よたよたと、山登り


    No.88

       

     気になっていたあの山を確認

         5月15日 日曜日 快晴

     不忘山の南側、横川林道と横川を跨いだ向こう側に蛤山は有るのです。
    いや、標高も1000メートル前後の中途半端な蛤山なんて興味も無かったし知らなかったんでありますが、地図を見ていたら国体コースと言うのが見えた訳です・・・なにぃ?こんな山で国体やったのか?そんな味のある山なのか?と、妄想が膨らんじまった訳であります。

       
    広い林道の植林地の後は二次林の雑木林が続きます。

     そんな訳で、そう言う山はいっぺん登っとかなくちゃアレだろう、と言う事で、愛車のスーパーカブに股がり、南蔵王の硯石を目指して家を出たのが7時50分でありました。
    絶好の五月晴れのもと、トコトコと走って9時15分林道入り口へ到着、9時20分出発でありました。
    ここからは伐採や植林に使う車の通れる幅の林道を暫く行くのでありますが、これがなんともアレでして、手入れされずに放置され伸びずに伸びられず密生している杉なんで、見ていて心痛い訳であります。

    登山道の入り口です

    やがて植林地帯が終わり、二次林の雑木林が続くようになると遊歩道的林道は明るく、里山的で気分も良くなります。
    林道入り口から15分も歩くと登山道入り口であります。

          
    登山道に入ってもまだ遊歩道的では有ります。

       あまり太く無い雑木の林を分けていく陽当たりの良い林道で、ここまでの道は間違いなくハイキング、散策路です。
    青少年旅行村の先、林道入り口の200メートルほど手前に蛤山登山の為の駐車場が設けられているのですが、5〜6台の車が停まっていました。
    なるほどなぁ、知っている人は知っている山なんだな、と思ったのですが、この歩き易さからハイキング的登山として人気の山なのかも知れまぬ。

    なんだか分かりませんが、白いお花畑です。

     登山道と言っても危ない箇所は皆無、足元はしっかりで、その上少し急な所には木製の階段が作ってありまして、至れり尽くせりであります。
    とは申しましても、標高差600メートル程度はこなさなくてはならないのでそれなりに汗の出る箇所も無くは無いのです。

     
    清楚な花の美しさに打たれ、おっさん、惚れちまいました。

     ここの登山道は向きが良いんでしょうか?全体に陽当たりが良く明るく、しかも乾いて歩き易い登山道とあって、少し脚が速くなっちまう訳です。
    しかし、ちょっと登っては緩くなり、また登っては緩くなりと理想的な塩梅なので有りまして、疲れを感じ難い登りとも言えます。

    なんだか分かりませんが、黄色い花です。

     そんな訳で、途中で一組、二組と追い越したんでありますが、こう言っちゃナンですが、殆どがえらいご年配の登山者でありまして、懸命な山の選択であるな、ナンチャって。
    で、途中でお休みしていた人から、あの白い花はなんと言うのですか?と尋ねられたんでありますが、それがナントぉー・・・昨晩何気に調べた花では有りませぬか。
    「ああ、あれはタムシバと言ってモクレンの仲間ですね」と胸を張って大きな声で答えて上げたのであります・・・この日、おっさんが名前が分かった花はタムシバとカタクリだけだったと言うのに。

    見慣れたカタクリなんですが、これだけ見事だと撮りたくなります

     と、言う事で、次から次とお花畑や可愛い花が現れて、写真に夢中で中々前に進まないのであります。
    で、標高が上がると雑木林が消え、ブナの木がポツポツと目立つようになるのですが、倒木の中に太いブナが有って、昔はここもそれなりのブナ林であった事が伺える訳であります。

     
    青麻山です・・・次はこれかな?

     さて、登山道にしては随分と歩き易く、コースの管理がとてもしっかりしているんでありますが、これは直ぐ近くに在る青少年旅行村と関係があるのじゃないか?とおっさんは睨みました。
    あそこにはバンガローやキャンプ場があって夏になると児童生徒が利用している訳であります。
    で、アソコに泊まってナニをやるかと言えば山に登るしか無い訳なんだけれども、不忘じゃ荷が重いと言う子供達が蛤山に登っているんじゃないのか?・・・ナーンて勝手に想像してみました。

     
    祠と立て札が有ったんですが、なんだか地味な山頂でありました。

     5月の新緑の頃が一番だと言うのはガイドブックの言う通りでありますし、道々に花達の美しさは相当なものなんですが、山の楽しみに眺望を加えたいと思う人にはかなり不向きな山かも知れません。
    登って来る途中にほんの少し不忘の頭が雑木越しに見えましたが、もうチョットして葉っぱが茂ったら眺望は皆無になると思われます。

     
    森の小道のお花畑・・・ここで昼飯を食べました。

     ブナの木が目立ち始め傾斜が無くなって一寸したピークを越えたら山頂でありまして、10時50分着でありました。
    蛤山の山頂を誰が決めたのか、とても気になるんでありますが、祠の年代を見るとそれ程旧い物では有りませんでした。
    で、山頂は980メートルで3桁なんですが、少し手前に1017メートルの4桁のピークともう一つ1000メートル程度のピークを越えて来る訳です。
    で、敢えて低いピークを山頂にしていると言うのはここが展望が良いのかと言うと、そう言う事でもない訳で、強いて言えばここが一番広いから?かな?としか思えない訳であります。

    流石に国体コースでありまして、急ですが・・・

     さて、無愛想すぎる上に何となく陽当たりも良く無く暗いんで、地図では周回出来るとなっている国体コースなる方へと進んだ訳です。
    この尾根筋はアレです、北泉から大倉山へ向う尾根に良く似ていて、陽当たり抜群でとても気分の良い道であります。
    で、昼飯を食うのに良い按配の場所を求めていく訳ですが、天気晴朗なれど風強しでありまして、風裏で陽当たりの良いと言う贅沢な所を探していた訳です。
    程なくして黄色い花の花畑を眺めつつ、陽当たり抜群で広さも適当と言う好立地を発見して腰を落ち着けたのであります。
    ここではエースコックのカプ焼きそばを食い、ビールを飲んでコーヒーも飲んで、序でに30分ほど昼寝などして過ごした訳です。
    しかし、あの例の黒いハエともカとも違う煩い虫が多くて閉口なんでありますが、時折吹き抜ける突風が一掃してくれるのであまり気にならなくてラッキーでした。

     
    なんだか分かりませんが妖艶な花で有りました。

     さて、昼寝をしてスッキリと国体コースを下山する訳ですが、このコースは下り出したら下まで一気でありまして、行ってみたらナンでこんな山が国体コースになるのか、何となく分かる気もしないでも無いです。
    まっ、はっきり言ってこれを逆から登るのは私は絶対に嫌です。

    名も知らぬ花ですが、清楚な佇まいにホントーに参りました

     そんな訳で、蛤山の踏み跡を見ると、あっち側を10とすれば、こっち側は3程度でありましょうか?
    しかし、おっさん的にはこの山の総てを知るには周回してこその蛤山であるな、と思う訳であります。
    確かに、足元に自信の無いご年配の登山者に勧めるには少しキツい下りかも知れませんが、まっ、転がっても痛い程度のアレなんで、滑落の類いにはなりませんので大丈夫かなと思います。
    で、お勧めする最大の理由は、静かな山なんであります。
    表側の至れり尽くせりとは打って変わってとても自然なままの登山道が一本、ずーっと下まで続くだけでありまして煩く無いのであります。
    場合に拠っては根性養成の為にこちらから登るのも悪く無いと思いますが一本調子の登り続けは地図で見た高低差よりも手強いんじゃないかと、おっさんは値踏みしました。

    なんだか分かりませんが黄色い可愛い花でした

     で、このコースは静かな上に花の種類が表側とまるで違うのがまたおもしろい訳です。
    おっさんは魚の名前と昆虫にはナンボか知った名前が有るんですが花はダメでして、赤い花・白い花・黄色い花、と言う分類しか出来ないのであります。
    しかし、アレです・・・名前なんか知らなくても、街でふと美人とすれ違ったときなんかとっても得した気分になるじゃないですか? へえっ?ならない、ですか?・・・ああ、そーですか。
    と、言う事で、名前なんか知らなくても見たらキレイだし可愛いし美しいし・・・時にはプーンって香ったりして楽しませてくれる訳です。

    最後に登山口を示す立て札を見ましたが、熊に齧られていました。

     さて、標高が低いんで歩く距離も短く、下りに国体コースを使っても大した山では無いんでありますが、今の時期の花の美しさは大したもんだと思う訳です。
    たぶん、高からず低からずの中途半端な標高だから見られる花なんて言うのが有るのかも知れないなんて思ったんでありますが、どんなもんでありましょうか?

    登山道から林道を経たら舗装道路を行く事になります。

     さて、国体コースの最大のマイナスポイントは、林道歩きの後に舗装道路を通って横川の集落を抜けて駐車場まで戻らなければならない事かもしれません。
    しかし、山間の集落ののどかな雰囲気の中を歩くのはおっさんは嫌いじゃ有りません。

     バイクに戻ったのは1時00分でありました。  


       この話 完


    山の状況、情報は適当ですので、ご注意下さい・・・


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