よたよたと、山登り


    No.95

       

     思い出のあの山へ (西別岳)

         7月01日 金曜日 晴れ

     昨日は日高の楽古岳に登ってから標茶町、摩周湖裏の西別山荘に投宿したのでありました。
    いや、貧乏おやじの旅に無料で泊れる山小屋が登山口にあると言うのはもの凄く助かる訳でして、昨日の楽古岳も本日の西別岳も選定の基準に山小屋の存在があったのであります。

    西別岳山荘は超立派で快適です、が、水場がありません。

     弟子屈で西別岳の小屋の所在を尋ねても誰も知らないで右往左往したんでありますが、意外にも弁当を買い求めたコンビニのお嬢さんが知っていて「虹別町を目指せ」と教えてくれた訳です。 
    日も暮れかかろうとする18時30分頃小屋に到着の後、さっさとカツ丼を食ってビールを飲んで8時頃就寝し、翌朝は自動的に4時前には起床。

     
    立派なストーブとシャンデリア風のランプ

     さて、快晴なんですが雲の動きは速く、あっち側はドーなんだろうかと言う不安が過る中5時45分頃出発であります。
    出発が遅いのは、西別岳の往復だけなら3時間と掛からない気楽な山である事と、下山後の本日の移動距離が200キロ程度短いのが理由でありました。
    しかし、登山口は西別だけでありますがホントーの狙いはカムイヌプリ・・・別名摩周岳でありますので、そちらを廻れば全行程5時間程度で、下山が11時頃になるのであります。

       
    阿寒国立公園内でありまして、約束事はうるさいです。

     登山者が多く登山道が広がりつつあるんで先の尖ったステッキやポールは止めてくれと書かれた札の脇には、竹や雑木で作った杖が沢山用意されており、この山を管理する人達の優しい心遣いを感じるのであります。
    で、看板に自転車やバイクで入るなよ、と書かれている通りに、トライアルバイクなら減点を喰らわずに山頂に立てるであろうと言うほどに広い登山道なのであります。

    なんと言う花なんですか?メンコイので撮ってみましたが

     さて、歩き始めは植林されたカラマツ林で、それを過ぎるとチシマザサの草原的風景になる訳です。
    で、何も無い、木の無いササの原のもっと上に背の低いダケカンバの林がある所から、ここはかつては牧草地か放牧場で木が切られた後の地形なのであるな、とおっさんは勝手に推測した次第でありますが・・・多分当たっているでしょう。
     
    これはおっさんだって知ってますよ、オダマキです、よね?

     と、言う事でやたら陽当たりが良いので花は咲き放題に咲いている感じてしてお花畑状態であります。
    で、標高が僅かに799メートルでありますから高山植物は見られないのかなんて思ったら大間違いで、なんと、コマクサが標高300メートルに満たない西別岳山荘脇のトイレ小屋の砂礫に咲いていましたから。

    これは調べたら分かりました「ヨツバシオガマ」です、ね?

     そんな訳で昨日とは打って変わって陽性の山道でありましてヒグマの心配も無く、咲き誇る花達を愛でながら登って行くのであります。
    いや、しかし、標高799メートルの山に登るのに稼ぐ標高差が510メートルある訳で、それをほぼ2キロで登るんで結構キツいです・・・そこには「がまん坂」と命名されておりました。

     
    土が減って岩っぽくなるとあっと言う間に森林限界を超えて花が変わります

     がまん坂を登り切ったら背の低いシラカバかダケカンバのような森の小道風の林を抜けると森林限界を超えるのであります。
    いや、緯度のせいばかりではなく風衝地帯と言う条件も重なっているのかとおっさんは推測するんであります。
    で、下で見た雲の不穏な動きはやっぱし摩周湖側から湧いて登る雲だった訳で、稜線上は今までの好天が嘘のように風が強く濃いガスで覆われているのであります。
    小さな岩山のピーク「リスケ山」をちょいと登ってから西別岳へ向うんですが、平行な尾根道は登山道が広がっているな、とは感じますが、東北の有名な山ほどの痛みではなく、まだまだ間に合うから皆で気をつけようぜ、と言う感じでありました。

    時分撮りのカメラを立てられない強風の西別岳山頂

     摩周岳・・・カムイヌプリに登りたいと思ったのは40年前の事でありました。
    16歳、高校二年の夏休みに北海道一周のヒッチハイクをして摩周湖に来た時に湖の外周にそびえる峻険な、絶壁とも言える摩周岳の山容に引かれたのであります。
    その時、山岳部員であったおっさんは魅惑の山に登るべく画策したんでありますが当時は登山道が無く、薮を漕いで行ったりしたら熊に喰われるのが落ちだから止めておけ、と、地元の大人達に言われたのでありました。
    そんな訳で西別岳の頂上で強風に吹かれ霧に巻かれたときは正直ガックリでありました。
    まっ、これも縁でありまして、標高が低いからと舐めて強行して行っても何も見えない登山道を歩き続けるだけな訳で、それはおっさんの憧れの山に失礼だろうと・・・そんな訳であっさりと撤退を決めました。
    いや、瞬間では25メートル以上吹くんで足場の悪い稜線が予想される摩周岳は危険であるとの判断でありまして、風が止むかもなんて言う希望的観測は知らない山ではやりませぬ。

    自分撮り記念写真が少ないと思い、意味も無く林道で撮ってみましたが

     そんな訳で予定より随分早く降りて来てしまったのでありますが、その分思い切りのんびり花の写真を撮り、途中で座り込んで死んだモグラがシデムシに喰われるのを観察したり、有意義な時間を得た訳であります。

     下山してもまだ9時前なんで余裕で二度目の朝飯を食い、コーヒーをたっぷり飲み、パッキングをし、ンコをして出発したのが10時45分でありました。

     次なる目的地は、羅臼岳のある知床半島であります。


     この話 完


    山の状況、情報は適当ですので、ご注意下さい・・・


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