よたよたと、山登り


    No.84

       

     山に来い、と言われて行ってみたら、山に恋、なんちゃって

        4月 24日 微妙で絶妙な晴

     山は高きが故に尊からず・・・?

       ブナの会のメンバーが行くと言う「七つ森 七掛け登山」に誘って頂きまして、参加した訳であります。
    まっ、はっきり言って舐めてましたよ・・・ナンボ頑張った所で標高は300メートル前後の山な訳で、全部の8座を登った所でナンボのものよ、と言う感じで気軽に出掛けた次第であります。

     前日の雨は夜明けとともに上がったんでありますが、しかし天気予報ではなんと大雨警報が継続中でありまして、大丈夫なんだべか?と少し心配だったんでありますが、まっ、中止の連絡も無い訳だからカッパを着る覚悟で行くしかないよな、と出掛けた訳であります。
    朝6時の集合場所は南川ダムの駐車場でありました。
     
     集合してみると総勢七名である事が分かり、千葉リーダーから本日の行動予定と時間割概略などの説明を受け、回収車を下山口に置き、スタート地点の信楽時(しんぎょう寺)跡へ廻ったのでありました。

     本日の予定は・・・松倉山291m・撫倉山359m・大倉山327m・鉢倉山289m・鎌倉山310m・遂倉山307m・たがら森232m・笹倉山506m・・・累積標高2621m 累積標高差1412m を一日で廻ると言う物でありました。

     山と渓谷社から出ている「分県登山ガイド」No.3宮城県の山と言うのがあるんですが、この本に載っている宮城県の山58には累積標高差1412mを超える物は無い訳です・・・ちなみに一番の標高差は大東岳1147m、二番が船形山升沢コースの1114mであります。
    と、言う事で、七つ森をなめて掛かると痛い目を見る訳でありますが、痛いのはそれだけではありませんでした。

       
    松倉山へ登り始めてすぐ、ニリンソウ(たぶん)の群落の中を行く

       おっさんは久しぶりの団体登山でありまして、それだけで嬉しい訳であります。
    で、少し興奮気味にはしゃぎつつ出発した訳でありますが、本日はナンだか体調も良く、お天気も良く、歩き始めてすぐから、こりゃぁ来て良かったわと感激でありました。
    思えば、ほぼ半年振りの土の登山道な訳で、残雪の欠片も無い里山は春爛漫、でありまして、ニリンソウやらカタクリやら、イワウチワやら、山野草も満開でありました。

    標高だけで山を見ているうちはまだシロートですな、ナンチャって

     いや、一番最初の松倉山もなかなかの急登でありまして、山頂に立った時にはそこそこの山を一つやっつけたような感覚に陥ったのであります。
    で、松倉山の山頂には三角点がある訳ですが、これはそこらへんの三角点とは位が違う訳で、由緒正しい一等三角点な訳であります。
    本日の同行者はそれぞれに物知りでありまして、三角点は等級に拠って大きさが違うんですと。
    いや、おっさんは正直に言うと三角点にはあんまし興味が無いもんでそこまで深く観察して来なかった訳です。
    しかし、こんなおっさんでも一等と三等は見た事があるんでありますが、二等三角点と言うのは見た記憶が無いんでありますが・・・ドコに在るのかご存知ですか?
    で、松倉山の山頂は流石に一等を取るだけあって眺めは抜群です。

    ロープ、くさり場・梯子、クライムダウン・・・なんでもあります。

     さて二座目は撫倉山であります。
    ○×倉山と言うのは沢山ある訳ですが、山に付いた「倉」は岩を指す事が多い訳で、早い話しが岩山な訳であります。
    でありますから、七つ森は「たがら森」を除くと全部倉が付く山でして、ですから見事に全部、きっぱりと岩山です。
    まっ、前半戦のハイライトはおっさん的には撫倉山であるな、と思う訳です。
    四つん這いに近い感じで山頂を極めますと、薬師如来が鎮座しているのは何処も同じなんでありますが、岩峰の頂はホントーにまさかと言う程の貫禄を感じさせる訳で、標高僅かに359mとは絶対に思えない雰囲気であります。
    で、山頂を後にして大倉山へ向うと、ナイフリッジの岩陵に出会し、くさり場の下降が待っている訳であります。
    宮城県の山の登山道はとても大人しいルートが多い訳でありましてくさり場なんてのはそうそう無い訳であります。
    が、しかし、ここには赤錆びた太い鉄の鎖にしがみついて降りなければならない場面が在る訳です。
    そして、そんなモンで驚いていたのでは七つ森の七掛け完登は覚束ない訳でありまして、くさり場の次は梯子であります。
    まっ、山に登ろうと言うのに高所恐怖症は居ないと思うんでありますが、この区間は高度感抜群の高山気分でありまして、気の弱い人は避けた方が良いかもしれませぬ。

     で、いやぁー痺れたわぁ、と岩場歩きの気分を引きずったまま直ぐ向かい側の鉢倉山に向う訳ですが、途中の栗林には熊棚が沢山掛かっている訳です。
    へぇー・・・こんな里山にナントもハァー、と感心しながらもニリンソウの群落など見ながら進む訳です。
    しかし、山腹にジグを切って登ったり、急登過ぎて直登は無理と巻き道になっている場合でも決して侮れない登山道が多く、手にできる木の枝や沢山張り巡らされたロープなどを引っ張りながらでないと登れない所が随所に在るのであります。
    で、鉢倉山の看板なんですが、新しいのは鉢倉山なんですが、旧いのは蜂倉山になっている訳ですが、まっ、どっちでもハチクラヤマなんで無問題でありましょう。

     さて、鉢倉山から降りて鎌倉山へ廻る訳ですが、この道は踏み跡が交錯していて普通に足場の良いのを選んじまうと鎌倉山と遂倉山を結ぶ按部に出てしまう訳であります・・・いや千葉隊長は真っ直ぐ鎌倉山に行く道を取りたかったようでありますがおっさんは後の事件と山の形を鑑みても按部に出て正解であった、と思う訳であります。

     で、按部にザックを置き始めに遂倉山へ向った訳であります。
    ここで山形から馳せ参じているHさんが○△□と言う山菜を発見・・・昼飯に喰うのだと、おっさん以外の皆さんで山菜採りに励み出した訳であります。
    へへへっ、あんまし簡単に採れてとても美味いので秘密にして独り占めしたいから、山菜の名前も写真もここには書かない事にしました・・・ガハハハハっ。

    いや、これが展望台として建てられたとしたら凄いもんですよ、怖くて

     いや、遂倉山の登りも大変なもんでして、七つ森の各山は歩いて登ると言うよりも這いつくばって登り、ずり落ちるようにして降りると言うのが当たっていると思う訳です。
    で、火の見やぐらが何処かの山頂にあったんでありますが、おっさんの記憶では遂倉山だったと思う訳です。
    しかし、殆ど田舎の村の火の見やぐらのような鉄塔は、これが展望台だとすると余りにも怖い訳で、ヘタクソとは言えクライマーの端くれであるおっさんはビビりました・・・いや、女性と言うのは高い所に強いんでありますか?ヒョイヒョイと登って来る訳であります。
    アレですか?男は高い所に登ると金弾が縮むんでありますが、女性にはそれが無いから、だとか・・・?

     さて、遂倉山から転がり落ちるように降りて按部に戻り次は鎌倉山に行く訳であります。
    これも細い尾根をグイグイと登って行く訳でありますが、ここは千葉B氏の息子が若さに任せて先頭を切って一人で登って行った訳です・・・おっさんとの距離は10E程。
    で、チシマザサの見通しの良い痩せ尾根をふうふう言って登って行くと、彼が何やら小声で言いながら小走りに戻って来た訳です・・・「くま、クマ、熊が居たぁ」と宣った訳です。
    「えっ?道に?」と聞くと「ケツしか見えなかったけれども笹薮に降りて行った」と言う訳です。
    一瞬おっさんもウヒャァー参ったなぁ、と思ったんでありますが、若い者に弱気を悟られては行けないと気を取り直し前進を決めた訳です。
    で、先頭を変わって「はぁっ」と気合いの入った短い声を発し熊を追い払うように、しかし内心ビビりながら進んだ訳であります・・・登山道には微かに熊の臭いが残っておりましたが、まだ餌が乏しいのか夏場のムッとする獣臭ではありませんでした

     そんな訳で程なく後続も追いつき山頂に至った訳であります。
    しかし、熊騒動から熊談義に花が咲き、景色が良かったはずの遂倉山の記憶は熊一色になってしまったのでありまして、殆ど何も覚えていない訳であります。

     
    下から見てこの山の正体を見破れたとしたら貴方は山見の達人であります

     そうだ、火の見やぐらの下で中休止を取ったんでありました。
    で、この時Y嬢がお湯と蜂蜜とレモンで温かいレモネードを作ってくれたのでありますが、これは良いものでありました・・・脚だけでなく前進の強張りと言うか疲れと言うか、そんなモノが抜けて行く感じでありました。
    で、クエン酸の効能は言わずもがなでありますが、それが温かい状態で胃袋に入る、と言うのが効果的なんじゃないのか?なんて思った次第であります。

     ああそうだった、本日のハイライト「たがら森」の事を書くのでありました。
    で、七つ森を紹介している宮城県の山ではたがら森はルートに入れていないし、登山道は無い、と書かれている訳であります。
    しかし、これはたぶん著者が余りにもハードな山の為にわざと書かなかったんだろうと思う訳であります。
    まず、登る方もそれなりにアレなんですが、難儀するのは下りであります・・・玉ヶ池方向でした。
    なんと言っても山場は、ロープも何も無い岩場のクライムダウンであります。
    まっ、本格的な岩登りと比較してもしょうが無い訳で、岩場の経験も無い、里山歩きのつもりで脚を踏み入れちまった一般登山者だとしたらこれは難所になる事間違い無しであります。
    いや、言葉ではとても書けませんので是非皆様、お誘い合わせの上、たがら森へお出掛け頂いて肝を冷やして頂きたいと思います。

     さて、取り敢えず七つ森連峰は完登し、たがら森から降りて直ぐの玉ヶ池の公園と言うか広場と言うか草ッ原で昼飯となった訳であります・・・この時1時30分頃。
    ここでも千葉B氏とY嬢の準備してくれた、それぞれが好きな物を勝手に挟んで喰ってくれスタイルの豪華なサンドイッチを腹いっぱい頂きまして、満腹であります。
    で、長い休憩と言う事で、軽く缶をプシュっと開けたりなんかして、山桜など愛でながらいただいた訳であります。
    いや、陽気が良いので最高の気分で在りました・・・一人きりの飯ではナンボ頑張ってもこのゆったり感は出ないのであります。

    仙台平野を見るのなら笹倉山の東屋からの展望が世界一です

     七つ森には薬師如来が祀られている訳です・・・一カ所だけ文殊菩薩なんだそうですが。
    で、七つの薬師様を一日で廻るのを「七薬師掛け」と言って古来より無病息災を願う若者が頑張って登った訳であります。
    しかし、何時の時代にも即席を求める風潮は在るようでして、七つの薬師様を笹倉山に合祀し、ここへ登れば「七薬師掛け」のご利益が在る、と言う事にしちまったんだそうであります。
    そんな訳で、七つ森の最後を飾るのは、何故か八つ目の笹倉山になった訳であります。
    しかし、おっさん的にはこれは決して七つ森には入らないよな、と思う訳です。
    何となれば、これ以外の山は多少無理をすれば尾根をつなぐ事が出来るんでありますが、笹倉山は遠く離れているので車で移動しなくては登れないのであります。

     で、おっさんは祀られている如来様や菩薩様にはあんまし興味が無いので眺めの悪い神社だけの山頂は興味が薄いんであります。
    しかし、山頂手前の展望台は登る価値有りで、遠くは金華山から仙台市名のビル群まで一望出来る訳であります。
    展望の良い山は数々ありますが、仙台平野を眺めるのであればここが世界一だとおっさんは思う次第であります。
    秋に空気が澄んだらここにテントを張って酒を呑みながら仙台の夜景を撮る、なんてのをやってみたいなと思っているんでありますが、まっ、キャンプやたき火は禁止なんでしょうね・・・やるけど。

     笹倉山の途中で少し時雨れましたが、天気はとうとう大きく崩れる事も無く、4時半頃、無事に御門杉登山口に到着でありました。

     いやぁ、やっぱし山はいいなぁ。


       この話 完


    山の状況、情報は適当ですので、ご注意下さい・・・


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