よたよたと、山登り


    No.92

       

     気になっていたあの山へ・・・寒風山 奥寒風山 戸立山

         6月05日 日曜日 きっぱりと晴れ

     日曜日ですか山に行くのは決めてあるんですが、この天気ですから迂闊な山に行くと人波に酔っちまうかもしれない、なんて事も無いんでしょうが、しかし、人口密度の高い山は苦手なおっさんとしては山の選択に工夫を要する訳であります。
    で、思いついたのが、行った事は無いけれども多分空いていそうだと言う勝手な思い込みで決めた「寒風山」であります。
    昭文社の登山地図で確かめますと大した距離と時間でもなく、標高も1117メートルでありますから、まあ、泉ヶ岳よりも55メートル低い訳で、そう言う山なのであろうな、と思って出掛けた訳であります。
    いや、寒風山を舐めて掛かったホントーの理由は、知り合いの爺様が良く出掛ける山なもんで、あの人が行くんだからそう言う山なんだべな、と思ったのが本音であります。

     
    関山トンネルの手前、仙台から向って右側が登り口です

     関山までは我が家から裏道を通れば30分と掛からない訳で、近いです。
    8時50分トンネル脇の駐車場に到着し、合羽などを脱いで9時丁度の出発でありました。
       
    古い看板によると登山口は「坂下口」と言うのだと

     さて、軽い気持ちで登り始めましたが、沢沿いの道は初めちょろちょろ中ぱっぱ、でありまして、砂防ダムを二つ越えた辺りから段々と急斜面にジグを切って登る杣道(そまみち)になるのであります。
    いや、はっきり言って急ですし、しかも、標高900メートルで明確な尾根道に出るまでは斜面に切られたトラバースの道なんで雨や雪で削られ、微妙に狭く、絶妙に歩き難かったりする訳であります・・・いや、はっきり言って舐めてました。

    尾根から一段下がって並行に着けられた道にはブナの巨木が見られました

     で、二次林と思われる、カラマツとイヌブナなどの混在する林を見ながら急な巻き道を登って行く訳ですが、これが東側に面しているからなのか、全編とても明るく、陽性の道だな、とおっさんは思う訳で気持ちが良いのであります・・・まっ、とても晴れていたと言うのもあるんですが・・・。

     
    尾根に出るとより一層明るく気持ちの良い道になります

     さて、標高が700メートルを超した辺りから、おっさんの見立てでは自然林になるのかな?と思う訳で、とても塩梅の良いブナやミズナラなどが見えて来るのであります。
    ここまでの所は、巻き道にほんの一部崩れかかっている箇所など見られますが安定しております。

    唯一2番だけありました。赤ペンキの標識は大倉尾根にもありますね。

     そんな訳で標高900メートル過ぎから稜線に出ると、彼方此方に展望が開けるようになりさらに気分が良くなるのでありますが、しかし、ここまで標高差で450メートルほどをほぼ一気に登るので緩くは無いです。
    しかし、ここから山頂までは気持ちの良い稜線歩きで、北側に船形の本山と、それに続く後白鬚の稜線が見られ、東側では、大東から面白山連山の山並みがずーっと見えるのであります。
    宮城の山は底が浅いと言いますか、奥行きが無いなどと常々思っていたおっさんでありますが、ここの尾根から眺める山並みの深さは認識を一変させました・・・いや、それくらい素晴らしい眺めですよ・・・たぶん。

    かつてはNTTの反射板が設置されていたと言う山頂広場

     と、言う事で、尾根まではキツイんですけれども登っちまえばあとは平行移動でとても楽な訳です・・・たぶん。
    で、本日往復の間に唯一出合ったのが、標高1000メートルあたりの笹薮で蠢いていたタケノコ取りの人でありまして、笹薮ががさごそ動くもんで、これは熊が出るなと身構えた所、出て来たのは山姥でありました・・・いや、失礼・・・タケノコ採りのおばちゃんでした。

    ホントの山頂は三等三角点のあるこちらですか?

     いや、寒風山の標高は泉ヶ岳よりも55メートルも低く、大した山じゃないだろうと思ってやって来たんでありますが、それは大間違いで、泉ヶ岳の自然度を10段階の3とすると、寒風山は6は有ろうかと思う訳です。
    で、しかも、寒風山から先・・・おっさんは戸立山までしか行けなかったんですが、そこまで行くと自然度は7〜8に飛躍的に高くなるのであります。
    あっ、寒風山の山頂は三等三角点が置かれているんですけれども眺望は無く、何も見えない無愛想な山頂であります・・・木がおがったんだべねぇ?

    標高1000メートル足らずなのに6月でも雪田が残っています

     さて、山頂には10時45分に到着でありまして、昼飯を食うには一寸早いし、足も未だ残っているし・・・んじゃぁ白鬚山まで行ってみっかい?と。
    で、登山地図で見ると推定距離は4キロ弱・・・ガイドタイムは1時間35分・・・ふーん、12時20分には着けるのか、で、白鬚山へ向ったのでありました。

    倒れていた古い戸立山の標識

    立ち直った戸立山の標識

     そんな訳で無愛想な寒風山の山頂をあとに白鬚山に向った訳でありますが、いや、ここから先、もしも行こうと思うなら気持ちをしっかりと入れて行かないと、ここまでの道とはひと味もふた味も違います。
    まず、踏み跡は分かりますが、盛夏になって薮が濃くなったら手強いかも知れません。
    で、100メートル前後のピークを登り降りしつつ行く訳ですが、これもお助けロープが張ってある箇所も有りそれなりの道になる訳であります。
    まず、最初に奥寒風山のピークを登り降りする訳ですが、ここまでの所でおっさんの脳裏には「ホントに1時間35分で白鬚山まで行けるのか?」と疑問が飛び交った訳であります・・・いや、キツいんですもん。

    白鬚山まで距離で2キロ弱、高低差350メートルを50分で行けますか?

     登山地図には「奥戸立山」と載っていて、戸立山は別な峰になっているんですけれども、山頂表示は戸立山となっているのであります。
    寒風山からここまで、約1.5キロを45分で来た訳ですが、高低差は地図で拾うと260メートル程度な訳です。
    で、戸立山から少し進むと白鬚山までの道のりがドドーンと見えるんでありますが、いや、迫力有ります(上記の写真)
    へえっ?・・・ここから白鬚山まで2キロ弱、高低差は350メートル・・・ドー考えても登山地図が示す時間内には到着出来る自信は無い訳です・・・おっさんの足が遅いのか? 屁タレなのか? いや、そんな事は無いはずだ・・・こりゃぁ地図が間違っているんだな、と言う事で退散して寒風山まで戻ってビールタイムを取る事に決定。

    雪の季節と違って緊張感の無い投げやりな食事風景であります。

     12時20分、寒風山に戻りました・・・行きが45分で帰りも45分・・・半分しか行けなかったのは悔しいけれどもサバイバル度考えると良い選択であったかも。
    いや、戸立山までの道は特別荒れているとも思わないんですが、しかし、まあ、いずれ時間の問題で潰れる道の雰囲気がする訳で、自治体が手入れをしそうな山でもないので寒風山を愛する有志が刈り払いなどしているのでしょうか?
    ナァーンて事を思いつつ、黒山の虫集りの中での昼飯タイムであります・・・いや、おっさんが腰を下ろした途端にハエや黒い虫に囲まれちまった訳です。
    しかし、騒がない慌てない・・・コンロに火をつけて風上でお湯を沸かすと風下のハエは途端に少なくなるのであります・・・これホントです。
    まっ、さいしょはおもしろがって集まって来るハエも食い物にならないと思うと去って行くと言うのも在ると思うんですが・・・。
    そんな訳で、ビールを飲んで焼きそばを食って、真夏のような空を眺めつつ少し昼寝などして1時丁度に山頂を後にしました。

    船形山山頂小屋が見えました。後白鬚の稜線が迫ります。

     登りがキツイ山と言うのは下りもキツイ訳ですが、この山は眺めが良いので気持ちが良い訳です・・・人工物が見えるのはただ一カ所、山形側の国道48号線の一部がチョビッとです。

    大東から面白山連山の山並みがなんとも言えない味があるのです

     まっ、登ってしまえば標高1117.3メートルの山でありまして、キツイと言っても長くは続かないんであります。
    しかし、仙台近辺の山でコレ程の自然度を保つ山が他に有るだろうか?ナァーンて言うのは大袈裟かも知れませんが、しかし、おっさんはいたく感激した次第で、ここは秋には絶対に外せないな、と確信する次第であります。
    お手軽だと思って出掛けたんでありますが、終わってみれば累積標高差は軽く1000メートルを超す訳で、しかし、戸立山まで足を伸ばして白鬚山への道を見てガックリするのは楽しいかも知れません。

     いやぁー・・・やっぱし静かな山は良いですね。  


       この話 完


    山の状況、情報は適当ですので、ご注意下さい・・・


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