よたよたと、山登り


    No.98

       

    散歩的山登り

         8月07日 日曜日 晴〜雷雨

     7月の朝日沢以来山歩きをしていないのかというとそんな事でもないのですが、しかし、まあ、行ったのが岩場のクライミングだったりして、山登りと言うのには一寸アレなのと、春先からガツガツ登った疲れからなのか少し弱っていまして、山に出かけるチャンスを何度か逃がしている訳であります。

     そんな訳で、後白髪山に出かけた理由は、日曜日でも人が少なく静かなのに登るのが楽で気持ち良い山・・・なんとも贅沢な条件を揃えてますが、後白髪山は正にそんな山なのであります。
    しかし、静かなのにはそれなりの訳がある訳でして、標高950メートルまで上がれる林道は年々痛みが激しくなり、普通の車では行き難いと言いますか、行けないかもしれないと言う状態になっちまっているからなのであります。
    それに加えて今年は特に、3.11の地震で崩れた岩で林道が塞がれ、雪解けしてからも暫くは不通であったので訪れる人も減っているのだろうと思います。
    で、ただいま現在の状況は、定義林道に入ってすぐから、伐採した木の貯木場までが運搬のトラックの轍で特に酷く、雨など降ると沢のように水が流れ難儀します。
    また轍が深いので普通乗用車程度の車高では腹も擦るでしょうし、轍にはまったら脱出も容易ではないかもしれません。 で、毎年土砂崩れしているあの場所は、今年は樹木が根に絡んだ土ごと落ちていて道幅が狭くなっています・・・谷側に寄って通行するのですが路肩は軟弱で幅の広い車は難儀すると思います。
    その他、横川林道方向へ向かうと落石が多く、雨で掘られた溝で路面も荒れています・・・結論として、四輪で横川の登山口まで行くにはジムニークラスの小型のオフロード車じゃないと難しいと思うのであります・・・おっさんは天下無敵のスーパーカブでトコトコと登って行ったのであります。 蛇足ですが・・・国道457号から大倉ダムへ抜ける近道の林道「夜盗沢〜奥武士線」の土砂崩れによる通行止めは解除になってました。

    登山道入り口は夏草に覆われていました

     後白髪山を横川コースから登るというと、普通にのんびり歩いて、登り一時間半、下り一時間もあれば間に合う訳です。
    なので家を出たのが九時半でありまして、登山口到着が十時半であります・・・いや、奥武士線の林道が通れるので我が家から定義まで25分で行っちまう訳です。
    で、ンじゃぁ、と歩き出そうとしたんでありますが登山道方向は薮でありまして最近誰かが歩いた気配がないのであります。
    ふーむ・・・まっ、林道がアレだからなぁ、下から上がってくるというのも大変なんで・・・いや、林道をテクテク歩いてここまで来るくらいなら定義コースを登る方が楽しいしな、来る人は居ないか?と、ぶつぶつ言いながら濡れた夏草をかき分けて行ったのでありました。

    こんな感じで10分程度の薮漕ぎであります。

     夏草に覆われてはいますが元々しっかり踏まれた登山道がある訳で道が荒れているという感じではありませんで歩き難くはないのです。
    で、微かに草が押された感じが見受けられなくもない箇所などあって、最近誰かが歩いているな、と思わせる雰囲気もあったりするのであります・・・そう言えばカブの轍とかも有ったしな、来てる人は居るんだろうな、と。

       
    樹林帯に入ると草は無くとても快適になりました

     さて、ブナ林の中に入る頃からは草はほとんど無くなりとても歩きやすい登山道になりました。
    で、本の一部に笹が被って煩いところも有ったのですけれども、長倉尾根の水源の手前とか、熊野平の薮ほどではなく楽なもんでありました。

    前方に見えるピークは後白髪山の山頂ではありません

     横川コースは距離が短く極端な急傾斜も無く歩くのは楽なんですが、反面見通しも無く、風通しの悪い登山道を淡々とボソボソと登って行くだけと言う、景色展望派にはつまらない道かも知れませぬ。
    しかし、自然林のブナの趣とか、色白のブナが好きとか言う趣味の人には堪らない静かで味わいの深い山となると思うのであります。
    で、淡々と登って行って、アレっ?と思って前が開けるとそこからは視界の開けた明るい道になるのであります・・・まっ、一部泥濘ったりしてますけど。
    初めて登ったら先に見えるピークが後白髪山の山頂かと思うかも知れませんが、まだ違います。

    雨が続いた後などは結構な湿地になっていて歩き難いです

     ここからはほとんど登った気もしない緩い尾根筋を行くのですけれども、後白髪コースとの出会いの看板が有る当たりは結構な湿地帯でありまして、雨の後などは難儀します。
    で、森林限界を超えているんで周りは灌木だけなんでありますが、これがそこそこの背丈に育っていまして少し煩くなって来ております。
    しかし、もう一息標高が上がると周りのハイマツやシャクナゲはぐっと低くなって見通しは抜群になります・・・風当たりの関係なんで有りましょうね。

       
    標識が無ければ通り過ぎるほど特徴の無い山頂です

     さて、気持ちのよい草原風の景色を眺めつつ、チョットした坂を上ると、ひょいと言う感じで山頂の標識が目に入りまして、そこが山頂であります。
    遠くから後白髪山を眺めると、大きなどっしりとした山容とも言えますが、茫洋としてのっぺりしているとも見える訳です。
    で、山頂に立ってみると、やっぱし下から眺めた通りの山頂でありましてのっぺりとしているのであります・・・まっ、その分のどかな雰囲気で落ち着くとも言えますが。
    そんな訳で、のどかな山頂であるが故に思わず知らずのんびりして長居をしてしまうのでありますが、しかし、ここは花が多い為か蝶やトンボがとても多く、それを見ているだけでも飽きないのであります。
    ああ、そうか・・・湿地が有って水が有るので虫が多いのか?・・・違うかな?

       
    積雲が集まって積乱雲に発達・・・雷が嫌だな、と言う感じの雲行き

     さて、谷間に湧く雲やキアゲハの乱舞やオニヤンマの空中戦などを見てのんびりしていたのでありますが、湧いた雲が上昇して厚くなり、なんだか不穏な雰囲気になってきました。
    あいやぁ・・・雷雲だわ、と思っていたら、下の方でゴロゴロとなり始めたので下山を開始であります。
    標高1300辺りで真っ暗な雲の中に入ったと思ったらすぐ近くで雷様の怒鳴り声が、ドドォーンと響いて肝を冷やしました・・・いや、光らないで突然でした。
    序でに大粒の雨が落ちて来たんでありますが既にブナの森の中に入っていまして、ブナの森は傘要らずの通り、合羽を着るほどの事も無いくらいに濡れない訳であります。

    午後2時前なんですけれどもヘッドライトが欲しい暗さでありました

     そんな訳でいずれ止むであろう雷雨は気にしない事にして程よく濡れて暑さを忘れ・・・いや、夏山の雷は時に危険というのは承知でありますが樹林帯で有りますからドーという事は無い訳で、少し滑りやすくなった道を暢気に下ったのであります。
    いや、墨絵のように色の無い世界も珍しく、やっぱし山は幾たびに面白いなぁ、と。
    で、バイクにたどり着く頃には雨脚も幾分弱くなっていましたが、集中して降った雨の量は半端ではなかったようで、沢になった林道をまたトコトコとカブで帰途についたのでありました。


     この話 完


    山の状況、情報は適当ですので、ご注意下さい・・・


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