よたよたと、山登り


    No.82

       

     山しか行くとこ無いもんで

        4月 14日 快晴

     春山だな、やっぱし

       木曜日は仕事は休みです。
    で、一昨日バイクを手に入れたんで本日はバイクでツーリングと洒落ようかなと思ったんですが、しかし、馴らし運転も終わっていないバイクで遠出はアレかな、と言う事で、んじゃ他にやる事も無いし天気も良いんで山に行くしか無いよな、となった訳です。
    で、支度をしている時に、ピョーンと閃きまして、バイクで行けば一石二鳥じゃん、と言う事に気が付いたのであります。
    しかし、バイクでは持てる荷物に限りが有って、帰りがけに明日の湯に入った後の着替えとかを持てないので困りました。
    まっ、一度帰ってで直せば良いと言う事で帰りがけの風呂は諦め、出で立ちを決めヘルメットなど冠って出掛けた訳であります。
    自宅から泉ヶ岳の表コース登山口まで車でもバイクでも凡そ25分であります。
    途中には土砂崩れの痕や道路が地割れして応急補修を施した所などが見受けられここにも震災の爪痕が窺えるのでありました。

       
    完全装備で一式背負ったおっさんの姿です

       9時15分に着いて厚着のダウンなどを脱いでザックに詰め込み登山届けを書いて出発したのが9時25分でありました。
    駐車場にはかなりの残雪が有ったのでこの先の登山道は推して知るべし、と思いワカンを履こうかと思ったんでありますが、雪が締まっているんでとりあえずはズボ足で行く事にして杉林の中へ・・・。
    で、歩いてみるとやっぱし雪面は固く締まっており履くんならワカンよりもアイゼンか?んでもそれも大袈裟だよな、と言う事で歩くのは楽でありました。

    雪に埋まって曲がっている木を跨いだ瞬間にビョーンと戻ったら股間は?・・・

     で、残雪の中に踏み跡が有るんですが、これがズボ足の跡で、見れば壷に見えなくも無い訳です。
    ははあーん、おっさんが子供の頃にはズボ足と言ったモノが近頃では壷足と呼ばれている理由はこれかなぁ?と思い当たった訳です。
    要するに、先行者の足跡を壷に見立ててそこへ自分の足を入れて行くので壷足、と言うのであろうかと思ったんであります。
    しかしおっさん的には、ズボズボはまって歩くんだからズボ足だっちゃ、と古来よりの言い方を支持するんでありますが・・・。

    日当りが良いからなんでしょうかねぇ?雪は欠片しか無いです。

     さて、泉ヶ岳表コースは歩き始めたら一気に頂上まで登る急なコースなのでありまして、足場の悪さも手伝って距離の割には手応えを感じると思う訳です・・・まっ、1172メートルと山が低いんで標高差も知れてまして直ぐに勝負は終わるんですけどね。
    それでも胎内くぐりまでの岩まじりの登りは汗をかきます。
    で、日陰の杉林から日当りの良い尾根に出たら残雪は皆無で道は乾いてさえいていて気分爽快なのであります。
    しかし、長袖Tシャツと、下はジャージにスパッツと言う軽装で汗だくでありましたが、この時の気温は既に13度でありました。

    胎内くぐりの看板はペンキの臭いが好きな熊に齧られていました。

     まず、傾斜が急で一歩一歩はきついんですがその分高度が上がるのも早い訳で、あらららっと思ったら胎内くぐりで有りました。
    いつも思うんですが、この手の穴をくぐる場所は何処でも胎内くぐりなんですけど、他に良い名前は無いものでしょうか?
    で、今時でありますから、あの穴をくぐっている時にマグニチュード9がまた来て岩が落ちないとも限らないよな、とビビって止めた訳です。
    まっ、こんだけ揺れても落ちていないんで多分これからも大丈夫でしょうけど。

       
    石油製品は自然に戻らないので見苦しいと思うんですが・・・

     さて、胎内くぐりから少し上に登ると旧い登山地図に示されている登山道の上に出る訳であります。
    で、樹木にも「下るな」と書かれていたりする訳ですがこの度はかなり厳重に注意を促したいと見えて、黄色いビニールテープとトラロープを張ってある訳です。
    おっさんも登山道を管理している人の趣旨は理解出来るんでありますが、しかし現状ではテープは千切れたり縒れたりして見苦しくなっている訳です。
    で、赤布代わりに使われるビニールテープもそうなんですがアレは地面に落ちても土には還らない訳であります。
    なので山での標識や指示用の材料としては不適切ではないかと思うんでありますが・・・まっ、おっさんはいつも批判ばかりで自分は何もしない「口先きおやじ」ですからアレなんですけどね。

    ドウダン林の標識の辺りで残雪が一気に増えました。

     ふぅふぅ言いながら登って行って少し平らになったらドウダン林でありますが、ここから山頂まではたっぷりの残雪が有る訳です。
    まっ、陽当たりの違いとか地形の加減なんでありましょうが、こんな標高の低い山なのになぁ、と、ちょっと驚く訳であります。
    で、ここからいわゆる偽ピークが見えて人によっては騙される訳ですが、おっさんはこんな仕掛けには騙されません・・・嘘です。
    一瞬見上げて真っ白いピークが見えた時に、あれっ?こんなに近かったっけ?と時計を眺めて、なんか変だぞと感じつつもアレが偽ピークである事は忘れておりました。

    昨年に比べたら倍の残雪がある山頂付近です。

     まっ、アレです・・・所詮は1172メートルの山でありまして本気で登ればあっさりと終わっちまう訳です。
    とは言え山頂へ出る手前の最後の急斜面はキックステップをバシッと決めないとナニでありまして、登り応えがありました。
    こう言う場所はアレです・・・先行者が踏んで固まった雪面をトレースするよりも真更で軟らかい雪面にバシッと登山靴を蹴り込んで登るのが楽で良い訳です。
    ああ、そう言えば、おっさんは途中もショートカットして急傾斜をキックステップで登って来たんでありますがこれが出来るのは多分本日が最後でありましょう。
    本日以後は残雪が融けてグズグズになって雪面が崩れるので登れないと思います・・・多分。

    このおっさんは誰もいない山頂でナニを気張っているんでしょうか?

     山頂からは船形の本峰や三峰、後白鬚が直ぐ近くに見え、春霞にかすんでは、大東や面白山や蔵王連峰が見える訳です。
    時折西からの風が吹くんでありますが手袋無しでTシャツ姿でも寒く無い程の陽気でありまして、絶好の春山日和でありました。
    たまにしか山に行かない時って、不思議と良い天気には当たらないんですが、続けて登っているとこんなチャンスに出会す訳です・・・まっ、確率の問題ですか?

    焼きそばはビールのつまみに最適でした。

       さて、時計を見るとまだ11時10分でありまして昼飯を食うにはちょっと早いんでありますが、んじゃぁ根性出して北泉まで回るかい?と言う程の入れ込みようでもない訳です。
    と、言う事でいつものお気に入りの場所、スプリングバレースキー場を真下に見下ろす斜面で風を避けて座り込んだ訳です。
    本日はうどんやラーメンでは無しにカップ焼きそばがメインディッシュであります。
    ソーセージを齧りながらビールをクビっとやってコンロでお湯など沸かすべく段取りをした訳であります・・・春風が気持ち良かったのは始めだけで、冷えちまってダウンなど着込んでおりました。
    で、湯が沸いたので焼きそばに注いで何気なく蓋を見ると・・・お湯の量は770ミリリットルと書かれているでは有りませんか? うそっ・・・麺類の基本湯量は500ccじゃないのか?と、疑う事無くいつものように500ccを入れたんでありますが、ドーリで麺が湯に隠れなかった訳です。
    水は1リットル持っているので追加で沸かす事は吝かではない訳で至急追加を沸かして注いだ訳です。
    さて、3分間待って喰ってみた即席焼きそばのお味は・・・いや、これはアレです、またおっさんの山での昼飯のバリエーションが広がっちまったぞ、と言う感じで、バッチグーでありました。
    何よりもビールとの相性が抜群な訳でして、寒い時の鍋焼きうどん、暖かくなったらカップ焼きそば・・・これで決まりだね。

       
    この手のグルグル巻の木が割山大滝の傍にも有るのですが、地球の自転の影響ですか?

       先週に引き続きザックを枕にシートの上にひっくり返って昼寝をして気が付けば本日も40分程寝ていた訳であります。
    うーっ冷えて来たな、と目を覚ましまして、家から持って来て既に冷えたコーヒーをコッフェルで温め直して飲んで、小雉子を撃って下山であります。

     登り一方の表コースは下山に向えば下り一方な訳で、距離が短い事もあって本気で行けば1時間も有れば下っちまう訳です。
    が、しかし、毎度このコースの下山では一度や二度はスッ転ぶんでありますが、本日も葉っぱの下の泥に足をすくわれて尻餅でありました。
    ケツはビショビショ、捲った腕は擦りむき傷・・・やっぱし表コースであるな、ただでは帰さないのであるな、と言う事で、山は高きが故に尊からず、近くて楽しい泉ヶ岳でありました。

     いやぁ、やっぱし山はいいなぁ。


       この話 完


    山の状況、情報は適当ですので、ご注意下さい・・・


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