よたよたと、山登り


    No.89

       

     気になっていたあの山へ・・・その2

         5月19日 木曜日 曇り/晴れ

     昨年は脚を捻挫して不本意で苦しい1年を過ごし、登った回数も少なく、消化不良であった訳です。
    で、今年は行くぞぉー・・・と、思っていた矢先の3.11の地震で有りました。
    まあ自分の震災被害は無いに等しくアレなんですが世間がナニなもんですから地震から一月ほどは自粛していた・・・と、言うよりもガソリン不足で移動がままならず山に行けなかったと言うのが本音なんですが。
    そんな訳で、4月7日に山登りを再開してから約一ヶ月で8回目の山行でありまして、今年は気力体力ともに充実しているなぁ、と我ながら感心している次第であります。
    いや、頻繁に出て行ける最大の理由は山までの脚がバイクになった事であります。
    なんたってポケットの小銭で1日賄える訳でありまして、自宅からおにぎりとお茶とカップ麺とビールを背負って行くと1円も出さなかった日,なんてのも有る訳でして、山行が経済的になっていると言うのも大きな理由なのであります・・・ナンと申しましても根が貧乏人な者ですから、これは大きな問題になる訳であります。

     そんな訳で本日も山行の脚はホンダ・スーパーカブでありまして、鬼首の県道63号、花立峠を目指したのであります。
    7時10分出発・・・国道457号で岩出山まで行き,国道47号に乗り換え、鳴子から国道108号に入り、鬼首で県道63号で花立峠へ、と向ったのでありました。
    そんな訳で、県道63号に入るまでは曇り空が思ったよりも寒いな、天気予報は快晴で気温が上がると言っていたんだがな、とブツブツ言いつつも順調に来たのであります。
    が、しかし、鬼首で曲がって町営牧場の牧草の緑の絨毯に見とれつつ登って行くと、すぐに通行止めのゲートにブチ当たっちまった訳であります・・・あいゃぁ、参ったな、昨日宮城県のホームページで下調べしたら5月15日に開通って書いてあったんだもの・・・毎度の事ながら延期になった事とかはすぐに反映しないんだもの・・・これだものなぁ・・・まっ、覚悟はしていたんだけれどもね、と言いつつ、迷わずゲートから峠を目指して歩くのでありますが・・・。

    町営牧場の道路から望む禿岳・・・アルペンチックですねぇ

     9時10分、通行止めのゲート前到着、9時20分スタートでありました。
    バイクを停めたゲート前は標高420メートルで、花立峠は800メートルな訳です。
    4.5キロのアスファルト道路をテクテクと行くのはどんな塩梅かと言いますと、車が来ない我だけの道を新緑を眺めつつ行くのは悪い気分ではありません。
    しかし、当初の計画よりも距離が随分と長くなり、標高差も稼ぐ事になっちまう訳でありまして、本日はツーリング気分の序でに軽く登るつもりであったのに、結構な運動量になっちまう訳であります。

       
    花立峠登山道入り口

     登山道入り口到着は10時20分でありました。
    で、オラが道を俺一人で歩いて来たと思ったら駐車場にライトエースが停まっているでは有りませんか?・・・なしてぇ?
    反対側の山形側から登って来たとしても目の前にも通行止めのバリケードが有る訳で、しかも車は宮城ナンバー、と。
    まっ、ゲートの鍵を持っている人なんだろうから、県の関係者が道路の視察がてら山菜採りにでも来たか?と睨んで登山道へ。

    絶景ばかりの登山道ですが、特に眼下に牧場を見る風景は日本離れをしています。

    歩き始めから1合目の看板まではほとんど遊歩道的であります。
    で、ここより上に樹林帯が有るにも拘らず1合目までは樹木皆無であります・・・いや、風衝地なんで灌木も無いんです。
    やっぱしな、ハゲ禿岳の面目はここで保たれている訳か?・・・ナンチャって。
    しかし、程なくして本格的に普通の登山道になるのですが、尾根上なので風が強いのか、ひねて背が低く妙にずんぐりと見えるブナの道になる訳であります。
    そんな道を、小さな登り返しなど越えつつ、そこそこの登りを行く訳であります・・・感動的に展望が広がるのは5合目を越えてからです。

          
    5合目を超えて尾根を乗り換えると雰囲気が変わります・・・たぶん。

       5合目まではごく普通に登山道でありまして、目を奪われるような花も少なく淡々と行く、と言う感じでありました。
    で、歩き易く登り易い道をせっせと行きますと、何やら人の声が聞こえる訳であります・・・男の声で複数であるな、と。
    ここまでも小さな雪田などの上を歩いて来ているのですが雪に先行者の足跡は見てい無い訳で、ふぅーむ、奇怪であるな、と思いつつも正体を見極めるべく加速したのであります。
    で、程なくして6名の団体に出会した訳ですが、場所は、丁度5合目の雪庇の痕の急斜面でありまして、そこで何やらトラロープなどを張っている最中でありました。
    あっどーも、と曖昧に挨拶などしつつ追い越そうとすると、何も訊いて無いのに「日曜日が山開きなんで登山道の確認をしていました」と、地元の山岳会なのか県の関係者なのか、まっ、そういう人達だった訳であります・・・ははぁーん、やっぱしなぁ、あの車はそう言う事な訳だ、と、納得であります。
    いや、しかし、追い越しを掛けた所が結構な傾斜の雪面でして、キックステップを打ち込むも堅い雪であんまし効かない訳であります。
    それでも皆がおっさんの登り切るのを待っている訳ですからさっさと行かないと申し訳ないのでありますが、滑落はもっとみっともない訳で、いや、チョビッとだけ焦りました。

     
    5合目を超えると展望が開け栗駒山などが見えてきます・・・たぶん。

     難所の5合目を過ぎると山頂まで気持ちの良い稜線歩きでありまして、ちょうど向かい側の神室連峰の尾根にとても感じが似ています。
    やっぱしここら辺りは雪が多いんでありましょう、標高1000メートルを超えたばかりなのに樹木の背はとても低く、1200にもならないのに森林限界を超えちまうのであります。
    で、9合目でお不動様の祀られた祠など見てすぐ、唐突にと言う感じで山頂に飛び出すのであります・・・そう、飛び出すんでありまして、突然目に飛び込んで来る幾つかの看板や標識に面食らった訳であります・・・山頂到着、11時50分でありました。

     
    山頂に立つおっさんです

     ハゲ禿(ハゲカムロ)と呼ばれる所以がナンなのか良く分からないんでありますが、確かにこの山の樹木は薄いです。
    特に東側は雪が削り落として磨いだ谷が急峻で険しくスラブとまでは言えないけれどもそれなりの傾斜で樹木が着いていない訳です。
    で、尾根の全体が風衝地帯で森林限界が低く標高の割りには灌木の背も低い訳です。
    なのでな見通しと眺めは抜群なんですが、見られた花は樹林帯の山に比べるとやや寂しい者であるかも知れない、なんて事を思うのであります・・・いや、雪解けが遅いので花の出もこれからなのかも知れませぬが。

    べろーんと広い虎毛山の山頂に避難小屋が見えました

     歩き始めは曇り空でありましたが歩いているうちに晴れてきまして、山頂に着く頃には風も暖かく、半袖でいても寒く無いほどでありました。
    で、左手に神室連峰、正面に虎毛山、隣に栗駒山などの展望を独り占めにしながら、毎度の焼きそばと缶ビールの昼飯に至った訳であります。
    神室連峰を見ながらつくづく思ったんでありますが、アレを厳冬期に縦走するのって、北や南のアルプスと名のつく所に負けない厳しさじゃ無いだろうか?なんて思いつつ眺めた訳です。
    で、残雪期ならナントカなるか?四月の後半なら水を背負わなくて良い分夏場の縦走より楽かも知れない・・・でもなぁ、交通手段がなぁ・・・でも、行きたいなぁ、なんて妄想しながら飲んで喰って休む事40分でありました。
    その間に一人の単独者がおっさんの20分後くらいに登ってきまして、5合目で追い越した6人がおっさんが下山態勢に入った時にやって来たのでありました。

    神室連峰の小又山でしょうか?美しい山容にホレボレしちまいます。

     さて、10分ほど横になって空など見上げていると、いつもの「帰りたくねぇなぁ」の虫が騒ぐのでありますが、やっぱし降りなきゃならない訳です。
    先ほどの6名に「ンじゃぁお先に・・・」とご挨拶をして12時30分下山開始でありました。
    ほんのチョッとビールの感じがホワンとして心地よく、下りは登山道を外してわざと雪渓を下ってみたりする訳です。
    で、杖を頼りにグリセードなど試みる訳ですが、下手な方に転がると結構ヤバイ斜面であったりして肝を冷やす訳であります。
    そんなこんなと遊びながら下って参りますと、5合目にの難所には有り難いお助けのトラロープが・・・うひょ、助かった、と。
    禿岳は秀麗な山で味わい深いんでありますが、やっぱし標高1300に満たない山な訳でありまして、距離は短い訳であります。
    そんなもんで、ヒョイヒョイと下ってきますと、1時間程度で登山口に出ちまうのであります・・・1時30分でありました。

         
    陽が少し傾いた時間になると新緑が一段と輝いて見えました。

     さて、峠に下ってきますと駐車場のあっちに「小柴山へ」と言う看板が見えた訳であります・・・むむむっ、まだ1時半で、パワーもある・・・行くか?と思って遊歩道を登り始めた訳であります。
    で、モノの5分も行ったら腹具合がアレで、ナニした訳であります。
    そんな訳でザックを降ろして雉子など撃って一息入れたら前に進むのが嫌になっちまいました・・・時間もアレだから帰っかぁ?
    と、言う事でやっぱしまた舗装道路をテクテクと歩く事にして下山した訳で、フキノトウなど拾いながらボチボチ歩いてゲート到着は2時20分でありました。  


       この話 完


    山の状況、情報は適当ですので、ご注意下さい・・・


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