よたよたと、山登り
No.86
一年で一番山が美味しい季節
5月 03日 山遊びの一日め
昨年に引き続きブナ平でのテント泊山行であります。
山に行くのでありますから多少は登山的な事もやるのでありますが、メインは酒飲んで宴会で、序でに山遊びであります。
で、ありますからこれは「大人の遊び」でありまして、詫びや寂びを感じられない世代はダメだと思うんであります。
しかし、この度は、千葉B氏と千葉S氏のご子息2名が参加し、今時の若者の定説を覆し、しっかりと山の息吹と侘び寂びを感じ取っていたのでありました。
まっ、アレです・・・おやじが山好きなんで血筋と言う事ナンでありましょうね。
これは飲み物の一部でして、こんな物ではない訳です。
7時集合でまほろばホールに集まったんでありますが、アレコレあって旗坂キャンプ場出発は9時過ぎでありました。
しかし,本日の行程はとりあえず20番のデポ地までで、そこからブナ平に向いテントを張ってベースキャンプの設営と言う事で、まあ、のんびりしている訳であります。
4月29日に同じ道を歩いている訳ですがたった4〜5日で随分と雪は溶けて直登できた雪面が笹薮になったいたりするのであります。
で、本日は総勢7名の割りと大所帯な訳でありまして、それぞれがそれなりに必要装備を背負っていて重い訳です。
中でも千葉B氏は6人が楽に寝られるコールマンの大型テントを背負っている訳で、背負子に括り付けられた荷物は見るからに重そうでありました。
おっさんはクライミング道具のザイルと金物が入っているのでアレですが、何時も背負って歩くビールが皆無なのでちょうど良い感じの20キロ程度でありまして、足取りは比較的軽く、しかし歩みは遅くであります。
若い者が2名混ざっているのですが、これが憎らしい程軽快なんであります。
しかし、途中で千葉B氏の背負子と交代してもペースが落ちない訳で、やっぱし若いっちゅうのは良いもんで、羨ましいなぁと思う事しきりでありました。
さて流石にGWの真っ最中であるな、と感じさせる多くの踏み跡を辿りつつ20番のデポ地に到着でありまして、無事に先日埋めたアルコール類を回収したのであります。
しかし、すっぽりと雪を被せて埋めてあった物が雪解けで完全に顔を出していたのはご愛嬌であります・・・名札代わりに名前入りの赤布を貼ってあったので無事だったのでしょうか?
だだっ広いブナ平ではテントがとても小さく見えます
そんな訳でブツを回収し、小荒沢を横切ってブナ平に至った訳でありますが、そこは何時もと変わらぬ姿で、花染めと黒森のブナの巨木も静かに立っていた訳であります。
で、到着が丁度12時頃であったのでここで昼飯にするか、本日の目標の一つの不動岩まで行って昼飯にするか協議した訳です。
その結果、ここで昼飯にしたら早くも宴会モードに突入し、絶対に不動岩には行かなくなると言う事で一致し、テントを設営後速やかに不動岩に移動の後昼飯をとる事に決まった訳です。
三光の宮方向を見上げるときれいな彩雲が見られました
おっさんはクライミングの道具だけを持って軽い足取りを保ちつつも、肚減ったなぁとか、ビールはまだかぁ、と意地汚く呟きながら歩く訳であります。
途中の登りで三浦S氏が「あっ、彩雲だ」と言ったので見上げると、見事な虹色の雲が見えたのでありますが、おっさん、コレ程はっきりとした色の彩雲は初めてでありました。
で、思ったよりも不動岩が遠いのに辟易し息切れ寸前の時にやっと到着した訳であります。
まず、まずはナニがナンでも昼飯を食いたい、ビールを飲みたいおっさんでありました。
アレです・・・ブナ平から三光の宮を経由しつつ不動岩と言うコースは思ったよりも登りがキツイく結構ゆるく無い尾根筋であります。
そんな訳で、けっこう辛い思いをしたなと思ったのは、何時もと違ってペースの早い若者が2名混ざっているからであるな、おっさんが衰えた訳ではないよな、と言い聞かせつつ、取り敢えずビールなど飲んだのであります・・・ぷはぁー美味いっ、と。
で、本日の昼飯は近頃おなじみの「釜揚げウドン」であります。
しかし,たかがウドンとは言えない代物で、いろんな薬味が隠されている訳ですが、キモは、シーチキンですかね?
と、言う事で、バーナー二台でウドンを茹でつつ、ビール飲みつつ喰った訳であります。
が、しかし、この後不動岩に取り付く予定があるのでヘベレケになるのはマズイ訳で、少しは自重しなくちゃ,なんて思ったら残りは既に無かったと言うことで・・・よく飲むなぁ、と。
裏から登ってトップロープを掛けて、表から懸垂で降りるおっさんです
さて、飯を食って千葉B組と千葉S組の2班に分かれ、B組は岩登りでS組は蛇ガ岳のピークハントへと向った訳です。
で、おっさんはハーネスを付けスリングとカラビナを少しと35メートルのロープと20メートルの2本を持って一番楽な裏側から登った訳であります。
しかし、傾斜的にはドスラブで手足ともに掛りがあるんで楽なんですが、それはとても脆いのであります。
で、極めつけは一番ヤバイと思った所で左手のホールドの岩がベリッと剥がれて身体が浮いたのであります・・・金弾が縮みました。
そんな訳でナントカよじ登ってトップロープを下ろして懸垂で降りたんでありますが、岩が脆い上にカミソリみたいに薄く尖っている訳であちこち引っ掛けた所から血が出て痛いのであります。
Y嬢も怖がらずに登り切りました
さて、一番手は千葉B氏がハーネスを付け、クライミングシューズに履き替えて岩に取り付いたのであります。
が、しかし、真ん中まで登った辺りで「ダメっ、手掛かり無し・・・崩れる、剥がれる、ヤバイ」と騒ぐ訳であります。
おっさんはビールを飲んで気楽にビレーしている身でありますから「ほらっ、左手伸ばせばいいっちゃぁ・・・右足上げればぁー」と励ましとも罵声とも付かない声をかける訳であります。
が、B氏は程なくしてギブ宣言で吊り降りたのであります。
で、2番手が若手のホープ、千葉B氏の息子のK君であります。
若い身体はバネの塊みたいなもんで、体重も軽く何となく行けそうな雰囲気でありました。
が、しかし、とうちゃんのB氏よりも2メートル程上に上がったんでありますがやはりホールドが見つからずに敗退でありました。
おっさん、呆気なく敗退でありましたが、手が血だらけでした
さて、満を持しておっさんの登場であります・・・おっさんは小さめのカンテとクラックに添って楽勝で行ける、と踏んで舐めておりました。
さて、結果でありますが、K君が掴んだクラックまでも到達する事無く、呆気なく敗退でありました。
まっ、言い訳をさせてもらえば・・・酔っ払っていた事かなぁ?・・・嘘です・・・あれは岩が脆くて危険です・・・悔しい。
その後は、Y嬢や三浦S氏も混じって裏側のスラブからロープで確保して全員がテッペンを極めた訳ですが、見れば小さな岩なのに登ってみると結構な高度感でそれぞれが岩登りのスリルと緊張を味わったのでありました。
しかし、船形山の沢でもない場所に岩登りの道具を持ち込んでこんな馬鹿な遊びをした人が他に居たとは思えないので、恐らく、この岩の初登はたぶん、おっさん等ではないのか?と思うんであります、が、如何に?
さて、散々遊んで草臥れてテント場に戻る訳ですが、下山しなくて良い、今夜は山の中に泊まるのだと思うと気が楽なんであります。
で、テントに着いたのが4時半頃でありましたが、これからK君が下山する、と言うのであります。
いや、当初泊まらずに帰ると言っていたのは聞いて居たんでありますがすっかりのんびりしていたので、てっきりお泊まりに変更したのだろうと思っていた訳です。
しかし、千葉B氏が25番まで送って行くと言うし、慣れている道なので心配は無いのですが、若者を酔っ払わせて潰してやろうとか考えていたおっさんとしてはチョット寂しくもありました・・・まっ、次回だな、と。
そんな訳で千葉B氏が居ないんでアレなんですが、テントの中で乾き物のつまみなど引っ張り出して酒盛りを始めちまった訳です。
程なくして無線で呼び出され、千葉B氏が20番まで戻ったとか小荒沢を越えたとか言って来た訳ですが、おっさんは既に酔っぱらいでありました。
結局飲んじまうともうダメなおっさんでありまして、この後千葉B氏が戻って更に飲む方に馬力が掛かってからは写真など撮る事も忘れ飲み続けた訳です。
あっ、晩飯は焼き肉でありましたが・・・「新玉美味いっちゃね?茄子もうまいっちゃね?ピーマンも喰わいん?・・・肉余ってっから喰わいん?」と、延々と喰い続けた訳です。
で、研がなくても平気だから、と、コッフェルに水を張って焚いたご飯も奇跡的にメッコ飯を逃れ腹いっぱいになった所で「ンじゃぁ寝るすか?」で消灯・・・9時50分でありました。
夜明けとともに起きて雪上焚火をする千葉B氏・・・
ちょっとフラフラする重たい頭を抱えて起きたのは5時半頃でありましたが、既に全員が起きていましておっさんが最後でありました。
しかし皆の動きはまだ緩慢で昨夜の余韻を引きずっているのであるな、と想像する訳であります・・・おっさんは少し頭痛気味でありました。
焚火が安定したら焼き芋を始めた千葉B氏
いつもそうなんでありますが、山行計画の殆どが千葉B氏にお任せで、食料の買い出しまでおんぶに抱っこなのであります。
いや、しかし、お手伝い出来る部分と言うのはほとんど無いおっさんでありまして、申し訳ないなと常々思う訳ですが、如何ともし難い訳でありまして、静かに,朝飯はナンダベと待つのでありました。
コンビーフのオムレツとサラダとパンを赤ワインでいただきました
焼き芋とコーヒーを手に焚火にあたっていると千葉B氏が手早くオムレツを焼き上げてくれる訳です。
意地汚いおっさんはさっさとパンを手にし、オムレツやレタスを挟んで食う訳であります・・・ガバガバ喰うのであります。
しかも、朝っぱらから赤ワインで流し込む訳であります。
樹齢300年から400年のブナの巨木の森で残雪の上に焚火を起こし、鳥のさえずりを聞きながらうまい朝飯に赤ワイン・・・おっさん、気持ちが解けていくのを感じたのでありました。
ブナ平の上から花染め山まで続く稜線
良く言えばのんびりと、しかし現実的にはだらだらと飯を食ったりワインを飲んだりで既に9時近くなった頃、誰からとも無くそろそろ行くすか?と言う事で花染め山の山頂まで歩く事に。
おっさん、この方向から花染め山に向うのは初めてでありましたが素晴らしい尾根と雪庇の残雪でありました。
さして標高が高く無いこの尾根にこれだけ多くの雪が残っていると言う事は厳冬期は思いの外厳しい風が吹いているのだろうと想像出来る訳であります。
ブナ平から1042メートルの花染め山山頂までは少しの登り降りがあるだけでほとんど平行で45分で着きました。
夏道が無いので滅多に人の来ない地味な花染め山でありますが、小さな板に手書きで花染め山頂と記してありました。
最高の天気の中、おっさんは半袖のTシャツ一枚でテント場に向って雪稜を歩く訳であります。
で、後チョットでテントに着くなと思った稜線上に裸足の足跡を見つけたのであります・・・おお、雪男か?しかしちょっと小さいんだがなぁ・・・ああ、熊かぁ?と、言う事でおっさん等が行き過ぎるのを隠れて見ていた熊が居たらしいのですが熊の足跡は保野川の谷の方から上がって来て小荒沢の方へと下っていました。
焼豚の串刺し焚火炙りです
さて、テント場に戻ったら昼飯でありますが、仕度が整うまでの間にまた飲む訳であります。
今度はチューハイとハイボールでありまして、つまみは炙った焼豚であります。
消えていた焚火を再度起こし、木の枝に刺した焼豚を焚火で炙ってスモークして喰うのでありますがこれがまた絶品な訳です。
そう言うしているうちに焚火にフライパンを載せ餅を焼いてそれぞれがツナマヨだとか蜂蜜だとかショーユだとかつけて喰うのであります。
この度の山行の締めの飯は「納豆餅」でありましてお湯でサラッと湯がいた餅を納豆に入れて食った美味さと言うのは筆舌に尽くし難いと言うのは決して大袈裟ではありません・・・まっ、この環境で適度に動き回りつつ喰う訳ですから何を喰っても美味い訳ですが、感心するのはどの食い物も手早く簡単であると言う事であります。
実際、気象の変化など様々な要因で凝った調理は難しい事も多い訳ですが、納豆餅なんてのは納豆のパックを配ってお湯の中に餅を入れれば出来上がりな訳です。
コレを思いつき実践する千葉B氏に感謝であります。
ザイルとカラビナを数個使っての引き上げの訓練です
さて、千葉B氏を中心とした我々の山行は、特に山岳会的な要素も無く、会則や名簿が有る訳でも無いんであります。
しかし、最近では泊まりの沢登りや、ナンチャってとは言えロープを使う登攀的要素を含む山行もこなすようになって来た訳で、雪上訓練やロープワークなども最低限は必要であろうと言う事で、千葉B氏が講師となって訓練を実施した訳であります。
まっ、おっさんは酎ハイが効きすぎちまってペロペロなんで実践は三浦S氏やY嬢が主にやった訳ですが、これも何度かやっていくうちに皆が出来るようになると凄いな、と思う訳であります。
で、雪上訓練を終えテントを撤収し嫌だけど仕方が無いから下山と言う事になった訳ですが、やっぱし、皆して今年のGW山行も終わっちまったなぁ、と言う事で無口でありました。
20番から旗坂キャンプ場まで、おっさんは一歩一歩を踏みしめるように下ったのでありますが、それは酒が抜け切らなくて足元が危なかったからだけではありません。
この話 完
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