、と。

    ほとんど遊歩道的雰囲気の大倉の尾根道です

     さて、程良く上機嫌になりまして、転ぶのはこんな時なんだよな、と歩いて行きますと、案の定、木の根っ子に引っ掛けたり、ナンでもない所で足払いを喰らったりと、予想道理に絶好調の下りと相成りました。

     おっさん、大倉尾根が大好きなのであります・・・その訳は、ずーっと西側に坊主岳(三峰山)のピラミダルな姿が見える事と、心地よい乾いた尾根筋の散歩が出来るからなのであります。
    三叉路から先、大倉山の東屋まで、とても気前よく刈り払われた登山道はほとんど遊歩道でありまして、その道幅の景気の良さは年々拡張され、今では仲良しが手を繋いで歩いても誰の邪魔にもならない程であります・・・いや、ここまで刈らなくても、と言う気は激しくしますが・・・。

     さて、20〜30分で大倉山の東屋に到着したんですが、ここは熊の巣の近くらしく物騒なのでコーヒーを一口飲んでさっさと退散であります。
    で、いつもなら氾濫原経由なのですが本日は何分にも出遅れが激しい訳で、日没の時間を考えると素直に種沢林道への下山を選択するのが宜しかろうと言う事で、ショートカット下山であります。
    距離は600メートルと書かれているんですが、もうちょっと有りそうで、そして激急の箇所が少し有り、思ったよりも時間が掛かりました。
    林道に出て2時30分でありました。

     泉ヶ岳の駐車場や表コースの駐車場に車を置いて登っての周回では、桑沼辺りからの林道歩きと、その後の舗装道路歩きが面倒なため三叉路から先で人に合うのは稀です。
    桑沼からの周回コースが取れなくなった今では氾濫原側から登るか、おっさんが下って来た所から登るかしか無い訳ですが、とても現実的ではない訳です。
    せっかく縄文の森と銘打って整備された氾濫原の遊歩道も今は見る影も無いのが現状であります。
    おっさんの勘では、昭文社の登山地図の改訂版では、このコースは削除されるか、残っても破線になっちまうのかなぁ、なんて思う訳です。

     勝手に整備しても良いのなら、おっさんはあの崩落箇所を修繕してみたいと思うんでありますが・・・いや、御上の銭なんか当てにしないし・・・。

     桑沼までの林道歩きがコレまた良いのです。
    西日が傾いて唐松の高い枝だけに日が当たり黄金色に輝き、登山靴が踏みしめる道は落ち葉の絨毯で優しい訳です。
    針葉樹が放つヒノキチオールを、おっ広げた鼻の穴から脳天に届くまで吸い込み、心身ともにリフレッシュし、重たい足を引きずって車に到着したのが3時でありました・・・ああ、楽しかった、と。


       この話 完


    山の状況、情報は適当ですので、ご注意下さい・・・


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