よたよたと、山登り


    No.91

       

     気になっていたあの山へ・・・蕃山

         6月02日 木曜日 曇り/雨

     木曜日は仕事は休みでありまして、順当であればバイクに乗って山に行く訳でありますが、本日のお日柄は良く無く、起きたら雨でありました・・・ふうーっ、本日も自宅待機か? と。

     朝飯を食ってTVのニュースなど見ていると、なんとか雨が止みそうなんですが、しかし、ちょっと目を離すとまた本気で降っていたりする訳です・・・強はダメか、と諦め気分でありました。

     部屋に籠って底の剥がれたトレッキングシューズをボンドでべたべたにしながら修理などしているうちに昼飯時となり、本来は山で喰うはずであったカップ焼きそばを喰い終わりコーヒーを片手に外を見るとずいぶんと明るくなっているではありませぬか・・・しかも気温が良い塩梅に上がっているし・・・行くか? 何処へ? アソコだな、と言う事で、まかり間違ってまた降って来ても帰り道で難儀しなくて済む超近場・・・仙台市青葉区折立の「蕃山」を目指した訳であります。

     一番小さなリュックにお茶とビスケットと非常時必要袋を放り込み、合羽を着て出掛けたのが1時少し過ぎでありました。

     
    折立の宮城インター入り口前に大梅寺への登り口があります

     さて、なんとなく怪しい雰囲気の空模様ですが家からバイクで15分と言う近さなもんで、万が一降って来た時には速攻で逃げ帰れば良いと言う気楽な気持ちでやって来た訳であります。
    概ね1時半頃登り始め、大梅寺の看板など写真に撮ろうと思ってカメラを取り出したんですが、ウンともスンとも言わない訳です・・・あっ、電池切れ?で諦めて携帯でのお写真に切り替えた訳ですが、フラッシュも手ぶれ防止も無い玩具のようなこれで暗くてちゃんと写るのかドーか、心許ないんでありますが、まっ、無いものはしょうが無い訳です・・・しかし、あとで気が付いたんですが、電池がアペトペ(仙台弁でいいかげんの意味)入っていたんでありますね。

       
    大梅寺までは厳かな石の階段が続くのであります

     交通量の多い県道から一歩大梅寺の参道へ足を踏み入れると、そこには杉の大木が苔むした石段に添って列び、深山の趣きに包まれた静寂が時を支配していた・・・なぁーんて事は無い訳で、目の前の情景は深山の古刹へ続く道なんでありますが、如何せん車の音が激しく気分を削ぐ訳であります、が、場所柄から仕方無いですね。

    二基一対の仁王像が「何しに来た?」と問いかけます

     いや、それにしてもこんな立派な寺だったんのかぁ、と驚きながら苔むした石段を上って行く訳ですが、途中には詩や俳句なんかを刻んだ石碑なども在ってかなり良い感じの道な訳です。
    石段の両脇に列ぶ杉の木の太さも並のものでは無く、やっぱしそれなりに由緒ある寺が上にあるんだろうなぁ、と思わせるものであります・・・いや、ホントーに厳かな気分になりますよ。
    特におっさんが気に入ったのは山門前の石段の両脇にずらーっと列ぶ石像で、それは様々な人の顔が豊かな情感を持って彫られているのであります。
    いや、これを見る為だけでも行く価値があるなとおっさんは思いました。

       
    これが本堂だと思いますが立ち入りは出来ません

     おお、随分と立派な寺だな、と通路に従ってうろうろして行くと、ここは観光の寺ではないので立ち入りを禁ず、の高札が掛かっている訳で、立派な白い玉砂利の敷かれた本堂は垣根越しに眺めるだけとなる訳です。
    で、観光用ではないとの断り書きがある割りには境内に大きめの公衆トイレなどが有り、また、仙台市の重要文化財と言う事で建物への解説の立て札なども充実している訳であります・・・観光客に荒らされたんで見せなくなったんですかね?
    で、仙台なんでやっぱし伊達家との縁があるような無いような、そう言う事にはあんまし興味が無いので読んでもすぐに忘れちまいます。
    しかし、蕃山への登山道はこの寺の境内に入る前に山へ向うのが本筋のようでしておっさんは道を誤って迷い込んだ形になったと思われます。

    ここからが蕃山への登りの本番です

     さて、寺と石仏の鑑賞に時間を食っちまって時計を見ると既に二時を過ぎている訳です・・・おお、急がねば、と言う事で蕃山の山頂と言うか、大梅寺の奥の院と言うか、そちら方面を目指して登り始めた訳であります。
    しかし、まっ、そこそこの急登なんでこれが無いと厄介と言えばそうなんですけれども、のっけからとても立派な丸太の階段のお出ましで、やっぱしなぁ基本は参道なんだろうな、と・・・。

    自身で倒れた石像や灯籠が彼方此方に見られます

     そんな訳で少しガッカリしながら登り始めた訳ですが、木製階段を上り切ったらそれは危惧であって、蕃山はしっかりと由緒正しい里山であるぞ、と、表情を変えるのであります。
    で、この山に足を踏み入れて直ぐから感じた事でありますが、何や風が、そこはかと無く香しいのであります。
    いや、薫りの事なので文字で現すのは難しくてとても言い表せないのでありますが、なんと申しましょうか、少し甘めのヒノキチオールの薫りとでも申しましょうか・・・まっ、芳しいのであります。
    それは杉の林ばかりではなく、植林地から抜けて雑木林に入っても続いていたのでありました。

    山頂にはお堂が建っておりました

     いや、歩き始めてすぐに蕃山を全面的に好きになっちまいました。
    植物がドーのとか、眺めがドーのとか言うのはアレです、普通に平凡な里山なんでありますが、山の出来具合と申しましょうか、素性が良いと申しましょうか、とにかく、歩いて気持ちの良い山であるなと感じたのであります。
    アレです・・・尾根の感じが、一本ズーンと筋を通して走るとでも申しましょうか、標高僅か370メートルの山の尾根とは思えない、立派な尾根が走っているのであります・・・いや、山は小さいんですぐに終わっちまうのが正直な所なんでありますが、雰囲気の問題ですから。
    で、所々に岩場風な道も有り、ああ、山道を歩いているなと思わせるのに十分な仕掛けがそちこちに散らばっているのであります。
    お堂の木の扉が開くんで開けてみたら袈裟を着た坊さんの像が鎮座して居たんでありますが、目がおっさんを睨んでいたので怖かったです。

    尾根筋で展望が開けたのはここだけです

     さて、山頂には蕃山を愛する人達が設置してある訪問者メモがポストの中に入っていまして、おっさんも何か記入しようと思った所で雨がポツポツ来たもんで慌てて先を急ぎました。
    ここから「西風蕃山」まで1キロほど行くのであります・・・いや、そっちの方が最高点な訳で行かない事には話しにならない訳です。
    で、途中に送電線の鉄塔があるのですが、そこだけは木々が刈り払われ見通しが利く訳で、尾根上では唯一の展望所になる訳です。
    まっ、見えるのは折立の駅方面と権現森だけなんで大したもんではありませぬが。

    西風蕃山(ならいばんざん)山頂の札

     そんな訳で雨に急かされて西風蕃山までの1キロを急いだ訳でありますが、こちらの道は大梅寺から蕃山山頂までよりも一層自然的であるな、と言う風で、良い感じなのであります。
    道は小さなアップダウンを越えて行く、森の小道と言う感じで、ひよっこりとヘンゼルとグレーテルが歩いていそうな雰囲気でありました。

    太白山が目の前にデデーンと迫ります

     西風蕃山の山頂まで、蕃山のお堂からは15分程度の距離でありまして3時丁度の到着でありました。
    で、ここまでの道も展望は全く無いのでありますが、ここでまたドッと一方向にだけ開けるのであります・・・太白山がへぇーっと思う大きさで迫ってきます。

     さて、最高点が372メートルの里山なんで本気で歩いたらあっと言う間に終わっちまう訳でありますが、しかし、おっさん的には蕃山は「優」であります。
    歩いている間中ずーっと車の音など聞こえ、時折仙山線の列車の音なども聞こえ、どちらかと言えば騒がしい山なのでありますが、しかし、一本尾根の雰囲気とそれを取り巻く木々の雰囲気がとても良い訳であります。
    下山に向った所で雨がポツポツ来たもんですから全速で駆け下りてバイクに辿り着いたのが3時50分でありました。

    秋にまた登ってみたいと思う山でありました。  


       この話 完


    山の状況、情報は適当ですので、ご注意下さい・・・


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